■初代NSXのエンジン(1990年)
■エンジンSPEC
搭載車種:NSX
3L V6 DOHC VTEC(C30A)
最高出力:280PS/7300pm
最大トルク:30.0kgm/5400rpm
日本初のスーパーカーとして、日本中にすさまじい熱狂をもたらしたNSXだったが、そのエンジンは1.6LのVTECに比べると逆に刺激がなく、高回転域でも「ただ回るだけ」に感じた。
シビッククラスのホットハッチならいざ知らず、それをそのままスーパーカーの世界に持ってきても、まるで物足りなかったのだ。スーパーカーはもっと毒がなくてはダメ。NSXのエンジンは、あまりにも健康優良児過ぎた。
その思いは、同年代に登場したフェラーリ348のV8エンジンを知って確信に変わった。これぞ毒にまみれた本物のスーパーカーエンジン。総合性能ではNSXが上でも、エンジンの魔力に関しては、フェラーリの足元にも及んでいなかった。
次代のF355の登場で、その差はさらに開いた。また、歴代NSXタイプRは、完全に性能だけを突き詰めていて、サウンドも回転フィールもギスギスしていて、官能性をまったく感じなかった。
■アスコット/ラファーガの直列5気筒エンジン(1993年)
■エンジンSPEC
搭載車種:アスコット/ラファーガ
直5 2L SOHC 4バブル
最高出力:160PS/6700rpm
最大トルク:19.0kgm/4000rpm
DOHCでもVTECでもないが、この直列5気筒エンジンは絶品だった。とにかく回した時のフィールが素晴らしく気持ちいい。パワーはそれほどでもないけれど、しっとりとした色気に満ちていた。
それを5速MTで味わえる2Lバージョンは、フェラーリV8を積んだランチア・テーマ8.32のミニ版のような快楽セダンだった。エンジンの官能性は、ただ高回転・高出力を追求すればいいというものではないことを痛感させられた。
■初代インテグラタイプR 究極のホンダVTECエンジン(1995年)
■エンジンSPEC
搭載車種:初代インテグラタイプR
1.8L直4 DOHC VTEC(B18C)
最高出力:200PS/8000rpm
最大トルク:19.0kgm/6200rpm
世に名高く、「究極のホンダVTEC」と言われるが、NSXタイプR同様、性能を追い求めるあまりその他の要素を捨てていて、フィーリングがギスギスしていた。正直、これを気持ちいいという人の気持ちがわからなかった。
■アコード/トルネオ ユーロRのエンジン(2000年)
■エンジンSPEC
搭載車種:アコード/トルネオ ユーロR
直4 2.2LDOHC VTEC
最高出力:220PS/7200rpm
最大トルク:22.5kgm/6700rpm
絶対性能よりも、セダンとしての扱いやすさとスポーツ性の両立を狙ってチューニングされたエンジンで、これが実に気持ちよかった。当時、私は自動車雑誌の記事などで、「フェラーリいらずの1台」として、このクルマを挙げている。
ホンダエンジンは、多少余裕を持たせたチューニングのほうが気持ちいいという法則が見えた。
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