20代では「追突」がワーストだが、50代では「車両単独での転倒」が最多に!
さて、ここからはライダーが第一当事者となった事故の詳細について分析していく。
まずは事故類型別(パターン別)の交通事故件数だ。年齢層別で見ると、20~24歳が822人と最多で、15~19歳の700人、50~54歳の657人、45~49歳が続く。30代から40代前半が少なく、その前後の年代で多い。
全年齢を通じて多いのは次の事故パターンだ。
・出会い頭(車両相互) 1114件
・追突(車両相互) 1107件
・転倒(車両単独) 900件
・右折(車両相互) 510件
・工作物衝突(車両単独) 341件(このうち「防護柵等」への衝突が145件と多い)
注目すべきは、20代と50代でやや傾向が異なる点だ。
20代では1336件のうち、下記がワーストとなる。
①追突290件(21.7%)
②出会い頭216件(16.1%)
③右折122件(9.1%)
④車両単独での転倒186件(13.9%)。
これに対し、50~54歳では1152件の事故が発生し、ワーストは次のとおり。
①車両単独での転倒213件(18.4%)
②追突190件(16.4%)
③出会い頭177件(15.3%)
④右折114件(9.8%)
若者でワースト4位だった「車両単独での転倒」の占める割合が増えてワースト1位に浮上し、「右折」の割合も若干増えているのだ。転倒に関しては、立ちゴケやUターンをはじめ、オーバースピードでのコーナリング、ブレーキの操作ミスでバランスを崩した等の理由が考えられる。
年齢に関わらず主に交差点で発生、排気量は50代に限れば大型の比率が高い
続いては道路形状別の事故件数だ。全年齢を通して最も多いのは交差点関連の事故で、全5993件中3013件発生。内訳は、「信号機のない交差点内」1392件、「信号機のある交差点」954件、「交差点付近」667件となっている。
次に多いのが「一般単路」の2141件。これは道路の直線区間で、事故パターンとしては追突や転倒などがここに含まれるのだろう。そしてワースト3は「カーブ・屈折」661件だ。
これに関しては年齢による傾向がほぼないように見える。50代に限れば、交差点等557件、一般単路430件、カーブ・屈折134件という結果だった。
また全年齢を通して排気量別の件数は次のとおり。
51~125cc 3017件
126~250cc 1619件
251~400cc 576件
401cc以上 781件(うち401~750ccは191件)
販売台数に準じた結果だが、50代に限るとこうなる。
51~125cc 632件
126~250cc 263件
251~400cc 52件
401cc以上 203件(うち401~750ccは41件)
他の年齢層と同様に51~125ccの原付二種が多いが、401cc以上の比率が圧倒的に増えるのが特徴だ。ハイパワーで重量のある大型を扱い切れていない一面があるのかもしれない。
――これらの統計を総合すると、50代以降のライダーによる事故は、他の年齢層より大型バイクの比率が多い傾向にあり、「交差点かその周辺で車両単独による転倒」が発生しやすいケースと考えられる。さらに交差点は「追突、出会い頭、右折」も要注意だが、直線での転倒と追突、カーブでの転倒も用心する必要がある。極論すれば、どんな道路でも気を抜けないということだが……。
免許歴と事故は関係ない? ベテランでも事故を起こしている
さらに、免許歴と事故件数の因果関係を見ていこう。自動二輪乗車中(第一当事者)の運転免許経過年数別の事故件数では、若者の場合、やはり免許取り立ての事故が多いものの、30代以上では免許歴10年以上の人も多く事故を起こしていることがわかった。
15~19歳では、免許歴1年未満の事故が最多の330件で、以降は事故件数が徐々に下がっていく。しかし、20~24歳では3年未満が最も多く、25~29歳では5年以上10未満が最多。それ以降の年代では「免許歴10年以上」が最も多くなる。
この統計では「10年以上」がひとくくりにされていることもあり、乗るのを中断していたリターンライダーかどうかも不明ながら、免許歴10年以上の事故件数がダントツで多い3548件となっている。
バイクの場合、免許歴が長いほど事故に遭いにくいとよく言われる。しかし実際は若年層を除けば、そんなことはなく、事故は起きる時は起きる。ベテランとはいえ、過信は禁物だ。
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