911“じゃないほう”でも充分満足?? 200万円台で買えるポルシェ ボクスターにらしさはあるか

扱いが難しい911の特性

 でも、所詮911ちゃうやん! そういう声が聞こえてきそうだが、皆さんRRというクルマの本質を知っているだろうか?

 筆者は、スーパーGTで911(993・996)を駆り、何度も優勝してきた経験を持っている。911はエンジンが後ろにあり、エンジンの前にトランスミッションがある。とにかくリアが重いのだ。

 ということは対してフロントが軽い。コーナーに進入するときは、ブレーキを踏んでフロントに目一杯荷重を移し、フロントタイヤに可能な限り重し(ダウンフォース)を付けてステアリングを切り込む。

 この操作を中途半端におこなうとフロントがグリップしない。コーナー直前で目一杯ブレーキングをすれば、瞬間的にフロントタイヤ表面の温度が摩擦抵抗によって上がり、よりグリップする。そこにプラス荷重を乗せるのだ。こうすることで鋭いコーナリングが始まる。

 そして、その後コーナー脱出に向けてアクセルを踏み込むのだが、そのタイミングが早すぎると、重いエンジンがリアサスペンションを沈み込ませ、ズッシリとリアタイヤに重し(ダウンフォース)を乗せる。

 すると、フロントが浮き気味となり、アンダーステアを発生させ、どんどん外に膨らみ、膨らむとさらにステアリングを切り込むから重いリアが巻き込みスピン! という図が出来上がるのだ。

 911はちょっとしたドライブのコツが要る。ただコントロールできるようになると、これほど痛快で楽しい乗り物はない。すべては911がRRでリアが重いことに起因するハンドリングだ。そのため911はリアサスペンションにマルチリンク式を採用している。ボクスターはストラット式だ。

911に対するボクスターの「違い」と「意外な魅力」は?

ポルシェ911(当時:997)ではオプションだった横滑りシステム(ポルシェ・スタビリティ・マネージメントシステム)が標準装備
ポルシェ911(当時:997)ではオプションだった横滑りシステム(ポルシェ・スタビリティ・マネージメントシステム)が標準装備

 ボクスターは、エンジンがミドシップ。トランスミッションはその後ろにマウントされ、ここが911とは逆のレイアウトになる。これによってそこそこフロントタイヤにも荷重が載っている。

 だから、それほどブレーキングにこだわらなくても、キレイにコーナリングする。911ほどのいやらしい癖はもっていない。時々、前触れもなく急に怒り出す彼女・彼氏っているよね。それって嫌でしょ! 911は、そういうクルマ。

 これに対してボクスターはとても素直。何も考えず素の頭で乗って楽しい。でも、911の55%もの部品を共有しているのだから、911そのものを感じることができる、エンジンのレスポンス、排気音、操舵フィール。

 とはいうものの、急に怒りだす彼女・彼氏ってクセになるような魅力があったりするもの。筆者が何を言いたいか、もうおわかりと思う。

 いつかホンモノの911に乗ったとき、そうか! これがホンモノのポルシェなのか!と感動するはず。その感動に浸るためにもボクスターに乗っておくべき。しかも200万円そこそこで2代目ボクスターが手に入るのだから。

【画像ギャラリー】本稿で紹介したポルシェ987型2代目ボクスター(2004~2012年)をみる

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