bB、ザッツ…何がダメだった? 売れそうで売れなかった車 5選

2代目トヨタbB/2005年発売

 bBは背の高いコンパクトカー。2000年に発売された初代bBは、初代ヴィッツのプラットフォームを使いながら、ホイールベースを130mm長い2700mmに設定した。

 全高も1600mmを上まわり、直線基調の個性的な外観と4名乗車時の快適な居住性を両立させて堅調に売れている。発売の翌年となる2001年には、5000台前後を販売した。

2005年発売の2代目bB。初代モデルは人気を集めたが、2代目はやや停滞。2016年まで販売を継続し、絶版となった
2005年発売の2代目bB。初代モデルは人気を集めたが、2代目はやや停滞。2016年まで販売を継続し、絶版となった

 ところが2005年に登場した2代目は売れ行きを下げた。開発はダイハツが担当して、プラットフォームは初代パッソ&ブーンと共通化した。

 外観は初代以上に個性的になったが、サイドウインドウの下端が高く、側方や後方の視界が悪い。ホイールベースは40mm伸びたが、後席は着座位置が低めで初代よりも窮屈に感じた。運転のしやすさと4名乗車時の快適性が低下している。

 特徴は全車の前席に「マッタリモード」を装着したことだ。運転席と助手席の着座位置を下げる機能で、駐車時にリクライニングと併用して寝そべると、クルマに潜り込んだ感覚になり個室感を演出できた。上級オーディオシステムも用意され、若い男女に楽しんでもらおうというコンセプトだった。

 しかし、当時の若年層はすでにクルマを日常生活のツールと考えており、マッタリモードは好まれなかった。結局はオジサンの考えた若者グルマで、2008年頃には月の登録台数が3000台前後まで下がった。この後、マッタリモードも搭載グレードを減らした。

マツダ ビアンテ/2008年発売

2008年発売のビアンテ。2018年に生産中止となり、絶版に
2008年発売のビアンテ。2018年に生産中止となり、絶版に

 2008年にビアンテが登場した時、開発者は「ミニバンは背が高くないと売れないから、ビアンテを開発した」とコメントした。

 マツダは1999年に初代プレマシー、2005年に2代目を発売したが、全高が1700mm以下のワゴン風ミニバンだ。2代目はスライドドアも装着したが、マツダの意図した通りに売れず、セレナのように全高が1800mmを超えるビアンテを開発した。

 しかし困難が伴った。当時のマツダでミニバンが成立するプラットフォームは、2003年に登場した初代アクセラのタイプしかない。そうなるとセレナやヴォクシーと同様の5ナンバーサイズに収めるのは不可能で3ナンバー車になった。

 さらに、アクセラのプラットフォームは、構造上ペダルの位置を高められない。これはハイルーフミニバンを開発するには致命的な欠点で、床の前側を持ち上げて平らに仕上げられない。そこで車内の床に段差を設けて、後席ほど高くなる「シアターレイアウト」を採用した。

ビアンテの前方席の着座位置は、アクセラベースのプラットフォームゆえあまり高く出来ないという苦労も
ビアンテの前方席の着座位置は、アクセラベースのプラットフォームゆえあまり高く出来ないという苦労も

 一番の問題はドライバーの着座姿勢と視界の確保だ。ペダルの位置は低いから、前席の着座位置もあまり高められない(それでもペダルと座面の間隔はかなり離れていた)。

 しかし、全高は1800mmを超えるから、ボンネットも相応に高く設定しないと外観のデザイン的なバランスが悪化する。そこでボンネットを高めたが、ドアパネルの上端も同じ高さまで持ち上げると側方が見えなってしまう。

 ビアンテを開発した裏側には、このような苦心があったが、ユーザーからは「単に妙な形の3ナンバーミニバン」と見えてしまった。

基本レイアウトのビアンテ。3列目は床下収納や跳ね上げ式ではなく、荷室容量に課題も
基本レイアウトのビアンテ。3列目は床下収納や跳ね上げ式ではなく、荷室容量に課題も

 シートアレンジも個性的で、3列目を左右に跳ね上げたり、床下に格納することはできない。座面を持ち上げて前方にスライドさせる方式だから、荷室の奥行が限られてしまう。

 その代わり3列目の座面を持ち上げて2列目を後方にスライドさせると、車内の中央(1列目の後ろ側)に広い空間ができた。スライドドアから自転車を積むことも可能だったが、これもユーザーの共感は得られなかった。

 ビアンテの3列目は、左右跳ね上げ式の車種に比べて座面が柔軟だったが、奥行寸法が短くやはり理解されなかった。努力が実らず、2009年の登録台数は、早くも1か月平均で約1000台と低迷した。

次ページは : エクシーガ&クロスオーバー7/2008年発売

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!