■好感が持てるホンダのボタン式
ある意味でシフト機構の設計で独自路線を行くホンダが2021年8月に日本発売した新型シビックは、フィット、ヴェゼル同様のオーソドックスなレバー式を採用したのが興味深い。新型シビックでは6速MTを設定していることが影響しているのだろうか。
いっぽうでホンダは周知の通り、日本市場ではハイブリッド仕様のみのセダンであるアコードやレジェンドといった上級車種、そして2022年初頭に発表予定の新型ステップワゴンに「エレクトリックギアセレクター」と呼ばれるボタン式シフトスイッチを使用している。使用頻度が限られているP-R-Nなどのポジション選択をボタン式として別立てにするのは合理的に思える。
■一歩進んだ輸入車勢
いっぽう、輸入車にはメーカー、ブランドとして個性を主張すべく、他の電子式シフトシステムの採用が見られるので、かいつまんで触れておこう。
ドイツのプレミアムブランドは概ねフロアに設置するスイッチ式シフトレバーを採用していても、極端に小型化したデザインは採っていないのは、操作性を重視したドイツ流本来のコンサバティブなデザイン手法(ディスプレイの利用についてはむしろ大胆とも言えるが)といえるかもしれない。
従来はメルセデスベンツのコラム式シフトレバーと組み合わされた「コマンドシステム」、BMWのi-Drive「タッチコマンド」、アウディのダイヤル選択式「MMI」などがあるが、最近ではタッチパネルでの入力機能を合わせて採用することが多く、スイッチ式シフトレバーとタッチパネル式の大型スクリーンといった組み合わせに移行しつつある。
さらに多くの最新スポーツカーを見てみると、そのほとんどがタイトに仕立てられたコクピットゆえに限られたスペースなどに考慮して(マニュアルトランスミッションの設定が減少傾向にあることもあるはず)、ボタン+パドルシフト型が主流になっている。
ルノーグループ傘下のスポーツカーブランドであるアルピーヌが手がけるA110の変速機構はシンプルなボタン式を採用する。
ある意味で特異な例といえるのが、ジャガー・ランドローバーに違いない。ジャガーはセダン系をポップアップ式ダイヤル(回転)型スイッチによるポジション選択を基本とするいっぽうで、SUV(EVのi-ペイスはボタン式)やクーペではスイッチ式シフトレバーを採用する。
対してランドローバーは、トップモデルのレンジローバーがダイヤル式ながら、他の前輪駆動を基本とするモデルではフロアシフトのスイッチ式を採用。最新モデルのディフェンダーではインパネシフトのスイッチ式シフトレバーとしている。
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