■衝突安全対応でボディを拡大して2L化した3代目
3代目のNC型ロードスターがベールを脱ぐのは2005年8月である。3代目の開発コンセプトも「人馬一体」だ。意のままの気持ちいい走りを追求する姿勢は変わらないが、衝突安全などの安全要件が厳しくなったのでボディをひと回り大きくした。
ホイールベースを65mm延ばし、全長も長くしている。全幅も1720mmまで広げ、ブリスターフェンダー風のデザインとしたから安定感と力強さが増した。
ボディは大きくなったが、設計陣はグラム単位で軽量化に励み、車両重量を60kgの増加にとどめている。ただし、重量増加や17インチタイヤ採用のハンディを埋めるため、初めて2Lの直列4気筒DOHCエンジンを搭載した。
このシーケンシャルバルブタイミング機構や可変吸気システムなどを採用したLF-VE型に組み合わされるのは、新設計の6速MTと5速MT、そして電子制御6速ATだ。
フロントはダブルウイッシュボーンだが、リアは新設計のマルチリンク式サスペンションだからコントロールできる領域とドライビングを楽しめる領域が広がっている。チルトステアリングの採用と相まって、最適な姿勢で運転を楽しむことができた。
NC型ロードスターは2005-2006日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝き、新たな栄冠を手に入れている。そして6年夏にRFTと名付けた電動開閉式のパワーリトラクタブルハードトップを仲間に加えた。開閉に要する時間は12秒ほどと、かなり速い。高速走行時や雨天時はクーペ並みに快適性も高かった。
ロードスターは2007年1月に累計生産80万台を記録。その年の12月に初めてのマイナーチェンジを断行し、最新のディスチャージヘッドライトとオートエアコンを採用する。また、動力性能とハンドリングにも磨きをかけた。
記念となる20周年限定車を送り出すのは2009年7月だ。逆風が吹き荒れたが、ロードスターは歴史を上手につないでいる。
■4代目となる現行モデルは原点回帰へ
次の4代目は、2015年6月にベールを脱いだ。時代が求めるダウンサイジングと軽量化に挑んだND型ロードスターの登場である。多くのクルマは肥大化して重くなっているが、ロードスターは高張力鋼板の採用など意欲的にダイエットに励んだ。車両重量は990kgに抑え込んでいる。
パワーユニットも原点回帰を狙ってダウンサイジングした。新しい心臓はSKYACTIVテクノロジーを採用した1496ccのP5-VP型直列4気筒直噴DOHCだ。
パワフルとは言い難いが、6速MTを駆使しての攻めの走りは楽しい。ダブルウイッシュボーンとマルチリンクのサスペンションもセッティングを変え、3代目以上に軽やかな走りを身につけている。
2016年11月、電動メタルトップが「RF」の名で復活を遂げた。これはリトラクタブル・ファストバックの頭文字をとったもので、3代目よりスタイリッシュな風貌だ。注目のエンジンは、1997ccのPE-VPR型直列4気筒直噴DOHCを搭載する。500ccの余裕は絶大で、登り坂でも力強い走りを見せた。
累計生産台数100万台の偉業を達成するのは4月だ。
その後も毎年のように改良を続け、エンジンやサスペンション、ステアリングなどに改良のメスを入れた。最新モデルの投入と商品改良は2021年12月だ。この時に世界初の技術を導入して軽量ボディの楽しさを極めたライトウエイトの特別仕様、990Sを送り出した。その実力の高さは知ってのとおりだ。
ロードスターは33年、4代にわたって「人馬一体」を貫き通し、運転することの楽しさを多くの人に伝えてきた。世界中に熱狂的なファンを生んだ直球勝負のピュアスポーツ、それがロードスターだ。
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