運転中、道を譲ってもらった際に「ありがとう」の気持ちを込めてハザードランプを2〜3回点滅させる「サンキューハザード」。日本の道路では広く浸透している運転マナーのひとつですが、ハザードランプの本来の使い方ではないとして、サンキューハザードをするべきではない、とする人もなかにはいます。
はたして、サンキューハザードはアリなのか、ナシなのか!?? そしてハザードランプの本来の使い方とは!!?
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_hanack/写真:Adobe Stock、写真AC
【画像ギャラリー】サンキューハザード」はあり? なし? ハザードランプの正しい使い方(5枚)画像ギャラリー危険(ハザード)を知らせる際に使うもの
ハザードランプは、正式には「非常点滅表示灯」といいます。この非常点滅表示灯の点灯が義務付けられている状況としては、夜間に幅5.5メートル以上の道で停車または駐車をする際(道路交通法施行令第18条2)と、通園通学バスが乗り降りのために停車している際(道路交通法施行令第26条3の2)。
そのほかにも、故障などのトラブルでやむを得ずクルマを道路上に停車させるときや、高速道路で渋滞の最後尾についたとき、また駐車場で駐車をする際にも「ここに駐車します(ので気を付けてください)」という意思表示として、ハザードランプを点灯させます。
「危険」という意味をもつ「ハザード(hazard)」とつくように、ハザードランプは、周囲に危険を知らせるために装備されているもの。したがって、サンキューハザードは、ハザードランプの本来の使い方ではありません。
ただ、これだけ定着していることを考えれば、トラブルを避けるためにも使ってよいのでは?
しかしながら、これだけサンキューハザードが定着してきている現状を考えれば、ありがとうを伝えるためのツールとして、ハザードランプを使ってもよいのでは、と筆者は考えます。
もちろん、特に危険な状況でもないわけですから、むやみに使うことは避けなければなりませんが、道路交通法において、ハザードランプを点灯させてはいけないとする規定はない(道路交通法第53条4の「合図に係る行為をしないのにかかわらず、当該合図をしてはならない」という規定は、「これらの規定に規定する」という記述から、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときと、環状交差点における合図だと考えます)ですし、道を譲る行為があってからのハザードであれば、非常事態を伝えるものではなく、謝意を伝えるものである可能性が高いことを理解することは、難しいことではないと感じます。
警察としても「(ハザードランプの)本来の使い方ではないものの、違法とはいえない」と考えているようで、また自動車教習所では、「サンキューハザードをやるべき」とは教えていないものの、安全運転の知識として「こうした行為があるので驚かないように」と教えているようです。
ただ、相手に求めるようなことは避けるべき
もちろん、サンキューハザードをしなければならないということはなく、謝意を伝える基本は、アイコンタクトや会釈、ハンドサインなどが好ましいということは変わりません。ただ、これらは、相手のドライバーからは見えないこともあります。相手の好意を受け取ったと感じたときは、余計なトラブルを避けるためにも、サンキューハザードをすることもよいのではないでしょうか。
ただ、繰り返しになりますが、本来のハザードランプの使い方ではありませんから、サンキューハザードを相手に求めるようなことはしないでおきたいところ。こちらからは見えなかったとしても、相手のドライバーはハンドサインやアイコンタクトで謝意を伝えていたかもしれませんし、なんらかの事情でサンキューハザードが出来なかったのかもしれません。サンキューハザードは「相手から伝えられたら気持ちよく受け取るけど、なかったからといって何とも思わない」くらいで受け止めておくのがよいのかもしれませんね。
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コメント
コメントの使い方サンキューハザードは島国日本のガラパゴスじゃないのでしょうか? 流行りだした時代に 最初全車が走行時にエンストしたのでハザード点灯してると思ったら実はサンキューハザードだったんですね ヨーロッパや大陸みたいに車文化も違うんで国際運転免許で来日して運転される方は困惑でしょう やっぱハンドゼスチャーか会釈が無難だ
合流後のハザード点灯により、詰めまくっていた車間距離を少し離してくれる後続車は確実に多いと感じます。
後続車さんが、サンキューの意味で受け取ってるか、危険信号として受け取っているかは分かりません。が、結果は同じで
車間距離が広がることに繋がりやすい。安全面でも、気持ちを後続車に持っていかれずに全体への注意へ切り替えやすい面でも
私はハザード焚きます。合流はリスキーですしね。
「サンキューハザード」は日本だけの文化なのかな?
最近は外国人旅行者がレンタカーで運転していることも増えているので、「サンキューハザード」のようなグレーゾーンルールは辞めてあげたほうがいいと思う。行う車と行わない車がいたら、何も知らないと紛らわしい。
来日客やSNSなどで広まったのか、実は海外でもthank youハザードは広がっています。
その是非は私も悩みどころではあるのですが、少なくともドイツ・フランス・オーストラリア・アメリカの一部州では既にやられていますね。
日本が関係ない昔からの可能性もありますし、定着せず消える可能性もあります。まぁ我々は日本の事だけ考えればいいかも