脱炭素だけじゃツマラナイ……個性の違いはあるのか? 最新輸入電気SUV フォルクスワーゲン ID.4&ボルボ XC40リチャージ超辛口試乗

■2台のスペック差

XC40リチャージはガソリンエンジン搭載車もあるため、フロントに大きなスペースが生じ、荷物入れとなる
XC40リチャージはガソリンエンジン搭載車もあるため、フロントに大きなスペースが生じ、荷物入れとなる

 さて、ID.4とXC40、並べてみるとサイズはほぼ同じですが、全長はちょっとXC40が長いですね。

 ID.4は完全にBEV専用に新設計されたプラットフォームなのに対し、XC40はFFベースのエンジン車から始まり、その後PHEVやBEVモデルが追加されました。BEVも念頭に開発されたとはいえ専用設計ではないため、フロント周りにBEVとしては無駄なスペースも残っています。

 ID.4のフロントボンネット内には制御系が搭載されています。ラジエターコアパネルはガラス繊維入り樹脂の構造体で造られ、衝撃吸収と剛性向上を図っています。

 車体構造は最近のトレンドどおりでダッシュパネルにサスアッパーが直付けされ、さらに左右のサスアッパー間を強固なメンバーで結んでいます。

 重量物がないためフロントセクションは軽く仕上がっています。ちなみに車重2140kgに対して前軸重は1010kg、後軸重は1130kg。47.2対52.8です。しかし、車重はエンジン車より200kg程度重く、前軸重1010kgは、絶対値として軽くありません。

 XC40のボンネット内中央部は20L以上の容量がある荷室になっています。空いたエンジン搭載スペースの活用です。

 こちらはフロントにもモーターを積んだ4WDで、車重は2150kg。前軸重は1100kg、後軸重は1050kgでほんの少し前寄りの重量配分ですが、ほぼ前後均等です。

■ID.4の内装はシンプルで好感

ID.4の乗降性を見る。サイドシルは高いが、室内床がフラットで、足の出し入れはスムーズ
ID.4の乗降性を見る。サイドシルは高いが、室内床がフラットで、足の出し入れはスムーズ

 インテリアを見ましょう。

 まずはID.4。メーターパネルはステアリングコラムにマウントされ、チルトに合わせて上下します。これは私がV35スカイラインやR35GT-Rなどでやったものと同じ。ステアリングの位置を変えても、メーターはハンドルにけられず、視認性を確保します。

 ID.4は液晶パネル採用のため、V35と比べて圧倒的にコンパクトです。

 特徴的なのは、このメーターパネルの右端にシフト操作ダイヤルが配置されていることです。右手でつまんで右回転(奥側)に捻るとDレンジ、左回転(手前側)に捻るとRレンジに入ります。Pレンジは横のボタンをプッシュします。

 慣れれば使いやすいのでしょうが、前進(D)と後退(R)で捻る方向を間違えそうです。

 私だったら、ステアリングスポークの右側にDレンジ、左側にRレンジを配置します。前進は右手、後退は左手で操作させて、誤操作の危険性を排除します。

 ステアリングホイールの径は肩幅とほぼ同じ390mm径で使いやすいです。両腕を自然に前に出した位置で握れるので、長距離ドライブでも肩の疲れは少ないでしょう。

 インテリアはスイッチパネルなどプラスティック感むき出しですが、造形自体はシンプルで好感が持てます。ただ、センターのナビ画面は取ってつけたようでシンプルなインパネの中で浮いています。もう少しと工夫がほしい。

 例えば、周囲のフレーム枠をメーターパネルと同質感の素材にして、アルミ調のブラックスモークにすれば、高質感が演出できます。

 シートはこれまでのVW車とは違い、ソフトで包み込まれるようなフィット感があります。これは二層ウレタンのクッションも使っていますね。このシートはいい。ペダル配置は自然でいいですね。

 後席の乗降性は、サイドシルは高めですが、フロアの段差が小さく足もスムーズに入り、悪くありません。後席の座面は高く、高い位置に座っている感覚ですが、頭上空間に余裕があり圧迫感はありません。ただ、シートの厚さは薄く、底付き感もあります。

次ページは : ■XC40のドラポジはFF車そのもの

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