■どちらが「正しい」ではなくトラブル防止の観点を
また法律上の観点から見れば、自分のほうが正しいとしても、それが交通トラブルを起こす原因となってしまうことがある。例えば首都高速での走り方について考えてみよう。
首都高速の右側車線は追い越し車線ではない(湾岸線など制限速度80km/hの区間は追い越し車線)が、それを知らないドライバーも多い。だからといって右側車線を悠然と走っているのは、無知なドライバーにも原因があるとはいえ、交通トラブルの原因になる。
急いでいるドライバーは、右側車線を走って追い付いてきたら、速やかに左車線に進路変更して譲ってあげることだ。これを「右車線は追い越し車線じゃない!」とばかりに居座るとトラブルの種になる。
観点は「どっちが悪い」のではなく、「いさかいを起こさない」ということなのだ。右側車線は追い越し車線であろうと走行車線であろうと、左側からの追い越しは道交法で禁止されている。だから後方から来たクルマが追い越していきたいのだろうと思った時には、左車線に進路変更して進路を譲ることだ。これは道交法の27条の2項「追い付かれた車両の義務」として決められている。
そして残る問題は、そうした後方から追い付いてきたクルマに気付かないドライバー、運転操作に余裕がないドライバーに遭遇した場合だ。あおり運転が社会問題化し始めた頃から「あおられる側にも原因がある」という論調を目にしたことがあるだろう。
自分勝手なルールや感覚で運転していたり、周囲の状況に気を配る余裕がないドライバーがいるのは確かなことだが、現実的にいってすべてのドライバーが運転が得意だったり好きで上達しようと思っている訳ではない。自分と同じ感覚を相手が持っていると思うのは、勝手な決め付け思い込みに過ぎない。
高齢者ドライバーの運転レベルの低下も問題視されているが、自分以外のドライバーの運転に問題があったとしても、それを諌めたりするのは警察の役目で、一般ドライバーにはそんな権限はないのだから、余計なことはしないことだ。
■相手の勘違いで妨害運転罪で検挙されるのをどう防ぐか
接触事故などに至らなくても妨害運転罪が成立する以上、自分は問題ないと思っている運転や行動でも、他人から見れば危険な運転操作にみえてしまうことはあり得る。そして妨害運転罪として告発されてしまう可能性は十分にある。そのためドライブレコーダーで自車の動きを記録しておくことは、自衛手段としても有効だろう。
ちょっとした勘違い、行き違いがトラブルの原因になることは珍しくない。相手の勘違いであることを証明することは、そうした交通トラブルを解決する一番の方法だ。
ただし、いくら証拠があるからといって、一方的に相手を追いつめないことだ。自分の勘違いだとわかったとしても、相手が上から目線で一方的な言い分では、納得できる内容でも和解しにくい。相手にだってプライドはあるし、やり込められるのは気分のいいものではない。
そもそも、そうした交通トラブルを防ぐには、何か相手ドライバーに原因があっても、相手にしないことだ。そして言い争いになりそうになっても、落ち着いて話をすることが大事だ。
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