■2021年3~5月に行われた最新の脱出ハンマーテスト結果
国民生活センターでは従来から、脱出用ハンマー製品について、脱出時にシートベルトを切断するのに時間を要して、ドアガラスなどを破砕できない製品について注意喚起を行ってきた。
近年では静粛性向上を目的にドアガラスに合わせガラス(後述)を採用した車種も増えており、このような場合には、ドアガラスを脱出ハンマーで破砕することができないことになる。
そこで同センターでは脱出用ハンマーの普及状況や自動車用ガラスの種類の実態をアンケート調査するとともに、ドアガラス破砕や脱出用ハンマーに付属していることの多いシートベルトカッターのシートベルト切断などについてテストを行い、適切な脱出方法について情報提供を実施している。
自動車用緊急脱出用ハンマーのガラス破砕性能(独立行政法人国民生活センター)2013年11月
自動車用緊急脱出用ハンマーによるガラスの破砕、万が一の水没事故に備えましょう(独立行政法人国民生活センター)2020年8月
そして、今回、2021年6月25日に発表された国土交通省が実施した脱出用ハンマーの性能試験を見ていきたい。
脱出用ハンマーの製品購入期間は2020年12月~2021年2月、実際の性能試験期間が2021年1月~5月。性能試験の対象製品となったのは、自動車用品販売店や ウェブサイトなどで購入可能な商品51銘柄 (金槌タイプ:31銘柄、ピックタイプ:9銘柄、ポンチタイプ:11銘柄)。
このうち、JISマーク取得製品が2銘柄、GSマーク(ドイツの製品安全法)取得製品が3銘柄、 自動車メーカーが純正品としている製品が6銘柄(2020年6月時点、国土交通省調べ、うちJISマーク製品及びGSマーク製品が1銘柄ずつ)。
概要としては、自動車用品の販売店や通信販売サイト、雑貨店等で販売されている51銘柄の脱出用ハンマーに対して、JIS規格、GS 規格に準拠した2通りの破砕性能試験を実施し、その結果を踏まえて製品の選び方をまとめている。
JISマーク準拠試験では、全ての製品(51銘柄)に対して3回連続の試験を実施し、3回中3回破砕できたのは全体の53%、2回破砕は8%、1回破砕は12%、0回破砕は27%という結果となった。
JISマークやGSマークを取得している各販売店等が推奨する製品(純正品等)については、ほとんどの製品が3回破砕し(一部2回破砕の製品があった)、特に充分な性能が確保されていたとのこと。
また脱出用ハンマーに係るドイツの製品安全法(ProdSG法)に準拠した試験方法では自動車用ガラスの試験片を治具に設置し、20代~40代の男女が手による破砕試験を実施した結果、全ての製品について、破砕可能であることを確認している。
試験を行った結果、製品の使用方法および形状等の違いによる使いやすさは人によって差異があり、ハンマーの先端部分を垂直にガラスに衝突させることが重要との意見があったとのこと。
また力の弱い高齢の方などは、特に十分な性能が確保されているJISマークや GSマークを取得している製品及び各販売店等が推奨する製品(純正品など)の購入をお薦めしている。
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