カローラツーリングとカローラスポーツはどっちがお薦め?【各車推奨グレード付き】

ツーリングにはスポーツにない1.8Lガソリンがある

 エンジンはツーリングが1.8Lのノーマルタイプ、1.2Lターボ、1.8Lハイブリッドを用意する。スポーツは1.2Lターボと1.8Lハイブリッドのみだ。

 トランスミッションは、ツーリングは1.8LがCVT(無段変速AT)で、1.2Lターボは6速MTと使い分ける。スポーツは1.2LターボにCVTと6速MTを両方用意した。

 車両重量はツーリングとスポーツで、ほぼ同じになる。全長はツーリングが120mm長いが、車両重量にはほとんど影響していない。

 動力性能は1.8Lのノーマルタイプが素直だ。1500回転を下まわる低回転域の駆動力にも相応の余裕があり、4000回転を超える高回転域の吹き上がりもいい。

ツーリングにはカローラスポーツには設定されていない1.8Lガソリンエンジンをラインナップ。コストパフォーマンスとしては最も優れている

 これに比べて1.2Lターボは、1500回転以下で駆動力が下がるが、2000~4000回転付近は1.8Lよりもパワフルだ。つまり中間の回転域は1.2Lターボが優れ、低回転域と高回転域は1.8Lが勝る。

 ツーリングとセダンは、1.8LにCVT、1.2Lターボに6速MTを組み合わせたが、逆でも成り立つように感じた。1.8Lを高回転指向の設定にして、6速MTを組み合わせたら楽しいだろう(これには開発者も同意した)。

 つまりツーリングとセダンが1.8Lと1.2Lターボを用意した目的は、トランスミッションとエンジンの相性というより、コストと価格だ。

 1.5Lエンジンを搭載したカローラアクシオ&フィールダーの後継だから、スポーツに比べて価格を抑えねばならない。そこで売れ筋のCVT仕様には1.8Lを搭載した。

カローラツーリングの走りはカローラスポーツほどのキビキビ感はないが、乗り心地がよく、トータルバランスに優れている印象だ

 この2ZR-FAE型1.8Lエンジンは、2009年に発売された2代目ウィッシュにも搭載され、償却も進んでいるから低価格で搭載できる。本来ならカローラスポーツと同様、1.2LターボにCVTと6速MTを組み合わせてコスト低減と運転感覚の向上を図るべきだが、古い1.8Lを搭載してコスト低減を優先させた。

 走行安定性と乗り心地のバランスは、ツーリングが優れている。G-Xはリアスタビライザー(ボディの傾き方を制御する棒状のパーツ)が省かれるから推奨できないが、1.8Lを搭載する中級のSは安定性が優れ、乗り心地はマイルドだ。

 ハイブリッドでは17インチタイヤのW×Bも検討したい。車両重量が60kgほど増えるが、17インチタイヤでグリップ性能に不満はなく、乗り心地もさほど下がらない。

 カローラスポーツは文字どおり走りのよさが特徴だ。特に18インチタイヤのG・Zは、乗り心地は少し硬いが、切れのよい機敏な走りを味わえる。カーブを曲がる時の安定性も高い。

セダン&ツーリングに設定されているW×Bのインテリア。W×Bは旧型のフィールダー時代に特別仕様車に設定されていたが、人気の高さからカタログモデルに昇格

ツーリングとスポーツでは推奨グレードが違う

 次は価格を比べる。メカニズムや装備の共通点が多いツーリングハイブリッドSとスポーツハイブリッドGでは、価格はほぼ同じだ。つまりボディの価格差はほとんどない。

 しかしツーリングに搭載される1.8Lと1.2Lターボの価格差は大きく、1.8Lのノーマルエンジンは、ターボに比べて17万~18万円安い。

 そうなるとツーリングの最も買い得なグレードは、1.8Lのノーマルエンジンを搭載したS(221万6500円)になる。

1.2Lターボエンジンには、ツーリング、スポーツとも6MTが設定されるのはマニュアルシフト愛好家にはグッドニュース

 ハイブリッドは1.8Lのノーマルエンジンに比べて43万円ほど高いが、購入時の税額は約7万円安く、実質差額は36万円に縮まる。

 レギュラーガソリン価格が1L当たり145円、WLTCモードが実用燃費とすれば、36万円の実質差額は約7万kmを走ると取り戻せる。

 従って1年間に1.5万km前後を走るユーザーなら、4~5年に相当するから、ハイブリッドも検討したい。ハイブリッドの場合は、前述のように、車両重量の増加に対応して17インチタイヤを装着するW×B(279万9500円)を選ぶと走りがよくなる。

カローラシリーズで最もスパルタンかつ気持ちのいい走りといえばスポーツで、この走りの気持ちよさこそスポーツを購入する最大の理由だろう

 そしてカローラスポーツは割安な1.8Lノーマルエンジンを選べないスペシャルティなモデルだから、1.2Lターボを搭載するG・Zの6速MT(250万4700円)を推奨する。オプションでは、ショックアブソーバーの減衰力を変化させるAVS(11万円)も装着したい。

 このようにツーリングとスポーツは基本部分を共通化しながら、車両の性格、推奨グレード、価格はかなり異なる。複数のボディタイプとグレードを試乗して、選ぶ時から新しくなったカローラを大いに楽しんでいただきたい。

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 ツーリングとスポーツは、ステーションワゴンと5ドアハッチバックとボディ形状が違うものの、大きな差はない。ラゲッジの広さ、使い勝手はツーリングが勝っているが、これは全長が長いため当然の結果といえる。

 そのいっぽうで、リアシートの居住性はほぼ同じだから、積載性を重視したければツーリング、それほどこだわらないならデザインなど好きなほうを選べばいい。

 最大の相違点は、エンジンで、1.8Lのごく普通のガソリンエンジンが欲しいとなれば、スポーツには設定がないので必然的にツーリングとなる。

 走りのキビキビ感を求めるならスポーツ、乗り心地とバランスのよさを求めるならツーリングということになる。

自転車を搭載したり、キャンプに頻繁に行くようなら、ツーリングの積載性の高さはかなり魅力に映るはず
自転車を搭載したり、キャンプに頻繁に行くようなら、ツーリングの積載性の高さはかなり魅力に映るはず

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