GRヤリス MIRAI レヴォーグ…プロ厳選の乗って楽しいベストパワーユニットモデル

■素晴らしい加速性能と先進のアイデアが盛り込まれたRAV4 PHV(松田秀士が選ぶ5台)

 次世代パワーユニット。どれくらいを次世代と指すのかは考え方で変わるだろう。

 F1で採用されているMGU-Hのような、排ガスによる熱回生と電動ターボアシストのようなパワーユニットが市販されないかと思っていたが、どうやら流れはEVで、魅力的な内燃機関を併せ持つパワーユニットは登場しそうもない。

 ただし、将来的にはeフューエルのような技術開発も進みそうなので、内燃機関もまだ開発する意味がある。

 つまり現在は電動と内燃機関の技術マッチングがピークに近づいている時代ではないか。そのことを象徴しているのがまさにF1だからだ。

 そこで1番に挙げたいのがRAV4PHVだ。

 まず加速性能が素晴らしい。PHVとしては大容量18.1kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、フロントモーターパワーを182ps/27.5kgmにパワーアップ。

 E-FOURのリアモーターのパワーはHV車と同じだが大容量バッテリーの電力供給で鋭いレスポンス。

 PHVになったことで余裕の加速力は魅力的。そのリチウムイオンもエアコンの媒体を使って熱処理を行うなど、先進のアイデアが盛り込まれている。

 次にe-BOXER。燃費を気にせず、加速に特化している潔さが好き。アクセルを踏み込んだ瞬間、グッと身体をシートに押し付ける感覚が心地よい。メカ4WDは駆動ロスがあるから、このシステムが補っている。しかも速度の伸びとともにボクサーエンジンのパワー感は魅力。

 SKYACTIV-Xは、よくぞここまで作ったと称賛する。マツダ3との相乗効果で自然体に走れるパワーユニットになっており感動する。ハードの変更なしにソフトの改良でパワーアップするなんて、まさに次世代パワーユニット。

 ホンダeはRRでEVにした勇気に拍手。舵角が大きいので、狭路でも驚くほどコントローラブル。EVを作るなら、やはり個性が大切。

NA、EV、PHV…これから何に乗ればいい? プロ厳選の乗って楽しいベストパワーユニット
ホンダeは純EVなので駆動用モーターのみだが、その小さな体躯でキビキビと走ってくれる

 日産のe-POWERはどれも素晴らしいのだけど、敢えてキックスにしよう。SUVゆえに車内が丁度よく、かつシャシーとパワーのバランスがとれている。

 特にどのモードでもワンペダルを駆使する走りにキレがあり、電動ならではのアクセルコントロールが刺激的だ。

NA、EV、PHV…これから何に乗ればいい? プロ厳選の乗って楽しいベストパワーユニット
松田氏が5位に選出した日産 キックスe-POWER(ハイブリッド)。電動モーターとエンジンのコンビネーションが織りなす走りの感覚は、今までになかった感覚をドライバーに楽しませる。

●松田秀士が選んだ乗って楽しいパワーユニット ベスト5
・1位 トヨタ RAV4 PHEV(PHV)
・2位 スバル フォレスター e-BOXER(ハイブリッド)
・3位 マツダ3 e-SKYACTIV X(ハイブリッド)
・4位 ホンダe(EV)
・5位 日産 キックスe-POWER(ハイブリッド)

■後輪のモーターが強力なエクリプスクロスPHEVは、運転の楽しさがいっそう盛り上がる(渡辺陽一郎が選ぶ5台)

 「次世代パワーユニット」であれば、少なくとも電動機能は不可欠だろう。

 そのうえで楽しさも考慮すると、モーター駆動による高い瞬発力や滑らかな加速など、次世代パワーユニットならではの走りが問われる。モーター駆動の目的は、本来はエコロジーだが、運転の楽しさに結び付けることも大切だ。

 最も運転の楽しい1位は、プラグインハイブリッドのエクリプスクロスPHEVだ。前後にモーターを搭載し、4WDを構成する。

 SUVだから重心は高いが、カーブでは大きめの挙動変化が穏やかに進行する。低重心のスポーツカーとは違う、SUVならではの操る楽しさを実感できる。

 しかもエクリプスクロスPHEVのモーターは、後輪のほうが強力だ。旋回軌跡を拡大させず、舵角に応じて車両を内側へ向けやすく、運転の楽しさがいっそう盛り上がる。

NA、EV、PHV…これから何に乗ればいい? プロ厳選の乗って楽しいベストパワーユニット
渡辺氏1位のエクリプスクロスPHEV(三菱・PHV)。三菱独自の4WD制御と前後モーターによりスポーティな走りを獲得した。

 2位は燃料電池車のMIRAIだ。水素と酸素を反応させ発電し、モーターを駆動するから感覚は電気自動車に近い。

 ただし、MIRAIは高圧水素タンクを低い位置に搭載し重心を下げ、タンクを保護する構造と相まってボディ剛性は高い。燃料電池車の特性が優れた走行安定と快適な乗り心地を両立させた。クラウンが目指すべきも、MIRAIの走りだろう。SUVにすることではない。

NA、EV、PHV…これから何に乗ればいい? プロ厳選の乗って楽しいベストパワーユニット
MIRAIは上質な走り心地で高評価だ

 3位はリーフe+ Gだ。駆動用電池の総電力量は62‌kWhと大きく、モーターの駆動力も高い。

 巡航中にアクセルを急に踏み増すと、蹴飛ばされたように加速して、走行状態によってはタイヤが鳴く。過剰な出力ともいえるが、エコな電気自動車で、昭和の時代を思わせる豪快な走りを楽しめるのは面白い。

 4位はホンダeだ。電気自動車の考え方では、長距離をクルマで移動するのはエコに反するため、ホンダeは街中の走りに重点を置く。ボディは小さく、小回り性能も追求し、モーターを後部に搭載、後輪駆動とした。そのために最小回転半径は4.3mに収まる。これが運転の楽しさを生み出した。

 カーブをクルッと回り、後輪駆動だから、後輪の横滑りを生じることもある。どんなクルマにも楽しさを求めるホンダの魂が宿る。

 5位は一般的なハイブリッドのレクサスIS300Hだ。動力性能は平凡だが、足回りが絶妙で運転が楽しい。今はプラットフォームの解析能力が向上したから、ISはマイナーチェンジで走りを進化させた。この開発方法も注目される。

NA、EV、PHV…これから何に乗ればいい? プロ厳選の乗って楽しいベストパワーユニット
出足のよさなどから3位と4位はEVがランクインしたが、5位にはハイブリッドのレクサスIS300hがランクインだ

●渡辺陽一郎が選んだ乗って楽しいパワーユニット ベスト5
・1位 三菱 エクリプスクロスPHEV(PHV)
・2位 トヨタ MIRAI(FCV)
・3位 日産 リーフe+ G(EV)
・4位 ホンダe(EV)
・5位 レクサス IS300h

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