日本を代表するスペシャルティカーのトヨタセリカは、歴代モデルがモータースポーツに投入され、なかでもWRCをはじめとするラリー活動を積極的に展開してきた。
どのモデルも日本車、とりわけトヨタ車としてはデザインにこだわり老若男女を熱狂させてきた。
ラリー王国復活のトヨタの往年の名マシンのベースとなったセリカGT-FOURを3世代にわたり中古マーケットを調査し、萩原文博氏が考察する。
文:萩原文博/写真:TOYOTA、ベストカー編集部
セリカGT-FOURはWRCマシンのベース車

WRC(世界ラリー選手権)のトップカテゴリーとなる、WRカー(ワールドラリーカー)規定が2度目の改定が行われた2017年。1999年以来となるトヨタがヤリス(日本名ヴィッツ)でWRCに復活した。
復帰した2017年はスウェーデンラリーとフィンランドラリーの2戦を勝利し、翌2018年シーズンはオット・タナックが4勝、ヤニーマティ・ラトバラが最終戦に勝利し、通算5勝でマニュファクチャラーズタイトルと獲得するなど復帰後、しっかりとした結果を残し念願のラリージャパン開催に向けてアピールしている。

WRCというとスバルインプレッサや三菱ランサーエボリューションのイメージが強いが、WRCで初タイトルを獲得したのは1990年のドライバーズタイトルに輝いたトヨタだったのだ。そのトヨタがWRC初のタイトルを奪取したマシンこそ、セリカGT-FOURなのである。
そこで、今回は1990年代にWRCで輝かしい成績を残したセリカGT-FOURの中古車事情について紹介したい。
限定モデルが大人気
グループA規定となったWRCに参戦したセリカGT-FOURの市販車は1986年~1989年に販売されたST165型、1989年~1993年に販売されたST185型、そして1993年~1999年に販売されたST205型の3モデルとなる。
なかでもST185型のセリカGT-FOURは1991年9月にWRC用のホモロゲーションモデルであるセリカGT-FOUR RC(ラリー・コンペティション)を日本国内限定1800台で販売。メタルタービンや、水冷式のインタークーラーを採用し、戦闘力がアップされ高い人気を誇った。

そして、セリカGT-FOURの最終モデルとなったST205型は搭載する水冷インタークーラーを採用した2L、直列4気筒ターボがさらにチューニングされ最高出力255psを実現。
大型リアスポイラーやエアスクープが装備されたボンネット、インタークーラーを冷やすウォータースプレなどを装備したGT-FOUR WRCが国内2100台限定で販売された。