ランエボX インプレッサWRX STI対決最終章!! 2008年最高4WDスポーツの実力

ランエボX インプレッサWRX STI対決最終章!! 2008年最高4WDスポーツの実力

 世界ラリー選手権「WRC」を戦うための競技ベースモデルとして誕生した三菱ランサーエボリューションとそのライバルであるスバルインプレッサWRX STI。

 両モデルは代を重ねるごとに進化していったが、残念ながら2015年に最終モデルを発売してランエボは生産を終了してしまった。

 この最終モデルとなったランサーエボリューションXと、エボXのデビュー年の2008年に発売されていたインプレッサWRX STIの実力を振り返る!

文/斎藤 聡、写真/ベストカー編集部

【画像ギャラリー】競い合ったからこその高性能化!! 互いに切磋琢磨して伝説となったランエボ&WRX!!


■長年にわたってしのぎを削ったライバル同士

2008年に登場したランエボの最終モデルとなるエボX
2008年に登場したランエボの最終モデルとなるエボX

 ランエボの最終モデルとなるエボXと、インプレッサWRXの3台目となるGRBインプレッサは、ともに2008のデビューでした。1992年、奇しくも同じタイミングで登場したハイパー4WDスポーツでした。

 三菱はギャランから、スバルはレガシイから受け継ぐ形で、WECに勝つためのクルマとして生み出されたのでした。それがまさか、その後15年にわたってしのぎを削るバトルを繰り広げるライバルになろうとは誰も予想しなかったのではないかと思います。

 そしてこの2つのメーカーは4WDの制御と操縦性に関して他の自動車メーカーをはるか後方に置き去りにするほど急速にノウハウを広げていきます。

 その集大成ともいえるモデルが三菱のランエボXであり、スバルのGRBインプレッサWRX STIになるわけです。

 で、この2台のクルマの説明をするには、一つ前のモデルから話を始めたほうが説明がしやすいので、ランエボ9とGDBインプレッサWRX STIから話をしてみたいと思います。

 ボクの印象としては、ランエボ9MR(2006年)とGDBインプレッサWRX STI のF型(2006年)の登場でハイパー4WDは一つの高みを極めたと考えています。

 ランエボ、WRXともにボディ剛性を上げ、それに伴って足回りのセッティングも硬くシャープな方向位に味付けされてきたのですが、エボ9MRとGDBのF型が、揃って足回りのセッティングをしなやかなものに変更してきたのでした。

エボXと同じく2008年に登場したインプレッサWRXの3台目となるGRBインプレッサ
エボXと同じく2008年に登場したインプレッサWRXの3台目となるGRBインプレッサ

 まるで口裏を合わせたようなセッティングの方向性の変更だったのですが、それぞれに違うルートから山のピークを目指してアプローチしてきた結果、最終的にタイヤをいかに接地させるかが速く走りしっかり曲げるために必要だ、という結論に至ったのでしょう。

 GDB F型WRX(2005年)は、センターデフにDCCDに機械式LSDを組み合わせたセンターデフを採用することで、それまで差動制限の強さに欠けていたDCCDを、よりダイレクトな効きにして、結果的に4つのタイヤが強いトラクション性能を発揮できるようにしたのでした。

 センターデフ回りの進化はC型から始まります。当時D型に乗っていた筆者は、その進化をD型と比べながら興味深く観察していたのですが、そのこだわり方と地道な進化のやり方に感心したのでした。

 C型で前後駆動力配分が45対55から35対65に変更されたGDBは、同時にDCCDに電子制御を取り入れオートモードを設定します。そしてE型でDCCDにヨーレートセンサーを取り入れます。

 じつはこのセッティングすごく振り回しやすかったのですが、トラクションという点ではライバル(≒ランエボ)に対して不足だったらしく、F型で前後駆動配分を35対65から41対59に改めます。この時フロントに採用されていたシュアトラックLSDをヘリカルLSDに改めます。

 同時にステアリングに舵角センサーを追加して、ドライバーの意図をより正確に汲み取り、自然で強いトラクションが得られるように進化させていきます。

次ページは : ■両社のノウハウの積み重ねが反映されたエボX&GRBインプWRX

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