その3:マフラー自慢
「太いマフラーがエライ」。そんな時代が過去にはあった。マフラーにはコブシが入って当たり前。80φ(=ファイが正式だがオッサンたちはパイと呼んだ)とか100φとか直径を競い合ったものだ。サービスエリアなどでスポーツカーをみかけると、まずはマフラーをチェック。ノーマルのままでは相手にされなかった。
いまや騒音規制も厳しくなりマフラー熱も以前ほどではないが、いまどきのクルマにがっかりすることがある。いっけん立派なマフラーを装着しているように見えて、近づいてみるとダミーだったりするときだ。裏を返せばマフラーは、それほどまでに自動車のシンボルだったのだ。くれぐれもEVのデザイナーはダミーマフラーをつけないように!
その4:「操縦感」に酔いしれたメーターチューン
昔のクルマ、特にスポーツカーにはいっぱいメーターが付いていた。燃料計に水温系はもちろん、油温計、油圧計、燃圧計、電圧計、ターボのブースト計といった具合。物足りない人はチューニングショップへ行って追加メーターを取り付けてたぐらいだ。
まあサーキット走行でもしない限り、フル活用という場面は少なかったけれど、それでも昔のクルマは「手がかかる子」だったからトラブル予知の手段にはなった。「俺はいまクルマを操縦しているんだ!」と酔いしれるには最高のアイテムで、「戦闘機やガンダムを操りたい!」という男の子の夢の代償だったのかもしれない。
いっぽういまのクルマはエンジン車でもメーター類は最小限。普段は速度など必要な情報だけを伝えて、警告などはセンサーが異常を察知したときだけ表示するように工夫されている。完全自動運転が実用化すれば運転席自体が消滅してしまうから、人間がクルマのメーターとにらめっこするなんてことは遠からず絶滅するんだろうなあ。
その5:添加剤「口プロレス」
昔はカーショップへ行くといろんな添加剤が売られていた。ガソリンタンクの水抜き剤に始まって、パワーアップをうたったものや燃費向上をアピールするものまでさまざま。オッサンたちはこぞって買いまくって、その効果を自慢しあったものだ。
入れるとしっかりと効果を生む添加剤もあるいっぽうで、中には怪しい製品もあり、実態はほとんど口プロレスの世界だった。EV時代になれば、給油やおろかエンジンオイル交換もないから、添加剤文化は消えてしまうのだろうが、たった1000円程度で「クルマの性能が上がるかも!」という夢が見れた時代は、間違いなく幸せだった。
その6:エキゾーストノート
これがなくなってしまうことが、実は一番のショックかもしれない。
クルマの排気音は多くの人にとって迷惑の種だろうが、昔のクルマ好きはこれが大好物だった。スバルの水平対向、日産の直列6気筒、マツダの13Bロータリー、そしてアメ車のV8と、エンジン車にはそれぞれ個性的な音があり、その個性を競い合ったものだ。名指揮者のカラヤンがポルシェのサウンドを愛したのは有名な話。筆者自身も、昔は深夜の国道を走り去るクルマの音に耳をそばだてたりしたものだ。
数年後には鬼のように厳しい騒音規制が実施されるため、自動車はほぼ無音になるだろう。とはいえ人間が無音のクルマを気に入るかは怪しく、車内にだけエキゾーストノートを響かせる「アクティブ・サウンド・コントロール」といった仕組みも実用化されている。EVにも走行音を出させる研究も進んでいるから、意外とエキゾーストノートが残ったりして!
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コメント
コメントの使い方だから最近の若者は『エンジンが掛かる』ではなくて、『エンジンがつく』って言うのか💦
車好きにコードファントム等の疑似エキゾーストがウケなかったのは、エキゾーストノートはその音色だけじゃなく
振動や他の音との兼ね合いが非常に大きなファクターだからです。振動は音圧もそうですが、マフラーのセンター・メイン・フィニッシャーそれぞれから
車体を伝わってくるものも、共鳴も毎回の変化も、全部が重要なんですね。だから採取した同一の音をスピーカーから流しても感動が希薄