7月18日にSKYACTIV-Gを搭載したガソリン2Lモデルが発売となったマツダ3。
SKYACTIV-Xの登場を10月に控えるものの、今回そのガソリン2Lとディーゼル1.8Lの日本仕様車に初試乗できる機会があったため、その模様を自動車評論家 鈴木直也氏とともにお伝えしたい。
しかし、今回、一般公道での試乗は叶わず…。なぜ一般公道での市場の様子をお伝えしたかったかについては、直也氏のインプレッションでの説明に譲るが、今回のマツダ3のコンセプトの根幹にも触れる部分なので、ぜひそれを踏まえて目を通していただけたらと思う。
※本稿は2019年6月のものです
試乗・文:鈴木直也/写真:平野 学(一部 奥隅 圭之)
初出:『ベストカー』 2019年7月26日号
■マツダ3開発陣の語る「歩くように走る」とは
アクセラ改めマツダ3は、今年最も注目すべきニューモデルの1台。にもかかわらずメディア試乗会が遅れていて、ようやく量産モデルに乗れると思ったら、開催場所はクローズドコース(GKNプルービンググラウンド)。
またしても限定的な試乗報告にとどまることを、まずは読者におわびしなければならない。
なぜ初っ端からこんな言い訳をするかといえば、新しいマツダ3が最も重視したポイントが「普段の使い心地」にあるからだ。
マツダ3の走りを形容するのに、開発陣は「歩くように走る」という表現を用いている。今回の試乗会でも詳細なプレゼンがあったが、その意図するところをユーザーに伝えるのは容易ではない。
技術陣いわく、人間が自然にクルマをコントロールするためには、正しくデザインされたシートが必須。
骨盤を立てて座ることで脊椎が自然なS字カーブを描く理想のドラポジが得られ、それによってはじめて人間の自然なバランス感覚を引き出すことができるという(難解でしょ?)。
こういう人間中心のデリケートな乗り味を理解するには、クローズドコースだけでは不充分。
広報資料の表現を借りると「日常が鮮やかに輝くパーソナルカー」というのが開発コンセプトだそうで、それならよけいテストコースやサーキットで重箱の隅をつつくような乗り方をするのではなく、ほかの交通とも共存する一般公道で虚心坦懐にその走りを味わうのが本筋だろう。
■ガソリン2Lが予想以上の出来!
というわけで、グチはこのへんで本題。まずはマツダ3の素晴らしいところだが、内外装ともにデザインについては誰もが認める存在感がある。
デリケートな面の造形、隙のない丁寧な作り込み、上質な仕上げなど、作り手側が投入したエネルギー量は並みのクルマとは段違い。
デザインの訴求力は国産車のなかではダントツで、一種のオーラがあるといっても過言ではない。
ただし、これはファストバック(5ドアハッチバック)にいえることだが、格好いいリアクォーター周りの造形にこだわった代償として、斜め後方の死角や後席の圧迫感などのネガもある。
すべての要求に配慮していたら個性的で格好いいクルマなど作れっこないんだから、これはこれで大いにアリ。この「攻めたデザイン」はマツダ3最大の魅力だ。
パワートレーンに関しては、大注目のSKYACTIV-Xが10月発売ということで、今回試乗できたのはガソリン2Lとディーゼル1.8L。すでにおなじみのエンジンゆえ、この部分に関してはデザインほど鮮烈な印象はない。
現時点でのおすすめとしては、ガソリン2Lのドライバビリティが好印象だ。156ps/20.3kgmというスペックは従来どおりだが、CX-5より車重が200kgほど軽いこともあって中速域のトルク感が良好。
「SKYACTIV-Gの2Lって、こんなにグイグイきたっけ?」と、同乗のイーボシ編集長と思わず顔を見合わせたほど、いい意味で予想を裏切る力強いドライバビリティがある。
コメント
コメントの使い方