あなたの運転間違ってない!? 燃費向上のための「べからず」運転とは?

■一般道での燃費向上策

加減速の機会が多い一般道では、エンジンへの負荷をなるべく低減させることが重要となる(写真/Adobe Stock naka)
加減速の機会が多い一般道では、エンジンへの負荷をなるべく低減させることが重要となる(写真/Adobe Stock naka)

 ではより具体的に一般道での燃費向上策から解説していきたい。

●エンジンを急作動させるべからず

急なアクセル操作など、「急な運転操作」を避けることはエコドライブだけでなく、スムーズな運転のための基本中の基本だ(写真/AdobeStock Paylessimage)
急なアクセル操作など、「急な運転操作」を避けることはエコドライブだけでなく、スムーズな運転のための基本中の基本だ(写真/AdobeStock Paylessimage)


 燃費向上の基本中の基本といえるのが前述のように「急な操作をしない」ことであることは間違いない。

 ハイブリッドでもエンジンの回転数の上げ下げを急に行えば(多くの場合は表示がないのでエンジン音でしか確認できない)、エンジン内部の摩擦損失の増加など細かいことを言わなくとも、エンジンが発するうなりが大きくなれば、エネルギーロスが生じていることを誰もが体感するからわかりやすい。

 ハイブリッドシステムといえども主役はあくまでエンジンであり、エンジンの燃料消費率(やや難しくいえば熱効率)の向上のために、いかにエンジンを効率よく作動されるかに焦点が当てられているわけで、電動モーターはあくまでエンジンのサポート役を担っているからだ。

●アイドリングストップ機能を切るべからず

タントのアイドリングストップシステム。停車する場面の多い街中などは、多少なりとも燃料の消費を抑えられる
タントのアイドリングストップシステム。停車する場面の多い街中などは、多少なりとも燃料の消費を抑えられる

 「アイドリングストップは煩雑だからイヤだ!」というユーザーがいることは承知しているつもりだ。

 HVではモーターを介しているので振動やノイズなどが抑制されているので感じにくいとはいえ、エンジン車ではエンジンの停止ではまだしも再始動では目立ちがちになってしまう。クルマによっては解除スイッチが依然として見られるのは想像するよりもこうした意見が多いのだろう。

 一般的にアイドリングストップの燃費向上代は約5%と言われ、後述するエアコン使用などで相殺されてしまうとかエンジンへの負荷が大きくなるとの意見もあるが、エンジンを停止している限り燃料は消費されないことは事実だから、ドライバーがこの不自由さをどう捉えるのかに委ねたい。

●エアコン作動は控えめに

エアコンは付けっぱなしにせず、天候を考慮して設定温度の調整やオン/オフの切り替えを行いたい
エアコンは付けっぱなしにせず、天候を考慮して設定温度の調整やオン/オフの切り替えを行いたい

 エンジンの作動をなるべく抑えるためには、エアコン温度を低く設定することも工夫のひとつ。エアコン・オンでの電気的負荷はEVを運転するとよくわかる。

 たとえば、エアコンをオフからオンに切り替えると航続可能距離が十数km減少することさえあることから、エンジン車やHVなどでは実感しにくいエアコンの負荷がはっきりと認識できる。

無駄な荷物を積んだままにしない

タントの荷室。積載性の高さは魅力だが、使わない荷物の積みっぱなしは重量増となり、エンジンの負担が大きくなる
タントの荷室。積載性の高さは魅力だが、使わない荷物の積みっぱなしは重量増となり、エンジンの負担が大きくなる

 燃費をよくするために忘れてはいけない事前の準備としては、日常的にドライバーの心得として使わないモノを積みっぱなしにしないことも重要だ。

 「燃費にとって車重は軽ければ軽いほどよい」というなんとも基本的な部分ながら、開発時に軽量化に腐心しているエンジニアの苦労を無駄にしていると思えば、無駄積みを意識しやすいかもしれない。

■高速(自動車専用)道路での燃費向上策

高速(自動車専用)道路では一定の速度を保ち、無駄な加減速を抑えるようにしたい(写真/Adobe Stock taka)
高速(自動車専用)道路では一定の速度を保ち、無駄な加減速を抑えるようにしたい(写真/Adobe Stock taka)

 続いては高速道路での燃費を向上させる運転を解説していきたい。

●オートクルーズコントロールを活用すべき

レヴォーグのアイサイトXはACCをセットしたままで料金所手前に来ると、ETCゲートを安全に通過できる速度まで減速し、通過後はセット車速まで加速する機能も備えている
レヴォーグのアイサイトXはACCをセットしたままで料金所手前に来ると、ETCゲートを安全に通過できる速度まで減速し、通過後はセット車速まで加速する機能も備えている

 高速道路を走らせるうえで、無駄なペダル操作を抑えるという点では一定速度の高速巡航を実現するオートクルーズコントロール(ACC)を使うことは、いうまでもなく欠かせぬテクニックといえる。

 JAFホームページより抜粋させていただくと、ACCと燃費数値と題した項目では、「アクセル操作が一定になるACCでは一般的に燃費数値が向上する傾向にあります。JAFユーザーテスト(JAF Mate2014年6月号掲載)では、高速道路でACCを使用した場合と、ACCを使用しない場合で燃費数値を比較測定した結果、ACCを使用すると最大で12%も燃費数値が向上する結果となりました」(出典:JAF)とある。

 むろん、走行した道路状況や天候や走行時刻、ドライバーの運転経験によって数値は変化する。

 「JAFユーザーテストの結果からは、ACCを使用するとドライバーのアクセル/ブレーキペダルを操作する時間や回数が減少することにより、ドライバーの運転操作に対する負担が減るだけでなく、それによる燃費向上効果も認められることがわかりました」(出典:JAF)とされている。

 たとえばアイサイトVer.2に採用された「ツーリングアシスト」機能では、0~120km/hの速度域で自動的な前方車両追従機能を備え、追従機能の安楽さとともに無駄なエンジンの作動を車両側で抑制してくれるから燃費向上にも貢献することになる。

道路の勾配を意識すべし

 ともかくエンジンの使用割合を減らすことが肝心だが、高速巡航を効率よくカバーするためにトヨタが副変速機を追加してハイブリッドシステムをTHSIIに進化させたことはよく知られた話だ。特に高速道路の上り坂に差し掛かった場合の対処法については、再度JAFのコメントを例に挙げてみよう。

 「上り坂ではアクセルを一定に踏んでいると次第に速度が落ちてきます。しかし、速度を保とうとアクセルを踏み増すと、走行抵抗が大きいため燃費が大幅に悪化してしまいます。 速度が落ちるほど加速に要する力が大きくなるので、速度が落ち始める前にアクセルを踏み増しましょう」(出典:JAF)とある。

 対して、長い下り勾配に差し掛かろうとする場面では、速度を一旦上げて、下りで惰性走行(コースティング)を利用して燃費を稼ぐワザもある。これも周囲の交通状況への配慮を必要とする。

 HVでは電費を稼ぐためには、アクセルオフでもハイブリッドはエネルギー回生を実施するので、アクセルペダル操作を控えることには燃費向上には意味がある。

 勾配を意識して走らせるのは、燃費運転のなかでも最も「言うは易し」の好例ではないだろうか。経験と視野の広さ、そして運転技術が加わった「交通状況に応じた予測運転」という知的作業というべき、ハイレベルなドライビングテクニックといえる。

 ちなみに、エンジン車では前述のコースティング機能を有効活用して負荷を減らすことができるため、エンジンとトランスミッションの結合を切り離すことになるニュートラル(N)ポジションを選択するというやり方があるが、個人的にはあまり推奨できない。

 不意のトラブルに合った際に瞬時に車速をコントロールできないデメリットをどう捉えるかによるだろう。

●巡航速度のツボをとらえる

プリウスなどのハイブリッド車ではエンジン回転数が表示されないこともあるが、ガソリンエンジン車では一定の(なるべく低い)回転数をキープした走行を心掛けるようにしたい
プリウスなどのハイブリッド車ではエンジン回転数が表示されないこともあるが、ガソリンエンジン車では一定の(なるべく低い)回転数をキープした走行を心掛けるようにしたい

 ここから高速巡航での燃費が向上しやすい“ツボ”をどう捉えるかという感覚的な話をしてみたい。高速走行時の燃費性能を形作るのは、ボディサイズや車重、エンジン排気量(ターボ装着の有無)と繋がるパワーとトルク、HVでは駆動用バッテリー搭載量(容量)など様々な要素が絡み合う。

 実体験を加えておくと、かつて在籍した自動車雑誌編集部で試乗する際の燃費計測では100km/h巡航のテストモードが設定されていて、2時間程度(すなわち約200kmの走行距離)を走行して満タン給油して燃費を計測していた。

 HVではエンジン回転数が多くの場合表示されないことが多いとはいえ、ギア比(CVTならプーリー比)が高ければ、多くの場合、1000rpm前後から1500rpm程度に設けられているはず。

 経験上では輸入車の場合は燃費が伸びる巡航速度域が日本車と同クラス車両と比べると高めに設定され、なおかつ100km/hと120km/hプラスαの速度域での燃費の差が少なかったことが印象として残っている。

 すなわち日本車での「燃費のツボ」が100km/h前後であるのに比べ、輸入車は120km/h超あたりに存在するように感じられた。

 最近では各メーカーがエンジンの排気量抑制+ターボ化による“ダウンサイジングターボ”を開発など低回転でのトルクを改善する努力の結果、より低い回転域でのドライバビリティの改善と燃費の向上を両立させてきた。

 それでもフォルクスワーゲングループのモデルでは、様々な要因によって主力となる直列4気筒エンジンの排気量を1.4Lから1.5Lへと変更するなど試行錯誤は続いているから、エンジン開発は一筋縄ではいかないことが見てとれる。

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