カローラシリーズ史上初めて3ナンバーボディとなった新型のセダン&ツーリングだが、ひと足先にデビューしていたカローラスポーツも存在する。
かたやステーションワゴン、かたや5ドアハッチバックとボディ形状は違うが、走り、居住性をはじめとするスペースユーティリティ、使い勝手、ラゲッジなどどの程度違うのか気になる人も多いはず。
カローラツーリングとカローラスポーツを比較すると同時に、それぞれの推奨グレードにも渡辺陽一郎氏が言及する。
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカー編集部
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新型カローラの全幅1745mmは3代目プリウスと同じ
欧州で売られるカローラのワゴンと5ドアハッチバックは、互いに競合しにくい。欧州のワゴンはホイールベース(前輪と後輪の間隔)が2700mmと長く、全長も4650mmに達するからだ。5ドアハッチバックはホイールベースが2640mmと短く、全長も4370mm(日本仕様は4375mm)に収まり、ボディサイズが異なる。
しかし日本でカローラとして売るには、欧州のワゴンでは大きすぎる。そこで国内仕様のカローラツーリング(ワゴン)とセダンでは、専用のボディを開発した。
ベースは5ドアハッチバックのカローラスポーツで、ホイールベースも2640mmだ。全長はツーリング、セダンともに4495mmだから、欧州仕様に比べるとホイールベースは60mm、全長は155mm短い。
さらに全幅は、欧州仕様や日本で売られるカローラスポーツは1790mmだが、国内仕様のツーリングとセダンは1745mmに抑えた。
開発者は、「1745mmの全幅は、先代型の3代目プリウスと同じだ。先代プリウスは好調に売れて日本のお客様に親しまれているため、同じ全幅なら3ナンバー車でも受け入れられると考えた」と述べている。
そこでカローラツーリングと、ベースになった5ドアハッチバックのカローラスポーツを比較しよう。
ツーリングは拡幅したがフィールダーより狭い
まずボディサイズだが、全長はツーリングが4495mm、スポーツは4375mmだから、ツーリングが120mm長い。全幅はツーリングが1745mm、スポーツは1790mmだから、ツーリングが45mm狭い。ホイールベースは2640mm、全高は1460mmで等しい。
つまりツーリングとスポーツでは、ボディサイズがあまり変わらない。
インパネなど内装のデザインは、両車ともに共通だ。開発者は、「前後席に座る乗員同士の間隔、床から座面までの高さなど、基本的なパッケージも等しい」という。
従って前後席の居住性は基本的に同じだが、カローラスポーツG・Zに装着されるスポーツシートだけは、背面形状がほかのグレードとは異なる。そのために後席の膝先空間が狭まった。
具体的には身長170cmの大人4名が乗車した場合、後席に座る乗員の膝先空間は、ツーリングが握りコブシ1つ半だ。カローラスポーツも標準シートは同じだが、G・Zは握りコブシ1つぶんに減る。
ちなみに従来型のカローラアクシオ&フィールダーでは、同じ測り方で後席の膝先空間は握りコブシ2つぶんを確保した。新型のセダン&ツーリングは1つ半だから、3ナンバー車なのに狭くなっている。
床と座面の間隔も減り、従来型に比べると腰が落ち込んで膝の持ち上がる姿勢になりやすい。開発者によると、「ツーリングの前後席に座る乗員同士の間隔は、カローラアクシオ&フィールダーを30mm下まわり、床と座面の間隔は40mm減った」とのことだ。
後席の頭上空間は、ツーリングが握りコブシ1つぶん、スポーツは1つ弱だ。ツーリングはリアゲートのヒンジと後席に座る乗員との間隔が広く、頭上空間にも少し余裕が生じた。
このようにツーリングの居住性は、頭上空間が少し広いことを除くと、スポーツとほぼ同じだ。
荷室の奥行寸法は、ツーリングが後席を使った状態で930mmとされる。スポーツに比べると、全長が長いために、荷室奥行も100~120mm上まわる。
ただし開発者によると、「従来型のフィールダーに比べれば、ツーリングの荷室は奥行寸法が50mm減った」とのこと。スポーツよりは広いが、従来型のフィールダーよりは狭い。
次は取り回し性の違いをチェックする。
最小回転半径は、ツーリングの15インチタイヤ装着車が5.0m、16/17インチは5.3mだ。スポーツは15/16インチが5.1mで、18インチだけは5.3mになる。従って16インチを装着する中級グレードを選んだ時は、スポーツの小回り性能が優れている。その代わりにスポーツは全幅が45mmワイドだから、運転のしやすさは引き分けだ。
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