確か教習所で習ったことがある「内輪差」という言葉。この内輪差、運転時は必ず意識すべきではあるが、意識しすぎで危険な運転をしているドライバーも多い。そこで今回は内輪差についてのお話。
文/山口卓也、写真/トヨタ、写真AC
■まずはおさらい。そもそも「内輪差」って?
内輪差とは、クルマが右折や左折するときに発生する前輪と後輪の軌跡の差のこと。
例えば左折する時の歩道側の後輪は、前輪よりも内側を通る。この前輪と後輪の軌道のズレ幅を内輪差といい、大型トラックやトレーラーなどのホイールベース(前輪と後輪の軸間距離)が長いクルマほど内輪差は大きくなる。
交差点で大型トラックやバスなどが左折する様子を見ていると、前輪はずいぶんと交差点からは離れた位置を通るのに、後輪がかなり近くまで寄ってくる。これは内輪差によるものだ。
大型トラックが交差点を曲がる際に起こってしまった交差点での巻き込み事故は、この内輪差が主な原因のことが多いが、運転席から遠く離れた左側ミラーの視認性の悪さ、オーバーハングにも注意を払わないといけないことなども原因とされている。
ちなみに、「オーバーハング」とは、前後輪よりも前後にあるボディ部のことで、前輪より前部は「フロントオーバーハング」、後輪より後部を「リアオーバーハング」という。
大型車などのオーバーハングの多いクルマは、曲がる時に車体後部先端が外側に大きく振り出される感じになる。つまり、ここにも注意を払う必要があるのだ。
大型車の左折時は、「内輪差に考慮して左に寄りすぎないようにしたいが、振り出される右後部を考慮して、狭い車線幅の道路ではできるだけ左に寄りたい」「巻き込みに注意して運転席から遠い左ミラーで車体左内側を注意、もちろんオーバーハングもあるから右ミラーもチラッ」……などと想像すると、大型車の運転手には頭が下がる思いである。
■「外輪差」という言葉もありますよ
内輪差に対して「外輪差」という言葉もある。
内輪差が内側の前後輪の軌跡の差を指すのに対し、外輪差は外側の前後輪の軌跡の差を指す。
外輪差による事故は主にバック時に起こりやすく、ハンドルを切りながらバックしたときにクルマ前部が思った以上に外側に膨らむことで、フロントバンパーを隣のクルマにぶつけるなど事故になりやすい。
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