タイで発表された三菱エクスフォース・ハイブリッド。エクスパンダーハイブリッドの流用かと思ったら、なんとハイブリッドユニットを新開発してきた。この力の入れようは、日本導入を視野に置いている証拠とも受け取れる。24.4km/Lという燃費をうたう、その中身を解説しよう!
文:ベストカーWeb編集部/写真:三菱自動車
1.6Lエンジンを組み合わせたシリーズ・パラレル式ハイブリッド
2023年、インドネシアでガソリンモデルとしてデビューしたエクスフォース。東南アジアはこのガソリン一本槍かと思ったら、隣国タイではわざわざハイブリッドユニットを用意してきた。タイは都市部の大気汚染がひどく、脱炭素にも熱心だから「さもありなん」ではある。
だとしても、三菱はすでにエクスパンダー/エクスパンダークロスにHEVモデルがある。こいつを流用すれば話は早かったのに、エクスフォースはわざわざ、ハイブリッドユニットを新開発したのである。
三菱とともにその開発を担ったのがアイシン。THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)の開発においても、トヨタとともに重要な役割を務めてきたハイブリッドのエキスパートだ。ちなみに同社はデンソー、トヨタと「ブルーイーネクサス」という電動モジュールの製造会社も立ち上げているが、今回のエクスフォース用ハイブリッドはアイシン独自のもののようだ。
その中身だが、三菱製の4A92型1.6L・MIVECエンジンに、モーターとジェネレーター、トランスアクスルを一体化した3 in 1のシリーズ・パラレル式ハイブリッドユニットだ。
シリーズ・パラレル式とは、タイヤの駆動力にエンジンとモーター双方の出力を使うものだが、チェックしたいのは高速走行時の動作。この状況ではモーターよりもエンジンのほうが高効率なため、燃費を高めるにはモーターを切り離す仕組みが必要なのだ。
【画像ギャラリー】日本の道でも絶対カッコイイエクスフォースHEVをじっくり見て!(24枚)画像ギャラリータイでの価格は395万円から!
この点、エクスフォースは抜かりない。アイシンがマニュアルミッション開発で鍛えたドグクラッチ機構を使い、一定速度以上になるとモーターを切り離し、エンジンのみの走行を可能にしている。
もう1点、このハイブリッドユニットがすごいのは、2段の変速機構を備えていることだ。つまり車速が載ってパワーユニットの回転数が高まったら、高速ギアに切り替えて回転数を抑えることができるというわけ。これは加速性能や燃費、静粛性といった点で、圧倒的な効果を発揮するだろう。
ハイブリッドユニットのスペックだが、モーター出力が85kW(116ps)/255Nm、エンジン出力はエクスパンダーHEV(70kW(95ps)/134Nm)よりも強化されて79kW(107ps)/134Nm。システム全体の出力はアナウンスされていない。フロントシート下に配置されるリチウムイオン電池は1.1kWでプリウスHEVと同容量。EVモード走行も可能だ。環境対応はユーロ6スタンダードに適合、タイ現地の燃費は24.4km/lとなっている。ガソリンタンク容量は42Lだ。
最後に現地価格に触れておきたい。タイでのエクスフォースHEVには「イグナイト」「アルティメイト」「アルティメイトX」という3つのグレードがあり、順に89万9000バーツ、103万9000バーツ、108万9000バーツ。1バーツ=4.4円とすると、それぞれ395万5600円、457万1600円、479万1600円になる。
ここには現地の物品税などが含まれるだろうが、日本の相場観ではやや割高な印象。とはいえ4.3m級のコンパクトSUVの需要は絶大だから、導入を検討する価値は十分ある。装備面などを再考し、ぜひとも300万円台で日本にも上陸させてほしい!
【画像ギャラリー】日本の道でも絶対カッコイイエクスフォースHEVをじっくり見て!(24枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方クラッチ作動によるショックとか、内燃機関で走る事による4輪制御の不利とかは燃費の前では妥協できるもんなんかな?
アウトランダーphev4wdの走りと静粛性を知ってしまうと、
バッテリー1.1kwのハイブリッドは、もはや電動車とは呼べない、かも
プリウスよりは、高速域は快適かもしれませんね