■購入層は先代からの買い替えだけでなく幅広い顧客を獲得できている模様
ホンダのリリースによれば、購入層は“先代ヴェゼルからの買い替えを含めたSUVユーザーを中心にミニバン、ハッチバック、セダンからの乗り換えなど幅広い層”という。
乗用車の平均保有年数は年々伸びているなかで、もはやブームらしいからSUVを選ぶ……ではなく、自分や家族にとって使い心地のいい実用車として長くジックリと乗れるいいクルマを選びたいよね、と考えるユーザーが多いことが、前述の装備内容の検証からも浮き彫りになる。
もちろん7年振りのフルモデルチェンジということで、先代ユーザーも心待ちにしていたであろうことも容易に想像がつく。
実際に試乗してみると、コンパクトなボディサイズはそのままに、フードが見渡せるなど視界がよりよくなり、取り回しが楽になっていたり、スッキリと居心地のいい室内空間、後席の広さ、それと圧倒的にしなやかに洗練された乗り心地などは実感するところ。
先代ユーザーの目からすれば、間違いなく進化感絶大に感じられるはずだ。
■プレーンなデザインのなかにもホンダのさりげない存在感の復活を感じる
それともうひとつ、新型ヴェセルの“新しい作風”にも注目しておきたい。正確にいうと現行フィットから(EVが打ち出しのホンダeは文脈が少し違う)だが、見るからに外連味のないプレーンなデザインは、ここ最近のホンダ車とは180度の転換である。
同時にヨソの日本車とはちょっと違う趣があり、(あくまでも個人の感想だが)それは2、3代目プレリュードやリトラクタブルライトの3代目アコード、ワンダーシビックなど、ホンダ車がさりげなく存在感があった頃を思い出させる。
そういう時代を知っていればどこか懐かしく、知らなくても新鮮。いずれにしろ、こういうコロナ禍であればなおさら、快適な生活を送るにはこういうクルマがいいよね……、そんな感度をもつユーザーに選ばれそうだ。
ヴェゼルは海外市場では“HR-V”として展開されており、関係者の話によれば今回の新型の開発にあたってのリサーチでは、各仕向け地ごとのユーザーの声は概ね共通だったという。
■扱いやすいサイズのSUVとして、長く根強い人気を保つポテンシャルを持っている
なお現行フィットを引き合いに出すと、フィットの2020年2月13日の発表から約1ヶ月後の累計受注台数は3万1000台ほど、月間販売計画の1万台に対し3倍以上の立ち上がりだった。
お気付きと思うが新型ヴェゼルの月間販売計画は台数でいうとその半分だから、冒頭でも触れた6倍という数字がはじき出された。
ただしヴェゼルは、フルモデルチェンジ前の2020年1~12月の販売台数は乗用車ブランド通称名別で23位/3万2931台と、モデル末期ながら同じコンパクトSUVでヴェゼルより後発のトヨタC-HRの21位/3万3676台に対して好勝負をみせていた。
同データでは今年3月にはさすがに42位/1789台まで落としたものの、4月に早くも13位/3716台/前年同月比=157.7%に浮上している。
だとすれば、B/Cセグメントの中間サイズというユニークな強みや乗りやすさはキープされているから、従来型からの買い替え需要も多く見込まれる。さらに他ブランド、他ジャンルからの乗り換えも加わり、従来型がそうだったようにジワジワと長く人気が続くのではないか、と予想する。
コロナ禍は依然として予断を許さない状況のなかだが、こういうクルマが世の中を明るくしてくれるチカラになって欲しいと思う。
コメント
コメントの使い方