マツダを担うCX-60&ラージ・アーキテクチャー 評論家10人の評価

■桃田健史はこう見る

●CX-60プロトの評価は?

 CX-5やCX-8と比べると、圧倒的に見切りがいい、しかもピッチングが少なくフラットライドですっきりと走れる。少々大げさに言えば、コーナリング中は、背の高い直列エンジンではなく水平対向エンジンのような低重心感。事実上のフロントミドシップによる効果が大きい。

 世界的なディーゼル逆風、さらにマツダとして高価格を市場がどう受け入れるのか?

●ラージ・アーキテクチャーの課題と将来性は?

 これまでマツダが行ってきた技術的な説明だけ聞いていると、「本当にこれが今の世のなかに通用するのか?」という一抹の不安があった。それが、実物に触れ、また事業としての展開について詳しく聞くと、腑に落ちる点が多かった。

 CX-5を代表とする2012年以来の第六世代と進化した新しい商品群との違いを、販売店を通じてユーザーにしっかり説明することが必要だ。

●桃田健史の採点……90点
・PHEVのフィーリング 5
・直6ディーゼルのフィーリング 5
・ハンドリング 5
・ミッションフィール 4
・ブレーキフィール 3
・乗り心地・快適性 5

■山本シンヤはこう見る

●CX-60プロトの評価は?

 感じたのは、飛び道具に頼るのではなく基本に忠実で“オーガニック”なクルマに仕上がっていたこと。ここは高く評価できると思います。ただ、これが「マツダらしさなのか?」というと疑問が残る。

 個人的には「基本素性がいいからOK」ではなく、その素性を活かし、「やっぱりマツダじゃなきゃ」と思える味つけが欲しい。

 みんなが期待しているのは澄んだ水ではなく美味しい出汁だと思う。

●ラージ・アーキテクチャーの課題と将来性は?

 期待できる部分は、これまで苦手だった高付加価値商品が提供しやすくなり、台数ではなく利益率で勝負できるようになる可能性があること。不安はマツダの悪い癖……クルマの仕上がりがいいので、調子に乗って身の丈以上のこと(=プレミアム化)をしようと考える恐れがあることだ。

 ラージプラットフォーム投入の本質は「効率化」であることを忘れてはダメである。

●山本シンヤの採点……85点
・PHEVのフィーリング 4
・直6ディーゼルのフィーリング 4
・ハンドリング 4
・ミッションフィール 3.5
・ブレーキフィール 3.5
・乗り心地・快適性 4

■渡辺敏史はこう見る

直4+プラグインハイブリッドに搭載されるバッテリー容量は17.8kWhと大容量だ
直4+プラグインハイブリッドに搭載されるバッテリー容量は17.8kWhと大容量だ

●CX-60プロトの評価は?

 〇:パッケージが変われど、インターフェイスは相変わらず完璧。FR系車台ではちょうど運転席足元あたりに来る4駆のトランスファーも自社設計で小型化するなど、運転環境に並ならぬこだわりを感じました。

 ×:運動性能にまつわる指標がちょっと変わって、より素直に着色がなくなりましたが、せっかくFR由来なのに味がわかりにくくなったと受け取られるかもしれません。

●ラージ・アーキテクチャーの課題と将来性は?

 今回乗った個体は試作ゆえ音振や変速制動等のタッチ面で少し粗さがありましたが、スジとしてはかなりいいものを持っているという手応えはありました。

 明快な個性が見えないという懸念はありますが、もし巷間で噂されている金額が本当(300万円〜!?)だとすれば、クルマ好きは狂喜乱舞でしょう。個人的には非HEVで4駆の直6ディーゼルが本丸だと思っています。

●渡辺敏史の採点……82点
PHEVのフィーリング 4
直6ディーゼルのフィーリング 4
ハンドリング 4
ミッションフィール 3
ブレーキフィール 4
乗り心地・快適性 4

次ページは : ■まとめ

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