■「脱出ハンマーの使い方とコツ」とは
脱出用ハンマーの種類には、本体のグリップ部を金槌のように握って使用するタイプ(金づちタイプ)、グリップ部をピックのように握って使用するタイプ(ピックタイプ)、先端をドアガラス等に押し当てて使用するタイプ(ポンチタイプ)があり、シートベルトカッターが付随している製品が多い。
緊急用だけになかなか練習することができないから、こうしたツールはいかに使いやすい仕様であるかが大事だ。
豪雨による洪水で冠水した道路にうっかり進入してしまい、走行不能になってしまったら、ドアは水圧で開かなくなるし、電装系はショートしてパワーウィンドウが開かなくなることもある。そうなったら即座にウインドウガラスを割って、車外へと脱出しなければ危険だ。
国土交通省が発表した資料では、車両が水没した際には、1~4の手順に沿って、速やかに車両から脱出するように説明している。
1/水位が低いうちにドアを開けて脱出する
2/水圧等でドアが開かない場合、窓を開いて脱出する
3/ドアも窓も開かない場合は、脱出用ハンマーで窓を割って脱出する。(ただし、フロントガラスに使用されている「合わせガラス」は割れない。一部の車種ではドアガラスやリアガラスにも「合わせガラス」が採用されていることがあるので注意)
4/それでも脱出できない場合もあきらめないでくださいと喚起。浸水により内外の水位が同程度になると、ドアが開く可能性が高まりますと説明している
水深増加による冠水時における注意点としては、比較的水深が5~10cm程度でも、路面が水で覆われてしまうので水面下の様子はわかりにくく落輪の危険性も高まる。
水没時に水深60cmではドアにかかる力(水圧)は5倍に達してドアの開閉は困難になる水深が90cm以上になると電気系にトラブルが生じてパワーウィンドウが作動しなくなる可能性がある。
加えて、エンジンをスタートスイッチで始動するタイプなど、スマートキーを採用している車両の多くは電装系が冠水するとシフトやパーキングブレーキが解除できなくなる状況になってしまう。
そのまま車両を路上に放置すると、緊急車両などの通行の妨げになるので、やむを得ず車両を置いてその場を離れる際は、キーをつけたままにしておく必要がある。
脱出用ハンマーを使って窓ガラスを破砕するコツとしては、まず脱出用ハンマーの先端が窓ガラスに垂直にぶつかるようにすること。破砕した際、窓枠にガラスが残ることはあるが、ガラス破片の角は丸くなっているため、怪我をすることなく手でガラスを振りはらえるという。
また、脱出用ハンマーを使って窓ガラスを破砕する際、水面が窓の下縁以上に達した状態で窓ガラスを破砕すると、割れたガラスの破片が水と一緒に車内に勢いよく流れ込むので注意が必要だ。
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