「下手くそ棒」とは言わせない!? まだ売ってる? クルマ用コーナーポールの現在地

■部品メーカーに聞いてみた

 ここからは国内メーカーはいうにおよばず、輸入車インポーターにもコーナーポールを供給している部品メーカーである日本技研工業にコーナーポールのビジネスの現状について訊くことにした。

 筆者が見かけた数と共通するように、やはり販売数はトヨタがトップを占めているようで、輸入車ブランドへの納入量もここ数年で少量になってしまったようだ。

 コーナーポールの生産量は各種センサーの導入により減少傾向にあると想像されるので、実際の数字の変化などを知りたかったのだが、同社によれば、

「古いデータが存在しないため、ここ10年程度の傾向となる前提では、2015~2020年でおよそ3分1程度に数量は減少しています。センサーの普及により、バンパー内の構造物が増え、物理的に搭載が困難になったことも要因です」としている。

 それではコーナーポールが採用されている車種について、現在最も利用が多いのは、どのようなボディ形状の車種なのかと訊ねると、「長年愛用頂いている年齢の高い方のニーズと運転に不慣れな方(初心者)のニーズが現在もあり、セダンとコンパクトカーユーザーのご利用が多いです」との回答が返ってきた。

 気になる純正品の価格については、固定式、電動式または手動式の伸縮タイプ、スモールランプと連動して先端が発光するLED式あるいは自光式などがあるが、価格には車種などによって幅があるのだろうか。

 これに対して「自動車メーカーの設定価格は弊社ではデータを制作していないため不明」と前置きされたうえで「基本的に同じタイプ(電動式、手動式等)のポールであれば車種による大きな違いはありませんが、クルマの大きさでハーネス類の長さが変わることなどで価格が変わってきます」とのことだった。

■トヨタ、日産、ホンダ、3社それぞれの思惑

 それでは基本的にメーカー純正のディーラーオプション品として設定される「コーナーポール」を、日本メーカーが現状でどのようなモデルに採用しているのか調べてみた。なお、ここで取り上げるのは現行車種の純正ディーラーで取り扱われている製品であることを断っておく。ちなみに、各国内メーカーの呼称は以下の通りで、日本技研工業の呼び名でもある「コーナーポール」と呼ぶ例が多い。

・トヨタ(レクサス)/フェンダーランプ
・日産/ネオンコントロール
・ホンダ/コーナーポール
・スバル/フェンダーコントロール
・マツダ/コーナーガイド
・三菱/コーナーポール
・スズキ/コーナーポール
・ダイハツ/コーナーコントロール

●トヨタ
 トップメーカーとして、トヨタはラインナップの多さからコーナーポールの採用車種の数も必然的に多くなる。メインとなるセダン系モデルにはしっかりと設定されている。ボディタイプへの配慮とともに、流行した時代を反映しているともいえ、いかにもトヨタらしく、顧客の嗜好をきちんと見極めた採用設定といえる。

トヨタ・ヤリスクロス。フェンダーランプは手動調整可能としてスモールランプに連動して先端がブルーに点灯する
トヨタ・ヤリスクロス。フェンダーランプは手動調整可能としてスモールランプに連動して先端がブルーに点灯する


●コーナーポール設定車種
・パッソ、シエンタ、ルーミー、ノア、ヴォクシー、エスクァイア
・カローラ(旧型セダンのアクシオを含む)、プリウス、カムリ、クラウン、センチュリー
・ヤリスクロス、ライズ、プロボックス、サクシード、ジャパンタクシー
●コーナーポール未設定車種
・アクア、ヤリス、ミライ
・アルファード、ヴェルファイア、ハイエース、グランエース
・C-HR、カローラクロス、ハリアー、RAV4、ハイラックス、ランドクルーザープラド、ランドクルーザー
・GR86、GRスープラ

 最近発表された車種から見ていくと、ライズやヤリスクロスには設定があっても、後者のベースといえるヤリスにはなく、同じコンパクトカーのアクアは未採用だ。

 従来車種では小型ミニバンとセダン系にはしっかり残されているいっぽうで、アルファード、ヴェルファイアといった大型のミニバンやクロスオーバーのカローラクロス、SUV、スポーツ系モデル車種には設定していないのは、トヨタのデザイン性にも配慮した微妙なさじ加減といえる。

 特殊なのはタクシー専用モデルのジャパンタクシーで、タクシー車両では事業所、個人ユーザーの要望を取り入れる許容範囲は広いから、過去からの「伝統」とともに採用は残っているのだろう。

 ちなみに、これも特注車両といえるセンチュリーだけは呼称が異なり「フェンダーポール」と呼ばれているのは過去の経緯が想像されておもしろい。

トヨタジャパンタクシー。タクシー専用車両として需要が見込まれる
トヨタジャパンタクシー。タクシー専用車両として需要が見込まれる
トヨタセンチュリー。手動伸縮式のフェンダーポールは他のトヨタ車とは異なる呼び名をもつ。価格は3万2000円(税別)
トヨタセンチュリー。手動伸縮式のフェンダーポールは他のトヨタ車とは異なる呼び名をもつ。価格は3万2000円(税別)


●レクサス
 プレミアムブランドを謳うレクサスでは、さすがに公用/社用車のニーズがあるLSには当然ながら設定されているが、セダン系のESとIS、クーペのLCやRC、クロスオーバーSUVのUX、NX、RXには用意されておらず、レクサスのエントリーモデルであるCTに設定が残されているのは、あくまで世代の古さの影響と思われる。

レクサスLS。LEDを採用する固定式フェンダーランプ。価格は2万6000円(税別)
レクサスLS。LEDを採用する固定式フェンダーランプ。価格は2万6000円(税別)

 設定がないモデルをピックアップすると、おもしろいのはミライには設定がなく、SUV系として、ボディサイズの小さい順から、C-HR、ハリアー、RAV4のクロスオーバーから、ハイラックス、ランドクルーザープラド、ランドクルーザー、ワンボックスのハイエースとグランエースには設定されていない。さらにスポーツ系のGRシリーズのコペン、ヤリス、86、スープラも未設定となる。


●日産
 日産はどうやら日産は新規導入車種にコーナーポールを設定する可能性は低いようだ。リーフにしてもモデルチェンジを控えており、設定車種から外れる可能性が高いとみてよいだろう。

日産リーフ。世代の古さからか、数少ないネオンコントロールの設定車種となる。パワースイッチONで連動する
日産リーフ。世代の古さからか、数少ないネオンコントロールの設定車種となる。パワースイッチONで連動する


●コーナーポール設定車種
・マーチ、リーフ、シーマ、フーガ、NV200バネット、ルークス、デイズ
●コーナーポール未設定車種
・ノート、オーラ、アリア、スカイライン、セレナ、エルグランド
・エクストレイル、キックス、キャラバン(NV350)
・GT-R、フェアレディZ

 同じ電気自動車であっても新世代のアリアに設定はなく、現状でリーフには設定されている。発表時期が関わっているのか、モデルチェンジしたノートにも設定がないように減少傾向が明らかだ。

 対して、モデルチェンジから11年を経て旧世代といえるマーチには設定され、商用ベースのNV200バネットには設定があった。いっぽうで軽自動車には抜かりなく設定している。

日産デイズ。軽自動車としてネオンコントロールを設定。日産は基本的に電動格納式を採用するがこちらは固定式
日産デイズ。軽自動車としてネオンコントロールを設定。日産は基本的に電動格納式を採用するがこちらは固定式

 セダンは社用車のニーズがあるシーマとフーガには設定されても、スカイラインには設定されておらず、GT-RやZ、エクストレイルといったスポーツ系やSUVモデルには未設定だ。

日産シーマ。大型セダンとして公用・社用車としてニーズに対応して設定されている模様
日産シーマ。大型セダンとして公用・社用車としてニーズに対応して設定されている模様


●ホンダ
 ホンダは車種毎に明確にコーナーポールの設定が施されている印象が強い。軽自動車のNシリーズを除けば、普通車では近い時期に設定が消滅する気配が感じられる。

ホンダアコード。コーナーポールはホンダのセダン系モデルでは唯一の設定となる。固定型の手動伸縮式
ホンダアコード。コーナーポールはホンダのセダン系モデルでは唯一の設定となる。固定型の手動伸縮式


●コーナーポール設定車種
・アコード、ステップワゴン、N-BOX、N-WGN、N-ONE
●コーナーポール未設定車種
・フィット、フリード、シャトル、ホンダe
・シビック、インサイト、レジェンド
・オデッセイ、ヴェゼル、CR-V
・N-VAN、S660
・NSX

 ミニバンやSUV系で唯一コーナーポールを設定しているモデルが、モデルチェンジが近々予想されるステップワゴン。その他のフリード、シャトル、オデッセイやクロスオーバーSUVのヴェゼル、CR-Vには未設定となっている。

 セダンタイプではアコードには設定されていても、レジェンドやシビックやインサイトにはなかった。軽自動車ではNシリーズにはほぼすべて設定されているのだが、なぜかN-VANに設定されていない。

 当然ながら、NSXや軽自動車のS660、には未設定。角張ったスタイリングで見通しが利くせいか、ホンダeには用意されない。

ホンダ N-WGN。ホンダは軽自動車にはN-VANを除いてすべての車種に設定
ホンダ N-WGN。ホンダは軽自動車にはN-VANを除いてすべての車種に設定

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