■燃費効率にすぐれたミドルサイズセダン
○インサイト/月平均登録台数:236台
●優れた特徴:1.5Lのe:HEV(ハイブリッド)を搭載するミドルサイズセダンで、街中と高速道路を使って実用燃費を試したところ、普通の走り方で28km/Lに達した。燃費効率が優れ、加速も滑らかだ。スポーティではないが、乗り心地も快適で長距離の移動に適する。
フロントマスクなどの外観デザイン、インパネ周辺の質も高い。「LX」が355万5000円と価格は高いが、カーナビなども標準装着される。シビックと装備の違いを補正して価格を比べると、実質25~30万円の上乗せで、1.5Lターボがe:HEVにグレードアップされている。
●売れない理由:e:HEVでは、エンジンは主に発電機を作動させて駆動はモーターが受け持つ。高効率なハイブリッドシステムや充実した装備を採用しながら、インサイトは買い得だ。
しかし、300万円を超える価格だけを見ると、割高感が生じてしまう。カーナビはオプションにして価格を下げる方が、数多く売るためには有利だ。また大人しい雰囲気のミドルサイズセダンは、流行からはずれて売れ行きを伸ばすのは難しい。注目を集める華やかなグレードも必要だろう。
■運転すると分かる上質な乗り心地
○アコード/月平均登録台数:295台
●優れた特徴:操舵感は鈍く、カーブを曲がる時にはボディの揺り返しが少し大きい。その代わり乗り心地は快適だ。e:HEVの制御も進化して、モーター駆動を基本としながら、アクセル操作とエンジン回転数をある程度同期させた。後席を含めて居住性も良好だ。運転すると上質なクルマだと分かる。
●売れない理由:リアウインドウを寝かせた外観は、5ドアハッチバックのように見える。このような外観のLサイズセダンは、日本では売りにくい。
さらに現行アコードの発売は、日本では2020年2月だが、北米では2017年7月に発表されていた。日本では北米の新型発表から2年半にわたり、安全装備などの劣る旧型を売っていた。
つまりアコードにとって日本はオマケの市場だから、売れ行きが伸び悩んでも仕方がない。販売にも力が入らず、メーカーも諦めているように見える。
■ゆったり乗れて安定性も良好なミニバン
○オデッセイ/月平均登録台数:679台
●優れた特徴:オデッセイは床を平らに仕上げながら、その位置を低く抑えた。全高は1700mmを下まわるが、室内高は充分に確保されている。床が低いために乗降性が優れ、低重心になるから走行安定性も良好だ。
3列目のシートは、床と座面の間隔が適度で、着座姿勢も自然な印象に仕上げた。足を前方へ投げ出すアルファード&ヴェルファイアよりも、快適に座れる。低重心で走りが良く、なおかつ多人数乗車時の居住性も優秀だ。快適性と低燃費を両立させたe:HEVも選べる。
●売れない理由:ミニバン開発の難しさは、機能の優れたクルマが好調に売れるとは限らないことだ。アルファード&ヴェルファイアに比べると、全高が低いために外観の存在感が乏しい。
床が低いので乗員の視線も下がり、車内からの見晴らしが良くない。実用的な機能は優れているのに、情緒的な理由で販売が伸び悩む。
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