WRCに本格復帰した1998年 トヨタカローラWRCに施された遊び心溢れるビジュアルデザインとは?

■開催地にちなんだ『ご当地グラフィック』で出走

ご当地デザインが採用されなかったモンテカルロではダイスのグラフィックが予定されていたようだ
ご当地デザインが採用されなかったモンテカルロではダイスのグラフィックが予定されていたようだ

 しかし開幕戦のモンテカルロには、新しいカストロールのカラーになったものの、この企画のデザインは間に合わなかったのか、特にそれらしいイラストはなかった。また第2戦のスウェーデンも同様だった。

 そして3戦目のサファリから両サイドのドアにゼブラ模様が施されたデザインのカローラが公開された。このデザインのために本来フロントフェンダーにはられるステッカー、オーリンズとボッシュ、スピードラインなどはCピラーに移動となった。

 ところが4戦目のポルトガルでは、ふたたびイラストなしだった。本格的にこれらのデザイン採用となったのは5戦目のカタルニアからだった。

 カタルニアはフラメンコを踊る女性、コルシカはコルシカ島の旗に描かれた戦士の顔、アルゼンチンは鼻息の荒い牛、アクロポリスは古代ローマの戦士、ニュジーランドはキウイ、フィンランドは針葉樹。私的にはフィンランドといえば広葉樹の白樺かなと思うのだが(笑)

第9戦ラリー・ニュージーランドではニュージーランドの象徴であるキウイをデザイン
第9戦ラリー・ニュージーランドではニュージーランドの象徴であるキウイをデザイン

 地中海に面したサンレモは花、オーストラリアは一番分かりやすいカンガルー、最終戦のRACは傘。え、傘? という感じだがRACがおこなわれる11月は天気も悪く、英国は雨の日も多い。そう考えると傘かなと納得。

 ちなみにこれらのデザインが採用されなかったモンテはダイス、スウェーデンは雪の結晶、ポルトガルは魚の骨、イベントが中止になったインドネシアは椰子の木といったまぼろしのデザインがあったようだ。

 またこの年のチャンピオン争いは、三菱のマキネンとトヨタのサインツが最終RAC時点で2ポイント差でマキネントップだったが、マキネンは早々にクラッシュしてリタイヤ。

 サインツがチャンピオン決定と思われたが、サインツは最終SSのゴール手前300メーターでエンジントラブルでリタイヤという結末でマキネン三菱がチャンピオンになった年でもあった。

●解説●

 WRCのトップカテゴリーのタイトルは1997年よりWRカー規定を導入して争われることになった。年間25,000台以上生産されたベース車に4WDやターボエンジンの追加などの改造が可能となり、参戦メーカーの負担軽減を狙ったレギュレーションだ。

 トヨタワークスは1995年まで使ったセリカに代わって、回頭性に優れたハッチバック車のカローラを採用した。そうしてデビューしたカローラWRCは1997はテスト参戦の位置づけで、本格参戦は1998年から。

 ドライバーはディディエ・オリオールとカルロス・サインツで、最終戦まで両者でタイトル争い、最後にオリオールがタイトルを獲得した。なおカローラWRCは1999年にマニュファクチャラータイトルを獲得して、ワークス参戦を打ち切った。

ライバルの背中が遠ざかる……1994年のWRC最終戦でのカルロス・サインツの悲運(関連記事)

【画像ギャラリー】1998年の『ご当地デザイン』が施されたすべてのカローラWRCを見る(17枚)画像ギャラリー

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