自家用車の税金はこんなに高い
おさらいしておくと、今回納付書が届いた自動車税と軽自動車税は毎年4月1日時点での所有者に課税される。自動車税の額は乗用車は排気量、トラックは最大積載量に応じて決まる。
自動車税は地方税で各都道府県に、軽自動車税は各市区町村に、使い道が特定されていない一般財源として納められる。
そもそも自動車税は明治6年に導入された馬車・人力車を対象とする国税である車税に端を発し、耐久財である自動車に対する財産課税と道路の使用に対して応分の負担を求める道路損傷負担課税の性格があるとされる。
乗用車は排気量0.5リットル刻みで自動車税が上がっていく。たとえば去年日本で一番売れたトヨタヤリスの一番人気のグレードG1.5の排気量は1490cc、「排気量1リットル超から1.5リットル以下」となり自動車税は3万500円。排気量が1500ccを超えるのと超えないのでは毎年の自動車税が5500円変わってくる。
2019年10月以降登録の自家用車(水色の棒)は、排気量2リットル以下までは排気量が0.5リットル増えると税金が5500円上がる。
それが排気量2リットル以下から2.5リットル以下に増えると7500円、4リットル以下から4.5リットル以下に増えると10,000円税金が増え、排気量に対する累進課税となっている。また自家用車の税金が事業用車に対して3倍ほど高いこともわかる。
車齢13年を超えるとクルマの税金はもっと高くなる
ただでさえ高い税金が、車齢13年を超える自家用車(ディーゼル車は11年)はさらに高くなっているのが上のグラフのオレンジ色の棒を見るとわかるだろう。その率約15%。
この重課措置は平成13年、2001年の自動車税のグリーン化制度の創設に伴い特例措置として導入され、現在までその特例は延長されている。
エコカーに対する税金を軽くし、その分減った税収を「新車新規登録から一定年数を経過した環境負荷の大きい自動車は税率を重くする」ことによって補うという措置。
車齢13年超といわれてもピンとこないので、具体例を挙げよう。
R35GT-R (排気量3799cc)の最初期型、2007年12月、つまり今からおよそ13年半前にデビュー。販売直後にデリバリーを受けてGT-Rのオーナーになった人には今年から重課された7万6400円の自動車税納付書が届いたはず。昨年までの6万5500円から約15%、9900円の増税。
デビュー当時の資料を見ると10・15モード燃費は8.2km/L。計測法が違うので単純比較はできないが現行モデル対比ざっくり10〜15%燃費が悪い。
ただし2008年式のGT-Rが現行型対比でペナルティを受けなければならないほど環境負荷が大きいとはとても思えない。
もう一つの例がホンダフリード。初代が2008年5月、まさに13年前にデビュー。排気量1496ccは今と変わらず。
カタログ情報を見る限りこちらも現行型対比10~15%程度燃費が悪いだけで(JC08モード12.8〜16.6km/L)、最初期型オーナーの2022年の自動車税は5100円高い3万9600円となる。
最初期型のフリードから最新型のほとんど排気量の変わらないジムニーシエラ(1460cc)のATに買い替えると自動車税は増えないが、シエラのWLTCモード燃費は13.6km/Lなのでむしろ乗換えで環境性能は悪くなるかもしれない。
高くなるのは自動車税だけではない。13年目は車検の年だが、車検ごとに払う自動車重量税も高くなる。
2008年式R35GT-R(車重1800kg弱)の重量税(2年分)は前回車検の時の32,800円から4万5600円へと39%(!)の増税となる。自動車税と合わせると1年あたり16,300円税金が高くなったことになる。
2008年式フリード(車重1400kg弱)は同様に2万4600円から3万4200円へと39%の増税に。自動車税とあわせた増税額は1年あたり9900円になる。
さらに車齢が18年を超えるクルマの重量税は普通のクルマの54%増しとなる。筆者もつい1ヵ月前まで1996年式ポルシェ993カレラ4S、つまり新車登録から25年経ったクルマに乗っていたので全く他人事ではなかった。
毎年6万6700円の自動車税を払い、車検ごとに3万7800円の重量税を払っていたので税負担の重さが骨身にしみてよくわかる。
昭和生まれの人間としては、古くなったものでも大切に使うことが大事ですぐに捨ててしまうのはもったいないと教わって育った。
少々燃費は悪くても古いクルマを大事に乗る方が新車生産にかかわる炭素排出量を考えればエコだという考え方もできる。
先ほどのR35GT-Rの最初期型と現行型の比較やフリードとシエラの例で分かる通り、「古いクルマは環境負荷が高いので税金でペナルティーをかけよう」というのは筋の通った環境政策というよりも税金インセンティブによりクルマの乗り換えを促進せるための経済財政政策と考えたほうがいい。
2020年8月に行われたJAFによる「自動車税制に関するアンケート調査」の中での「個々の車の使用実態(走行距離等)や燃費性能等を考慮することなく車齢だけで一律に重課を行うことについてどう考えるか」という質問に対し、83%の人が「車齢だけで一律に重課を行うことは反対」と答えており、「現行のままでいい」という12%を大きく上回った(回答数17万97人)。
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