N-BOXはなぜ勝ち続けられるのか? 令和の販売王者を徹底分析!!

N-BOXはなぜ勝ち続けられるのか? 令和の販売王者を徹底分析!!

 ホンダのスーパーハイトワゴン軽自動車のN-BOX&N-BOXカスタムは2011年にデビューした初代、2017年にデビューした2代目の現行とも大人気で、2019年も年間販売台数のトップとなった。

 全軽自協の統計データによれば、2019年1~12月の累計販売台数は25万3500台をマーク。軽自動車2位のダイハツタントの17万5292台に大きく差をつけ、登録車でナンバーワンとなったトヨタプリウスの12万5587台(自販連公表データ)の2倍強という凄い台数なのだ。

 本企画では日本で一番売れているN-BOXの販売データを見ればクルマ界のトレンドがわかる、ということで、N-BOX&N-BOXカスタムの販売データを検証してみたい。

※販売データは本田技研工業広報部算出のものを使用。小数点以下を丸めているため、各比率の合計が100%にならない場合もある

文:永田恵一/写真:HONDA、ベストカー編集部

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標準とカスタムの販売比率

■N-BOX:49%
■N-BOXカスタム:51%

N-BOXは標準タイプ(写真右)とエアロタイプのカスタム(写真左)をラインナップし、両モデルがほぼ半々で売れているのにはビックリ

 軽自動車で標準タイプとエアロタイプをラインナップする手法は1995年にデビューした初代ダイハツムーブがデビュー2年後にカスタムを追加して先鞭をつけた。

 この手法は今や軽自動車の常識となっていて、N-BOXもN-BOXとエアロタイプのN-BOXカスタムというラインナップとなっている。

 オーソドックスな標準に対しワイルドなカスタムという図式はN-BOXも同じだが、ほぼほぼ半々で売れている。

 街中では目にするとカスタムが目立つため、販売比率も多いように感じるが、標準タイプが健闘して販売を伸ばしているのは、法人需要で標準が好まれているなどとも関係してくるという。

 N-BOXの場合、標準タイプに安っぽさがなく、安心感のあるフロントマスクがある意味アイコンになっていることも無視できない。

N-BOXの標準タイプは安っぽさとは無縁で安心感がある。旧型から変わり映えしないと言われるデザインだが、質感は大幅にアップしているのも人気の要因

NAとターボの販売比率

【N-BOX】
NA:90%/ターボ:10%

【N-BOXカスタム】
NA:80%/ターボ:20%

 自動車メディアなどでは、軽自動車のターボの優位性を大々的にアピールしているが、実際に売れているのは圧倒的にNAエンジンとなっている。

 ターボが最も優位性を発揮するのはターボパワーによる動力性能と高速道路での燃費だが、高速道路は頻繁に使わない人にとっては15万円程度高いターボは魅力的ではないのだろう。

 実際にアシとして使うにNAの動力性能でまったく不満はないのもポイントだ。ターボの場合、NAよりもオイル交換の頻度が上がるなど、ランニングコストを考えてもNAが売れているのも納得だ。

 標準とカスタムでNAとターボの販売比率が10%違うのは、標準タイプよりもカスタムのほうが若い世代や走り好きが購入していると予想できる。

動力性能を比較すればターボに軍配が上がるが、NAでも加速感は不満ない。ただし高速道路での燃費はトルクに余裕のあるターボのほうが有利

FFと4WDの販売比率

【N-BOX】
FF:86%/4WD:14%

【N-BOXカスタム】
FF:86%/4WD:14%

 都市部の場合、特別なケースを除きあえて4WDを購入する理由はない。4WDの需要のほとんどは、北海道や降雪地域となっている。

 では、この販売比率から見てN-BOX&N-BOXカスタムは北海道や降雪地域で売れていないのだろうか?

 その答はノー。降雪地域の人すべてが4WDを買うわけでないない。今ではスタッドレスタイヤはバリエーション豊富だし、何よりも性能アップして雪上性能に優れていているため、ヘビー地域を除けばFF+スタッドレスをチョイスするケースが多いのも事実だ。

豪雪地域などでは4WDが必須となるが、ちょっとした雪などではFF+スタッドレスで対応するユーザーは多い

 4WDを購入してもスタッドレスは必要なので、N-BOXシリーズの場合、FFと4WDの価格差は13万3100円は無駄遣いしたくないと考えている人もいるだろう。

 ちなみに軽乗用車の4WD比率は14.2%となっている。これには4WD専用のジムニーのデータも含まれているのを考えると、N-BOXは降雪地域などでも需要があり人気が高いことがわかる。

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