最近の軽自動車は、安全性、空間効率などでは非常に優れているものの、どのクルマも似ている気がする…と感じている人多いのではないだろうか?
ところが、ふと過去を振り返ってみると、実に個性的で、正直現在では商品化のGOサインは出なかったのではないだろうか、というクルマがたくさん生まれていた。
今回は、そんな個性派のなかでも、当時としてもかなり攻めていたと評価される軽自動車を選出。そのユニークで、創造性にあふれた姿を振り返ってみたい。
文/片岡英明
写真/DAIHATSU、SUZUKI、HONDA、SUBARU
【画像ギャラリー】登場したクルマたちが持っていた特徴的なポイントを紹介!
■ダイハツ ミラ・ウォークスルーバン
ご存じのように「MIRA」は、1980年6月に誕生した軽ボンネットバンのミラ・クオーレを祖とするスモール2ボックスだ。1982年から「ミラ」を名乗り、軽自動車ブームを牽引した。
デビュー時の心臓は547ccの直列2気筒SOHCである。1984年5月、このL55系ミラに特装車の形で加えられたのが「ミラ・ウォークスルーバン」だ。荒川車体工業が大改造を行い、荷室の高さを軽自動車の規格いっぱいの2m近くへと引き延ばした。アンバランスだが、なぜかキモかわいらしく感じられたのである。
乗降用のドアは左側だけだ。1人乗りと割り切り、助手席はオプションとした。すり抜けしやすいウォークスルー機能を盛り込み、ドアは内開き式の折戸ドアである。バックドアは上下跳ね上げ式と3枚折戸のトリプル式バックドアを用意している。
開発時は100台くらい売れればいい、と思っていたが、これが思いもしない大ヒット。そこで2代目のL70系ミラをベースにした第2世代のウォークスルーバンが1986年3月に登場した。
1990年、軽自動車は規格改正を行い、全長を延ばすとともにエンジンを660ccにしている。ダイハツもL200系ミラを投入した。このミラにもウォークスルーバンが設定されたのだ。最後の作品は、これに続くL500系ミラをベースにしたウォークスルーバンである。
発表された時は、多くの人がこの奇妙なスーパーハイトワゴンは1代限りで終わるだろうと思った。だが、気がついてみれば、4代、17年の長きにわたって第一線で活躍を続けたのだ。
■スバル ヴィヴィオ Tトップ
レックスの後継として、1992年3月に誕生したのがヴィヴィオだ。走りのよさにこだわったドライバーズ・ミニセダンで、エンジンは658ccのEN07型直列4気筒で、DOHCにスーパーチャージャーを組み合わせたホットモデルも設定する。また、4WDシステムも2種類を用意した。
1993年5月、富士重工業(現・スバル)の創立40周年を記念して送り出された特別限定車、それが「ヴィヴィオ Tトップ」だ。
3ドア車のルーフを取り、キャビン中央にロールバーを備えたTトップが売りで、3分割式のディタッチャブルトップを装備する。これに日本で初めて電動開閉式リアウィンドウを組み合わせた。
売りは、オープントップ、Tバールーフ、リアオープン、フルオープン、クーペと、その日の気分によって楽しめることだ。限定3000台の予定だったが、バックオーダーを抱えるほどの人気となっている。
そこで1994年2月に第2弾として、スーパーチャージャー仕様にした高性能版1000台を追加発売する。今でも程度のいい中古車を探している人がいる、おしゃれなスモールクーペだ。
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