意外に実用的でカッコよくてお買い得! スズキXL6は日本でも売られるのか

■XL6はコンパクトクラスのミニバン。外観はSUVらしいカッコいい仕上げだ

ルーフからの俯瞰のため、わかりにくいが黒色のホイールアーチやアルミ製ルーフレールなどを装着し、SUV感を演出している。後付け感はなく、見た目の収まりもいい!!
ルーフからの俯瞰のため、わかりにくいが黒色のホイールアーチやアルミ製ルーフレールなどを装着し、SUV感を演出している。後付け感はなく、見た目の収まりもいい!!

 外観を見ると、4輪の収まるホイールアーチは、ブラックの樹脂パーツによって縁取りされている。ボディの下側には、アンダーガード風の樹脂パーツも備わり、SUVの雰囲気も兼ね備えて流行に沿っている。

 2列目シートはセパレートタイプで座り心地が優れ、2/3列目の間を移動しやすい。全高は1755mmだから、ミニバンでは低めに抑えられ、フリードを少し上回る程度だ。後席側のドアも横開き式で、スライドドアは採用されない。

 全長が4445mm、全幅は1775mmというボディサイズと最小回転半径の5.2mは、少しワイドではあるが、日本の道路環境に適した大きさだ。「日本で販売する予定はないのか」、販売店に尋ねると以下のように返答された。

「XL6は海外向けに開発されたクルマで、今のところ日本国内で売る予定はない。直近の新型車としては、6月17日にアルトラパンが大幅な改良とグレード追加を実施したが、それ以外は聞いていない」。

■海外専売車でカッコいいクルマは沢山ある。ただ、日本に持ってくるにはコストが……

 海外向けに開発された車種を国内に導入することは皆無ではないが、メーカーの開発者に尋ねると困難も多いという。以下のように説明した。

「日本の保安基準に適応させ、型式指定も受けるには、相応のコストを負担せねばならない。一定の台数を販売できる見込みが立たないと、海外で扱っている車両を日本へ持ち込むのは難しい」。

 スズキは軽自動車が中心のメーカーながら、前述のとおり小型車の売れゆきを伸ばしているが、販売ランキングの上位に入る車種は少ない。ソリオは2021年に1カ月平均で約3700台を登録したが、イグニスは約200台だ。

 また、スズキはミニバンとして、日産からセレナのOEM車となるランディを導入しているが、この登録台数は2021年の1カ月平均が約60台だった。ランディにはセレナのハイウェイスターに相当するエアロパーツを備えたグレードがなく、エンジンもノーマルタイプだけでe-POWERは選べない。不利な条件も重なったが、スズキのブランドイメージと、ミニバンの親和性が高くない事情も影響している。

■XL6はリアドアが日本のミニバンで鬼門? のヒンジドア

パッケージも日本に適合していない訳ではないのだが、販売面でネックとなりそうなのがリアドアがスライドドアでないこと。日本のユーザーはスライドドアに慣れ過ぎて手放せないジレンマを抱える
パッケージも日本に適合していない訳ではないのだが、販売面でネックとなりそうなのがリアドアがスライドドアでないこと。日本のユーザーはスライドドアに慣れ過ぎて手放せないジレンマを抱える

 しかもXL6には、スライドドアが装着されない。今の売れ筋車種は、スズキのスペーシアやソリオ、N-BOX、ミニバンではノア&ヴォクシー、セレナ、アルファード、フリードなど、すべてスライドドアを備える。背の高い車種で、スライドドアを装着せずに好調に売られているのはSUVと、SUVスタイルの軽自動車とされるハスラー程度だ。

 このようにXL6は、ミニバンが得意とはいえないスズキ車で、なおかつスライドドアも装着されないから、販売面では不利になってしまう。

 しかし、外観はなかなかカッコイイ。SUV風のドレスアップが、精悍な印象のフロントマスクにも合っている。実用性も優れ、3列目のシートは、コンパクトミニバンのフリードやシエンタよりも広そうだ。3列目はコンパクトに格納できて、広い荷室に変更できる。

 全長が4445mmというボディサイズも絶妙だ。フリードやシエンタの全長は4300mm以下、そのほかのノア&ヴォクシー、セレナ、ステップワゴンなどは4600mmを大幅に超える。XL6は全幅が1775mmで少しワイドだが、全長の4445mmは、コンパクトとミドルサイズミニバンの中間に位置する。日本の道路環境に適した大きさだ。

 XL6はインド製だから、ドライバーの座席も日本車と同じ右側で、左ハンドル車を右側へ変更する手間も要さない。日本のメーカーが日本国内で販売していない海外専用車はたくさんあるが、そのなかでみるとXL6は国内市場との相性が優れた部類に入る。

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