中古の軽トラMTなぜ高騰? 今おススメの軽トラ購入ガイド

■軽トラは一緒に見えるけど、それぞれ何が違うのか?

 「メーカーとブランドの関係」を把握した次は「どんな種類があって、それぞれ何が違うのか?」という点を整理してみよう。

 それぞれ何が違うかと言えば「積載量」「積載性」が微妙に違うわけだが、どれもが軽規格いっぱいのなかで尽力しているため、言ってしまえばどれも微妙な違いでしかない。

 もちろん、プロフェッショナルとして軽トラを使う場合はその「微妙な違い」が重要になるわけだが、我々アマチュアが「楽しむため」に軽トラを買うのであれば、そこはもう本当に微差でしかない。

 大きく違うのは、まずは「駆動方式」だ。

 スズキキャリイとダイハツハイゼットトラックは一般的なFRレイアウトを採用している。もちろんまったく悪くはないのだが、エンジンという重量物が前のほうにある関係で、空荷時の後輪にかかるトラクションはやや微妙となる。

惜しくも2021年6月で生産終了したホンダアクティトラック
惜しくも2021年6月で生産終了したホンダアクティトラック
アクティトラックはエンジンを前極の車軸の間に置くホンダ独自のMR(ミドシップ・リア駆動方式)を採用。空荷時でも駆動輪である後輪にしっかり荷重がかかるので安定感のある走りと、エンジンと居住空間が離れているため室内の静粛性にも貢献
アクティトラックはエンジンを前極の車軸の間に置くホンダ独自のMR(ミドシップ・リア駆動方式)を採用。空荷時でも駆動輪である後輪にしっかり荷重がかかるので安定感のある走りと、エンジンと居住空間が離れているため室内の静粛性にも貢献

 それに対してホンダアクティのエンジンは荷室の下、リアアクスルの前方に搭載されており、それでもって後輪を駆動させる。

 軽トラックは後輪駆動だから、重いエンジンを後部に搭載すると、駆動力の伝達効率が向上する。2WDでも悪路で空転を生じにくい。

 また前後輪が負担する荷重のバランスも良くなる。車検証の記載値によると、アクティトラックの前後重量配分は、前輪が58%で後輪は42%だ。

 エンジンを前席の下に搭載する一般的な方式のキャリイは、61:39%だから、前輪側が重い。その点でアクティトラックは、重い荷物を積んでいない時でも、前後輪の重量バランスが整っている。

 サスペンションは、前輪はほかの軽トラックと同様のストラットによる独立式だが、後輪は異なる。アクティトラックのリアサスペンションは、2WD、4WDともにド・ディオンアクスルだ。

 ド・ディオンアクスルは、キャリイやハイゼットカーゴの一般的な車軸式に比べると、リーフスプリングを使っても足まわりが路面に合わせて柔軟に追従する。スバルがサンバーを自社開発した時代の4輪独立式サスペンションが違うが、粗さを抑えた快適な乗り心地を実現させていた。

 例えばウネリのある路面を通過した時、アクティトラックは、ほかの軽トラックに比べてボディの上下動が比較的早く収まる。突き上げ感も小さく、快適性に特徴があった。ホンダはN-BOX、フィット、ヴェゼルなど、前輪駆動をベースにした4WDモデルの後輪にも、ド・ディオンアクスルを使うことが多い。

 軽トラックは果樹園などで活発に利用され、傷つきやすい果物を積んで、デコボコの激しい未舗装の農道を走る。商品を守るために優れた乗り心地が求められ、足まわりを柔軟に伸縮させるアクティトラックが喜ばれた。

アクティトラックはミドシップレイアウトであり、2人乗りであるゆえに「ミドシップ2シーター」でもある。これが、ホンダアクティが「農道のNSX」と俗称された理由だ。

 まぁもちろんNSXのような走りはできないわけだが、リアミドシップゆえに前後重量配分が良好であるため、ホンダアクティは空荷でも後輪にしっかりトラクションがかかるのである。

2012年3月、スバルはサンバーバン/トラックの生産を終了し、54年の軽生産の歴史に幕を閉じた。写真は2011年に発売されたサンバー発売50周年記念特別仕様車「WRブルーリミテッド」のスバル サンバートラック
2012年3月、スバルはサンバーバン/トラックの生産を終了し、54年の軽生産の歴史に幕を閉じた。写真は2011年に発売されたサンバー発売50周年記念特別仕様車「WRブルーリミテッド」のスバル サンバートラック

 ホンダアクティが農道のNSXなら、「農道のポルシェ」と呼ばれたのは6代目までのスバルサンバートラックだ。

 こちらはエンジンをリアに搭載して後輪を駆動させるRRレイアウトで、なおかつ四輪独立サスペンションが採用されていたという、まさにポルシェ911のような(?)軽トラだった。

 RRレイアウトゆえに後輪のトラクション性能は抜群で、荒れた路面でも四輪それぞれが凹凸をしなやかにいなし、そしてエンジンが後方にあるゆえに運転席あたりの静粛性も高い――というのが、スバルが自社開発していた時代のサンバートラックだ。

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