■残価設定率の高さ=リセールバリューのよさで、人気の指標ともなる
残価設定ローンの“旨味”を高めるのは、なんといっても当該車両のリセールバリューとなる。
残価設定ローンが日本メーカー系ディーラーで普及を始めた頃は、顧客の囲い込みという意味合いが強く、残価率が50%や60%が当たり前という時期もあったが(リセールバリューを超えるものだった)、今では一般的な残価率は35から40%程度となっている。
アルファードのような“鉄板”ともいえる、高いリセールバリューを誇るモデルは例外となるが、それでもアルファードでさえ最大49%となっている。
カテゴリー別で見れば、総じてリセールバリューがいいのは、ミニバン、SUV、軽自動車といえるだろう。
ミニバンとSUVに関しては国内での高い中古車人気だけでなく、海外輸出を行うバイヤーの間でも高い人気があることでリセールバリューがいいものとなっている。軽自動車は伝統的に、低年式(古い)であっても需要がしっかりあることで、リセールバリューが高めに推移していく傾向が目立っている。
メーカーのWebサイト上での、ローンシミュレーションに掲載されている、支払い最終回の金額が車両本体価格のどれぐらいの割合になるかをここでは“残価率の目安”として、代表的な車種を見ていくと(いずれも60回払い)次のようになっている。
ミニバンではヴォクシー約26%、シエンタ約25%、セレナ約46%、ステップワゴン約33%、オデッセイ約28%、フリード約32%。
SUVでは、ライズ約35%、RAV4約35%、ランドクルーザープラド約40%、キックス約38%、エクストレイル約42%、ヴェゼル約35%、CR-V約35%。
軽自動車では、ルークス約41%、N-BOX約35%、スペーシア約29%となっている。
■最近の残価設定率は「安全志向」。ただ買替の際に思わぬ恩恵を受ける場合も
全般的に見ると、「言っているほど残価率のよくないモデルが目立つ」と感じる人が大半だろう。現状での残価設定ローンにおける残価率は、かなり安全マージンを取ったものとなっており、そして“残価設定ローンは完済してはいけない”が販売現場での合言葉となっているのである。
どういうことか? というと、例えばミニバンではサンプルで示したなかでヴォクシーやシエンタは試算値では30%を割り込んでいる。ミニバンは現役子育て世代が乗っていることが多く、過走行や内外装の傷や汚れが多くなりやすいリスクをはらんでいる。
そのため設定する残価率は低めにしておきながら、支払途中でタイミングを見計らって下取り査定額で残債整理をしようとすれば、クルマの状態が問題なければ、設定残価率以上の査定額がつくケースが多いのである。
これはミニバンだけでなく、SUVや軽自動車でも傾向は同じ。
N-BOXもリセールバリューは、軽自動車のなかでもピカイチとされているが、試算するとN-WGNやN-ONEと大差のない残価率の目安となる。N-BOXも最終回まで完済せず、支払い途中で“売り抜ける”と、そのリセールバリューの恩恵を授かるケースが多いのである。
試算してみると、改めてSUVの勢いを感じてしまう。ライズやキックスあたりでも5年後で35%や38%が残価率の目安となっている。ただ日産は全般的に残価率を見ると“盛り気味”のような印象を受けるので、支払い途中で残債処理しても旨味は少ないかもしれない。
ランドクルーザープラドで約40%、エクストレイルで約41%、そしてCR-Vで約35%というのは、日本での売れゆきや存在感でいけば、「なぜこんなに高いの?」と思う人もいるかもしれないが、これらのモデルのリセールバリューを支えているのは、海外への中古車輸出需要といっていいだろう。
SUVは総じてリセールバリューが高く、それが残価率にも反映されており、買い得感は高い。
RAV4は国内でも人気が高いが、国内販売台数の少ないCR-Vは海外ではRAV4の「販売上でもライバル」となり、世界市場においてはホンダの“ドル箱”モデルとなっているので、海外バイヤーの間では人気が高い。大穴的狙い目車ともいえるだろう。
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