■エンジンオイル、真っ黒でも知らん顔 人間の血と同じと思ってほしい
これは前出の2項目とはトラブルの性質が異なるかもしれない。燃料を入れるためにサービスステーションに立ち寄り、スタッフにエンジンオイルの交換を勧められても、それなりの出費がかさむのだから、そう簡単には受け入れられないのは、どこか「いつでも交換できる」という妙な安心感があるのかもしれない。
ディーラーでの定期点検などで油脂(フルード)系を見てもらうというのは安全面でも多少は気楽に受け入れられる。ただし、エンジンの想像以上の過酷な「仕事内容」を考えれば、ないがしろにすべきことではない。人間の血だって、悪玉コレストロールが増えてくると固まりやすくなり、大動脈瘤解離や心筋梗塞が起きてしまう。
エンジン内部は作動時には亜燃焼ガスにより、2000~3000℃にも達する。燃料の未燃焼成分やススなどによる汚れの蓄積や熱による酸化、添加剤の消耗などがエンジンオイルの性能を落とす原因になる。エンジン冷却時に結露により水分がオイルに混入していることなどもエンジンオイルに悪影響をもたらすことになる。
このような要因により、エンジンを保護する能力をはじめ、要求される様々な性能が低下していくことになる。
エンジンオイルの交換時期はユーザー側でもメーカー側でもそれぞれ意見や考えがあるだろうが、オイル(燃料)メーカーではベストな状態で保つためには「3000~5000kmまたは3~6ヵ月のいずれか早いほうで交換することが一般的」としている。
個人個人でメンテナンスに対する考え方が異なるから微妙だが、エンジンオイルに関しては、ゲージを利用してオイル量が適量か、色が黒く濁るような状態になっていないかについては、気づいたときにエンジンフードを開けてチェックするべきだ。
少なくとも、燃費が極端に悪化するというレベルに達していたら、適正な交換時期はとっくに過ぎているはずだ。
特に日常的に悪路を走らせる場面が多く、走行距離が多い(たとえば年間1万km以上など)、街中などでの一回の走行時間が短く短距離であるなど、エンジンへの負荷が高い使用条件の場合には、オイルの劣化が進やすい場合もあるので、こまめにチェックすべきだろう。
■ATのつながりがギクシャク、変速ショックが大きくなってきても知らんぷり
オートマオイル(ATフルードは一般的ではない?)は、正確にはAT(オートマチック・トランスミッション)車専用のオイルであり、ATFはオートマチック・トランスミッション・フルードの略称だ。エンジンから動力を伝達するトランスミッションの機能を担い、変速制御、各部の潤滑や冷却、内部の洗浄など、その役割は多岐にわたる。
ATFの交換頻度は、一般的に走行距離が2万~3万km毎の交換が推奨されていたが、現在ではメーカーや車種によっては10万km毎の交換を推奨しているようで、10万kmという目安は、自動車とオイル、それぞれのメーカーの性能向上の努力を反映していることは間違いない。
ただし、ユーザーがメンテナンスに気を遣って、2~3万㎞毎などでATFを交換していれば問題はないが、長期にわたって無交換で済ませた後にATFを交換する場合には、駆動系で起こりうるトラブルが想像できる。
ATFについては、ギアの磨耗によって出た金属粉などで汚れている場合があるが、ATFを交換せずに長く使用し続けて交換した場合には、トランスミッション内に固着していたスラッッジなどの汚れが影響して、トランスミッション内部で不具合を引き起こすケースが考えられる。
具体的には、ギアの滑り、エンスト、シフトチェンジの不具合などが起こりやすくなり、最悪の場合には完全に走行不能になる恐れがある。ましてや、シフトダウンを繰り返して使い、変速ショックが大きくなってもATFを無交換で通すというのは劣化が進まぬはずもなく、交換した方がいいに決まっていて、すでに「うっかり」のレベルを超えている。
ATFの交換による不具合が起きた場合は、トランスミッション内を洗浄するか、トランスミッション本体を交換することもあり得る。となれば費用もそれなりにかかるため、クルマを買い替えることにさえなりかねない。
考えておきたいのは、ATFの交換時期が長くなっているのは、自動車メーカーが車種に応じたオイルを設定していることに理由があることだ。決して交換するオイルはなんでも良いわけではなく、グレードや添加物など成分が細かく設定されていることに思いを巡らせて、純正オイルを使って交換することを勧めておきたい。
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