■想像通り、「いい足をもった快速ハッチバック」
少しペースアップしてみると、パワートレインの力強さがよく分かる。低速からの加速シーンでは、エンジン回転の音質も滑らかで、かつ静かだ。
強めにアクセルペダルを踏み込んだときの、加速の強さも必要十分。ターンパイクのきつい登坂でも、余力を持って登っていく印象がある。これらは間違いなく、エンジントルクをアシストする48Vマイルドハイブリッドシステムの恩恵だろう。
コーナリング性能は、操舵に対して遅れなく、綺麗に曲がっていく印象だ。
「切れ味鋭い」とか「微舵でもよく動く」と言えるほどの応答性はないが、初めて乗ってもすぐに馴染むハンドリングの心地よさは継承されている。この辺りは、間違いなく、歴代ゴルフの「世界のベンチマーク」としての実力が引き継がれている。
ちょっと速めのスピードでコーナーに突っ込んで大きくロールさせ、ボディモーションを確認する。
コーナーの途中で荒れた路面を走り、タイヤが多少バタついても、サスやタイヤのたわみで吸収し、キャビン側には揺れをさほど伝えてこないのはさすがだ。コンベンショナルな足で、ここまでつくり込めるのかと、改めてフォルクスワーゲンのクルマづくりというものを実感した。
■派手さはないが、「すっと馴染む運転フィール」はガソリンモデルの長所
新型GTIは税込466万円、GDI 344万円~408万円、1.5L eTSIは376万円~381万円、1.0L eTSIは295万円~317万円。上級グレードになる程、専用のエアロダイナミクスや18インチ大径タイヤ、シャーシが高性能化して走行性能が向上する。
インテリアにも、スポーツシートやインフォテイメントシステムや先進運転支援がグレードアップし、出来ることが飛躍的に増えるなど、商品魅力は増していく。
「どれがおススメか」と問われれば、筆者は「どれを選んでもコストに見合う価値が得られます」と答える。
GTIのパンチのある走りを楽しむもいいし、ロングツーリングで真価を発揮するTDIもいいし、手ごろにゴルフ8のよさを享受出来るeTSIもいい。どのグレードも「外れ」なんてことはないが、「もっとも普通のゴルフが欲しい」となれば、今回の1.5L eTSIがおススメとなる。
刺激的な走りのGTIや、怒涛のトルクと燃費のGDIのように、尖った性能や派手な所はないが、他のクルマから乗り換えた瞬間から、「すっと馴染む運転フィール」は、ベーシックなゴルフの長所だ。
ちなみに、リアサスがトーションビーム式になる1.0L eTSIは、コストを徹底的に削ったモデルだが、走行性能は、決してさぼってはいない。合理的主義(ケチともいう)な欧州市場のユーザーの多くは、このベーシックグレードのマニュアルミッション車で、乗り倒すそうだ。
性能がいいとは言っても、誰もがGTIやGDIといった高級モデルを手にできるわけではない。フォルクスワーゲンは大衆車だ。むしろエントリーゴルフでこそ、その真価を味わえるといって過言ではないだろう。
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