最強トヨタのライバルメーカー!? コロナ禍でもスズキが強い理由は?

■トヨタ車をジワリと脅かすスズキの影

写真のルーミーをはじめ、国内専売のコンパクトモデルを多くラインナップしているのはトヨタの強みだ
写真のルーミーをはじめ、国内専売のコンパクトモデルを多くラインナップしているのはトヨタの強みだ

 2020年度締め年間販売台数で、登録車だけでなく軽自動車を含めた台数でみると、トヨタが圧倒的にトップ(しかも軽自動車はほんの数%)となり、大差がつくのだが、2位はホンダを抜いてスズキとなった。

 軽自動車販売ではライバルとなるスズキとダイハツ。そのダイハツの軽自動車販売比率が全体の9割以上なのに対し、スズキは8割強となる。スズキは登録車販売も熱心に進めている様子がうかがえる。

 トヨタが国内販売で圧倒的な強みを持っているひとつがグローバルモデルのヤリスのほか、パッソ、ルーミー、ライズといった、国内専売となるコンパクトカーを多くラインナップしているところがある。

 日産やホンダなど、そのほかのブランドでは国内専売は軽自動車に任せているようにも見え、コンパクトカーはノートやフィットぐらいしかラインナップしていない。この2台はヤリスのライバルとしてはふさわしいが、パッソやルーミー、ライズのライバルにはなりえない。

 トヨタ以外のブランドでは、国内市場の自動車ユーザー独特の趣向性や道路環境に合わせた専売車(5ナンバー車が喜ばれる)をラインナップする余力がなく、グローバルモデルで賄おうとするので、前述したようにトヨタ車のライバルとしてなかなか車名が挙がってこないのである。

■販売力の差を考えれば大健闘のソリオ

2020年度のトヨタ ルーミーとスズキ ソリオの販売台数推移比較
2020年度のトヨタ ルーミーとスズキ ソリオの販売台数推移比較

 自販連(日本自動車販売協会連合会)統計をもとに、2020年度における各単月での、ルーミーとソリオの販売台数推移をグラフにした。ソリオは10月、11月に台数がダウンしているのが目立つが、これは11月末にフルモデルチェンジを行っているため。

 グラフを見てもらえば一目瞭然であり、ルーミーとソリオのグラフは絡み合うことなく、それぞれ違ったレベルをキープしている。

 2020年度締めでの年間販売台数はルーミーが10万3064台。2020年9月までは兄弟車タンクがラインナップされていたのでグラフでは便宜上合算していることもあるので、10月から2021年3月の6カ月での平均月販台数は、月販目標8700台に対し約1万1464台。

 ソリオの年間販売台数は4万3664台。2020年11月にフルモデルチェンジしているので、12月から2021年3月までの4カ月での平均月販台数は月販目標台数3500台に対して、5409台となっている。

 ルーミーが月販目標を大幅にオーバーして販売しているのに、ソリオも月販目標台数をオーバーした販売ペースとなっている。ソリオはルーミーに販売台数を獲られているということはなく、ルーミーとは被らないお客に販売しているように見える。

 ソリオの過去の年度締めでの月販平均台数をみると、2019年度が約3700台、2018年度が約3836台、2017年度が約4172台となっており、先代モデルの時でも、ルーミー&タンクがデビューした後も、月販目標台数以上の月販平均台数を記録してきた。

 そのため、トヨタとスズキのセールスパワーの差を考えても、大健闘というか、逆を言えば、ルーミー&タンクがソリオとは違う客層をさらに開拓して売っていると考えたほうがいいかもしれない。

 クロスビーについては、さまざまな要因もあるのだが、ライズの大ヒットにより、食われてしまった状況は否定できず、販売台数を落としている。

 オリジナルモデルとなって2代目が2010年にデビュー、その後ルーミー&タンクが2016年にデビューするまで、ソリオは同クラスでコンセプトがベタで被るモデルは存在せず、“一人勝ち”で大ヒットといっていい販売台数の記録を続けていた。

 ただ、ソリオを「いいクルマだなあ」と思っていても、「スズキだからなあ」と手を出さない人も多かったようだ。どうしても“軽自動車のスズキ”というイメージが強いので、“スズキの登録車”に抵抗を示す人もいるのである。

 そして、そうこうしているうちにトヨタがルーミー&タンクをデビューさせると、「(ソリオみたいのが)トヨタから出た」ということで購入する人が現れる。

 ほかにも、ソリオの存在を知らなかった人が、「なんか面白そうなクルマが出た」とか、「使い勝手がよさそうクルマがトヨタから出た」ということで、ソリオとは異なる客層がルーミー&タンクに集まったのである。

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