アジア圏で大人気のアルファードに挑む!? ヒュンダイが送り出す「スターリア」の実力とは!?


 近年、アジア圏の富裕層を中心に活躍の場を広げるトヨタの大型ミニバン『アルファード』。特に豪華なものが好まれる中国市場を皮切りに、レクサス仕様となるレクサス『LM』まで登場し、日本でも大きな話題となった。

 その大型ミニバン市場に、韓国・現代自動車がまったく新しいミニバンを投入することを発表した。その名の響きも豪華な『スターリア』である。オンラインワールドプレミアを通じて、一部の情報が明らかとなったスターリアを分析してみた。

文/大音安弘
写真/HYUNDAI

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■現代自動車が発表した大型MPV「スターリア」とはどんなクルマか?

 韓国の現代自動車は、2021年4月13日、新型大型ミニバン『スターリア』のオンラインワールドプレミアを実施した。これは、2021年後半から一部の市場より発売が開始されるというヒュンダイMPVラインアップに加わるオールニューモデルである。

 現状のMPVの主力として大型ワゴン『H1(グランドスタレックス)』が用意されているが、こちらは日本でいえばハイエース的存在であり、6~12人乗り用ワゴン仕様とバン仕様を用意。私は実車を確認したことがあるが、上級車的な作り込みは見られるものの、その雰囲気は、トヨタ『アルファード』というよりも『グランエース』に近いものであった。

 ただH1のデビューは、2007年と旧式のため、その活躍の多様性を考慮すると、高級車的ニーズに応えるのは、難しい点も多かったのではと推測される。そこで次世代大型ミニバンとして開発されたのが、スターリアということのようだ。そのため、スターリアの紹介文の冒頭には、ファミリーとビジネスの両方を考慮して設計し、移動時間をより快適かつ生産的なものとすると謳われている。

 そんなスターリアの最大の特徴は、言うまでもなく超個性的なスタイル。まるで地上を走る宇宙船のようである。そのインスピレートは、宇宙から見たときに日の出時に地球の地平線を照らす光の曲線にあるという。曲線デザインのMPVといえば、シトロエンの『C4スペースツアラー』を思い起こさせるが、スターリアと比べると、あちらはスポーツモデルに思えてくる。ただ宇宙船という表現が的確に思えるようなゆとりあるキャビンデザインとしながらも、アンバランスさを感じさせないところは見事だ。

コンセプトカー? と見間違えてしまうほど大胆なスタイルの『スターリア』(プレミアム仕様)。バンパー上の車幅いっぱいのライン部にはデイライトを装備。このクルマのアイコンになりそうだ

 スターリアのモデルラインは、高級車指向の「プレミア」と標準仕様の大きくふたつに分けられる。そのデザインの差別化は、水平線を彷彿させるLEDデイライトの下に備わる大型のフロントマスクのデザインが異なる点にある。

 プレミアでは、幾何学模様を並べ、色分けによる立体感を強調した幅広いグリルの両サイドに縦型LEDヘッドランプの組み合わせ。グリルだけでなく、ボディパーツの各部にもクローム仕上げが多用される。

 一方、スターリアでは、幾何学模様も横基調となり、色もボディ同色。さらにヘッドライトデザインもコンパクト且つスクエアな形状に改めるなど、差別化が図られている。インパクトの面では、プレミアが一枚上手だが、親しみやすさでいえば、スターリアといったところか。これは個性的なデザインだけに問わられず、モデルラインの住み分けを明確とするためのデザイン上の拘りだろう。

こちらは『スターリア』標準仕様。グリルの光り物を抑え、ライトも普通になれば、意外にコンサバかもしれない。それにしても水平線を模したデイライトは夜間も目立ちそうだ

 スターリアの個性的なスタイルでさらに目を引くのが、ガラスエリアの広さだ。まるで観光バスや客車のように視界優先の作り込み。何しろ、ボディサイドの半分がガラスエリアなのだ。ミニバンとして、移動中の景色の良さと車内の開放感を高める仕掛けであることも確かだが、ひょっとすると中国の富裕層を意識した面もあるのではと分析する。

 中国の富裕層は、自分を着飾り、自己主張にも積極的。そのため、誰がクルマに乗っているのかを周囲に知らせることも、自己アピールのひとつと捉えているとも聞くからだ。その点ではスターリアは満点といえるだろう。

 クルーズ船のラウンジに着想を得たというインテリアは、挑戦的なダッシュボートデザインに、運転席側にフードレスのデジタルメーターパネル、中央部のオンダッシュにはワイド画面のタッチスクリーンシステムを装備。中央のモニターでは、キャビン後部の乗員の様子も映し出すことに加え、マイクとスピーカーを利用した車内通話機能も用意される。

 シートレイアウトは、プレミアムが7人乗りと9人乗り仕様を用意。空間にゆとりのある7名乗車仕様では、仮眠もできる電動リクライニングシートを装備。いわゆる送迎車を意識した作りだ。

7人乗り仕様には電動キャプテンシート+オットマンも装備される。室内から見ても、グラスエリアの大きさが際立つ。サンルーフも装備されており、昼間の車内は相当ルーミーだろう

 一方、9名乗りは、車内の乗員たちの盛り上がりを優先した仕様で、4列シートレイアウトの特徴を活かし、2列目シートに180度の回転機構を装備。これにより列車のような対面シートを実現した。この機能は、旅を楽しむだけでなく、車内でのミーティングなどにも活用できるとする。このほかにも、移動空間の質感を高めるべく、64色のアンビエントライトやBOSEサウンドシステムなども採用。さらにエアコンには空気清浄機能も備わるようだ。

9人乗りには2列目に回転対座シートを装備する。今どきの日本製MPVにはない装備だが、このような大人数で移動可能な車両には、動く会議室としての用途も求められているかもしれない

 ファミリーや多人数利用向けとなる標準車は、基本的なデザインは同じだが、なんと4列シートレイアウトの11人乗りが基本。かなりの大家族にも対応できる仕様だ。その後席は、フルフラット機構を備えるので、簡易ベッド仕様にもなるため、キャンプやレジャーのベースなどにも重宝しそうだ。

 スターリアがここまでの幅広い展開が可能なのは、そのボディの大きさにある。全長5253×全幅1997×全高1990mmとアルファードよりもはるかに大きく、なんとグランエースよりやや全長短い程度と巨大なのだ。しかもホイールベースは、3273mmとグラエースよりも長いため、キャビンはグランエース同等かそれ以上と考えていいだろう。このため、上級ミニバン風味のデザインながら、ビジネスシーン向けの2人および3人乗り仕様バンも設定され、そのラゲッジスペースは約5000Lもの容量にもおよぶという。

 ヒュンダイはスターリアの活躍も舞台にさまざまなシーンを想定しているようで、救急車やキャンピングカーなどの特殊仕様も設定するという。その中でも目玉と思われるのが、リムジン仕様だ。

 詳細は不明だが、ワールドプレミア動画で公開されたコンセプトモデル「プレミアムリムジン」では、贅沢にも、ハイルーフ仕様に仕立てたキャビンに3列シートのみを配置。2列目は豪華なキャプテンシート仕様で、その中央には格納式の大型テーブルを装備する。

 驚くべきことに頭上には、ロールスロイスのようなスターライトイルミネーションの天井と後席用の25インチのワイドモニターを備える。まさにアルファード エグゼクティブラウンジやレクサスLMなどとも競合する贅沢な作りとなっているようだ。特にハイルーフ仕様となる点は、スターリアの大きな強みと言えるだろう。

 パワートレーンは、最高出力272ps/最大トルク33.8kgmの3.5L直噴エンジンと8速ATの組み合わせか、最高出力177ps/44kgmの2.2Lディーゼルターボを設定。ディーゼルエンジンは、6速MTと8速ATの選択が可能というが、6速MTは基本的にはバン用だろう。

 また3.5Lエンジンには、LPG仕様もあるようだ。メカニズムでは、足まわりのリアをマルチリンクとしていること、大型ボディかつバン仕様が設定されていることからも、H1同様にFRレイアウトであることが予測される。事実上、H1の後続車となのだろう。

 先進安全装備やデジタルデバイスの搭載。低騒音、振動、NVH対策などの徹底も強調しているからも、幅広いニーズに対応するとしながらも、乗用車性能にかなり磨き上げを行っていることが予想される。

インパネは、時流に沿ったディスプレイが並ぶもの。安全装備では運転に関するものだけでなく、後席乗員の安全確保を目的としたデバイスが装備されており、おもてなし感満載のクルマだ

 デザインについては正直、好みが分かれるだろうが、ガラスエリアの大きさは観光施設などの送迎車やタクシーなどの活躍が期待できる。地上を旅する宇宙船『スターリア』が世界の大型ミニバン市場にいかなる影響を与えるか、気になるところだ。

 ただアルファードやレクサスLMとの直接対決は、ボディサイズの違いからも機動性のよさや取り回しを優先するユーザーととにかく広さを優先するユーザーとの住み分けはできそう。また現時点では、スターリアにエコカーの設定はないため、その点もトヨタ勢が有利かもしれない。ただ現時点では投入市場は非公表。最初の戦いの舞台がどの地域となるかも、興味深いところだ。

【画像ギャラリー】現代自動車が発表した大型MPV「スターリア」にズームイン!!

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