新型ランドクルーザー300 絶好調の滑り出しの実状と異例の「誓約書」

新型ランドクルーザー300 絶好調の滑り出しの実状と異例の「誓約書」

 新型ランドクルーザーが売れまくっています。8月2日の発表発売以来、積み上がった受注は2万台ともいわれ、各販売店ではお客さんに「納車は2~3年待ち」と説明。膨れ上がった受注台数を生産台数年間計画に当てはめると「4年待ち」という計算もできてしまうほど。

 もちろんランクル300はファン待望の新型であり、性能が折り紙付きであることは疑う余地もない。それでもこの受注の集中具合は異様。そこで販売店への取材に定評のある流通ジャーナリストの遠藤徹氏に調査を依頼すると、やはりかなりの数の「転売屋」が暗躍しており、トヨタもその対応に苦労している実状が見えてきました。

文/遠藤徹
写真/TOYOTA

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■予約開始から2週間足らずで年間計画の4倍以上を受注!

2021年8月2日に発売された新型ランドクルーザー300。予約受注開始からわずか2週間で年間販売計画の4倍以上に及ぶ2万1500台を受注し、一時的に受付をストップ。トヨタは購入希望者のなかに転売業者が含まれていると判断か
2021年8月2日に発売された新型ランドクルーザー300。予約受注開始からわずか2週間で年間販売計画の4倍以上に及ぶ2万1500台を受注し、一時的に受付をストップ。トヨタは購入希望者のなかに転売業者が含まれていると判断か

 2021年8月2日、14年ぶりにフルモデルチェンジして登場した新型ランドクルーザー300が絶好調の滑り出しを見せている。年間販売計画5000台に対して、7月1日から13日までの約2週間での事前予約台数は2万1500台に達した。このまま推移すると納期が4年以上になってしまうので、トヨタ販売店は一時予約受注の受付をストップし、対応策を検討するという異例の措置を取ったほどだった。

 その後、8月に入って受注活動を再開したが、新型ランクルについてはいまも従来と異なる対応策を取っている。それは転売を防ぐために「購入後1年間は転売せず保有する」という誓約書を購入ユーザーに求めるというものだった。

 どうしてこうした措置を講じたのかというと、トヨタの調査により、購入者のなかに転売業者が相当数含まれていると判断したからである。ランドクルーザーは国内だけでなくグローバルで人気が高く、海外ユーザーに転売すれば高値で売れるので、輸出業者にとっては格好の商売になっている可能性が高い。

 トヨタや傘下販売店にとっては(本音をいえば)ランドクルーザー300をより多く購入してくれれば収益が上がるが、転売されるとリスクもデメリットもある。たとえばトラブルが生じた場合ケアがうまく出来ずイメージダウンを招く可能性があるし、なにより安全保障上規制をされている特定地域へ輸出される事態もありうる。

 これはランクルならではの事情ではあるが、反政府勢力や非合法組織に売り渡され、トヨタが現地政府やそこから依頼を受けた日本政府から捜査を受ける可能性もないとはいえない。

12.3インチのワイドタッチディスプレイにはナビゲーションやオーディオのほか、車両周辺のカメラ映像やオフロード情報も映し出すことができる
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スタートスイッチに日本車で初めて指紋認証システムを採用した
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ディーゼル車は2列シートのみ設定。どうしても3列シートがほしい! という方はガソリン車一択
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 ランドクルーザー300は人気上級グレードのZXにナビ、ETC、コーティングなど必要な装備をつけて計算すると、800万円以上の高額になる。ところが業者が中近東など海外へ輸出して販売すると1000万円以上で売れるため、1台あたり200万円前後の儲けになるので、業者が日本仕様車を積極的に購入しようと動いているのが実情のようである。

 どうしてこうした事態をメーカーのトヨタがキャッチできたのか。

 7月1日から13日までの事前予約の段階でトータル2万1500台の台数は、いくら人気が高いといっても、2週間足らずで年間の生産計画の4倍以上は売れ過ぎの感がある。そこでトヨタは販売店の担当者からの事情聴取や営業担当者などを通じて実情を調べたようだ。その結果、かなりの地域で輸出業者が数十台単位でまとめ買い(事前受注段階)をしていることが判明したようだ。その台数は、分かっただけでも2000台以上といわれる。それが7月中旬頃の一時オーダーストップの措置となったといえる。

 その後、最近までの対応策は冒頭の購入者への1年間転売の禁止承諾書のほか、現金ではなく、残価設定クレジット、残価据え置き型、通常ローンなどの割賦購入の奨励である。割賦購入であれば、支払が終了するまで所有権は販売店が持つので、未然に転売が防止できることにも繋げられるからだ。

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