海自最大の護衛艦「いずも」型が能力向上! いま空母化が求められるわけ

海自最大の護衛艦「いずも」型が能力向上! いま空母化が求められるわけ

 海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦の「いずも」型。その1番艦「いずも」と2番艦「かが」に、固定翼機のF-35Bが搭載できるよう改修が進められている。1番艦「いずも」のほうは、2021年6月までに改修の第一弾を終え、10月には米海兵隊のF-35Bを発着艦させる検証を行っている。改修されることで、「いずも」型はどう生まれ変わるのか。また空母化が求められるわけについてを検証する。

文・イラスト/坂本 明、写真/海上自衛隊、防衛省

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■「いずも」型は洋上の基地となる

 近年、東シナ海、太平洋、日本海への中国海軍の進出が著しい。そうした中で日本にとって最も懸念されるのが台湾有事である。中国は以前から1つの中国と称し台湾併合を試みており、昨今では軍事力の行使もちらつかせている。もし中国軍が台湾に進行すれば、日本も無関係ではいられなくなる。台湾と日本領土の南西諸島(特に先島諸島)は極めて近く、台湾侵攻に合わせて中国海軍がこれらの島を占拠する可能性が高いからだ。

 また現在ウクライナとロシアの間で行われている戦争の勝敗は、中国の台湾侵攻に大きく影響するだろう。

 いっぽう、日本では中国軍の脅威に対して陸上自衛隊の地対艦・地対空ミサイル部隊を石垣島や宮古島へと配備を進めたり、有事に対応する水陸機動団を新編するなど南西諸島方面の防衛力整備を図っている。ヘリコプター護衛艦「いずも型」の空母化もこうした動きの中で浮上してきたものだ。

 中国海軍が空母から艦載機を発進させて南西諸島に攻撃を行った場合、航空自衛隊の那覇基地(沖縄)や新田原基地(宮崎)から戦闘機を発進させても往路に要する時間のロスや燃料消費が大きく、十分な迎撃が行えない。それに対してF-35Bを搭載した空母ならば危険が予測される地域に配備しておくことで素早い対応が可能になり、抑止力にもなるからだ。

 また中国軍の脅威に対抗するだけでなく、周囲を広大な太平洋に囲まれた日本にとって洋上にF-35Bやオスプレイ、哨戒ヘリコプターなどを運用できる移動基地を保有することは大きなメリットとなる。

 こうした理由から海上自衛隊の保有する最大のヘリコプター搭載護衛艦である「いずも型」を空母化することになったのである。海上自衛隊が保有する「いずも型」を改修して空母化するという方法は、新しく空母を建造するよりも費用がかからず現実的な対応策ともいえる。

いずもへ着艦する米海兵隊のF-35B(写真/防衛省)
いずもへ着艦する米海兵隊のF-35B(写真/防衛省)

次ページは : ■「いずも型」空母化への改修

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