ベストカー本誌で30年も続いている超人気連載「テリー伊藤のお笑い自動車研究所」。過去の記事を不定期で掲載していきます。今回はトヨタ 8代目ハイラックス(2015年-)試乗です!(本稿は「ベストカー」2018年1月26日号に掲載した記事の再録版となります)
PHOTO/西尾タクト
■海外で苦労してさらに逞しくなった! キミはとことんカッコイイ!!
ハイラックスが13年ぶりに日本に戻ってきた! 冒頭から断言しよう。これからの「モテるクルマ」はハイラックスで決まりです。
これに乗っている男は男から見てもカッコイイ。ランボルギーニやフェラーリは食傷気味だが、ハイラックスは目を奪われる。
昔、『私をスキーに連れてって』という映画があったが、今それを作るとしたら、主役のクルマはハイラックスだァ!
なぜハイラックスがモテるクルマなのかというと、これに乗る人はクルマ以外に楽しみがあるからだ。86やシビックタイプRなどとはそこが明らかに違う。
86やタイプRで誘われると箱根の峠道や首都高環状線に連れていかれそうなイヤな予感がするが、ハイラックスで誘われたらどうだろう。どこかアクティブで楽しいところへ連れていってくれそうだと女の子は思うはず。そこが重要なのだ。
13年ぶりにハイラックスを日本に復活させたトヨタの英断に、どんな言葉で感謝すればいいのかわからない。
「ハイラックスは、なぜこんなにカッコイイのだろうか?」としばらく考え込んでしまったが、きっと、その理由はいつも同じようなクルマばかりを見ているからだ。
軽自動車からセダン、ワゴン、SUVまで、細かな違いはあっても世の中には似たようなクルマが多いなか、ハイラックスはずば抜けて新鮮なのだ。
なんでも、日本では20〜30代の人たちがけっこう買っているという。「日本の若者たちはわかっているな」と思う。リアシートがあって5人乗れるし、意外と便利なクルマなのだ。ハイラックスを選ぶ感覚、ナイスである。
ピックアップトラックというといかにもアメリカっぽいが、実はハイラックスはアメリカのトヨタではラインアップしていない。
あちらではもっと大きなタコマやタンドラが売られていて、ハイラックスはアジア、中近東、中南米、アフリカ、要するに世界中ということだが、そういうところで活躍している。
13年ぶりに日本に帰ってきたハイラックスを見ていると、南米あたりで悪役レスラーとして活躍していた日本人が強く、たくましくなって帰国してきたような印象を受ける。
「おまえは世界の舞台で鍛えられ、理不尽な目にも遭いながらしっかり成長してきた。これからは日本のリングで思いきり輝いてくれ!」と言ってやりたくなるのだ。
もうひとつ、ハイラックスにまつわる言葉が懐かしいものだらけなことにも驚く。
ベストカーが「自動パーキング」とか「コンビニフック」とか、そんなぬるい言葉ばかりに飼い慣らされているなか、ハイラックスのカタログには「ダブルキャブ」「フレーム骨格」「ダイヤルスイッチ式パートタイム4WD」など最近聞かない言葉が並んでいる。これを見ても目頭が熱くなってしまう自分がいる。
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