■AMG純正色を纏ったチューンドスイスポがディーラーで買える!?
スズキアリーナ中和幹線橿原は橿原市内を東西に走る中和幹線沿いにある。運営母体の奈良スズキ販売はいわゆる地場資本のディーラーで、約5年前に同店をオープン。
メーカー直営ではない代理店の身軽さを活かして、オンリーワンの店作りに力を入れている。
その一環として製作、販売しているのが冒頭のスイフトスポーツの中古車(ナラスズキスペシャル)。
スイフトスポーツが2台買える驚きの販売価格もさることながら、マット系のグリーンに塗られたボディやド派手なエアロパーツなど、およそディーラーが販売している中古車とは思えない。
写真で見るよりも、グリーンヘルマグノのボディカラーが似合っていた
「実はこのスイフトスポーツ、他がやっていないことをとにかくやって、どこよりも目立とうということで作ったクルマなのです。どちらかというとうちを知ってもらうための宣伝な意味合いで中古車サイトにアップしたのですが、すごい反応で。アクセス数がドーンとアップしました」(河野店長)。
グリーンのボディカラーはメルセデスAMG GTの「グリーンヘルマグノ」、チューニングパーツは主にスイフトスポーツオーナーから熱い支持を集める「トラスト」のパーツを使用している。
このボディカラーは河野店長のこだわりで、スイフトスポーツの特徴であるAピラー(通常モデルはブラックに塗装されている)までペイントされている。
「AMG GTのフロントのフェンダーラインがスイフトスポーツに似ていて、キレイにはまると思いまして。純正のスーパーブラックパールを活かした2トーンカラーもこだわりです」(同)。
河野店長によると、実はこのスイフトスポーツには伏線があり、この車両を製作する以前にピュアホワイトパールのブラックルーフ仕様を製作。この組み合わせは今も昔もメーカーに設定がないため、非常に好評で10台ほど販売したという。
その流れを受けてナラスズキスペシャルとなったわけだが、一体このモチベーションの源はどこにあるのだろうか?
「自分たちの強さを打ち出さないと生き残れないと思っているからです。同じグループのトラスト社さんのご協力もあり、日によってはまるでオフ会のようにたくさんのスイフトスポーツが並ぶようになりました。
関西のスイフトスポーツでは誰にも負けないようになりたいと思っています。また、納車セレモニー用のスペースを敷地内に設けたり、受付を置くなど、直営店にないお店づくりにも力を入れています」(同)。
かつて、メーカーの看板を掲げているディーラーは、全国どこでも同じレベルのサービスを提供できることが信頼の証になると聞いたことがある。今は必要な部分ではそれを踏襲しつつも、違いをアピールしないと生き残れない時代。
つまり、同じでは選ばれなくなったということ。そのための施策のひとつとして、スズキアリーナ中和幹線橿原はコンプリートカーを作ったというのだから、隔世の感を禁じ得ない。
インターネットやSNSをはじめとするツールの進化により、全国どこにいても、希少車を買いたい側と売りたい側のコミュニケーションが瞬時に成立するようになった。
二社が行っているのはまさにそれを上手に利用したビジネスと言えるが、ユーザーの選択肢が増えるのは大歓迎。「ディーラーが販売している車両なら」と食指が動く人もいるはずだ。“進化系ディーラー”は今後も多くのクルマ好きに支持され、メーカーとユーザーをつなぐ重要な接点になっていくだろう。
コメント
コメントの使い方