まずは下のカレンダーを見てもらいたい。ヤリスに始まり、Tjクルーザー、ハリアー、ランクル、MIRAI、12月には超小型EVまで。実質上トヨタ初の市販型ピュアEVと目されるレクサス UX300eを加えれば、まさに死角の無い陣容と言っていい。
かつて現役だった頃の女子レスリング 吉田沙保里選手が登場すると、そのあまりの強さに「絶望」と呼んだ国があったらしいが、ほかの国内メーカーから見ればこのラインナップはまさに絶望ものかもしれない。
ここでは、そんな2020年トヨタの新型車たちを、登場予定順に見ていこう。
■2020年 トヨタ新車カレンダー
2月10日 ヤリス
4月 プリウスGR
5月 Tjクルーザー、ハリアー
6月 カローラスポーツ GRスポーツ
7月 MIRAI
8月 RAV4 PHV、ヤリス GRスポーツ
秋頃 ヤリス クロスオーバー
12月 超小型EV
時期未定 ランドクルーザー
※ヤリスを除いたモデルはいずれも予定。
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※本稿は2019年12月のものです。新車スケジュールは2019年12月時点で当編集部および流通ジャーナリストの遠藤徹氏が、各メーカーや新車販売店に取材した結果を反映したものであり、発売日が近づくことによって流動する可能性があります。新型車の発表スケジュールについては、新情報が入り次第更新していきます
文・写真・予想CG:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年1月26日号
【4月登場予定!】エコモデルもスポーティに進化 トヨタ プリウスGR

すでにプリウスPHVには「GRスポーツ」が設定されているが、ベースモデルのプリウスにはGRモデルの設定がないままだった。
プリウスは2018年12月にフェイスリフトを実施しているが、この新型をベースにGRスポーツが開発されているため、登場が遅くなっているのだ。
基本的には「GRスポーツ」の図式に則ってパワートレーンには手を入れられず、ボディの補強や足回りの強化、シートやステアリングなどインテリアのドレスアップなどがチューニングメニューとなる。
特に弱点が指摘されるリアフロア周りを強化することで操安性能のバランスを高め、よりファンな走りを味わえるようになる。デビューは2020年4月の計画だ。
【5月登場予定!】SUVとバンのクロスオーバーモデル トヨタ Tjクルーザー

全長4300mm、全幅1775mm、全高1620mmというTjクルーザーはRAV4よりも300mm全長が短いばかりか、レクサスUXと比べても195mmも短く、全幅だって65mmも狭い。むしろサイズ感としては“ほぼ”C-HR。
特徴的なのは最近の「トヨタ顔」とはまったく別系統のフロントマスク。フロントバンパー両サイドのわりと低い位置にヘッドライトを配置する顔は、最近の三菱車が積極時に取り入れているが、Tjクルーザーは2017年の東京モーターショーで基本フォルムを出しており、張り出したフェンダーに対して絞り込んだフロントノーズのゴツゴツした質感など、フォルム全体から受ける印象はまったく異質なものだ。
後席アクセスが大開口スライドドアというのが特徴。ミニバンのようでもあり、でも2列シートで全体的フォルムはSUV。

リアシートは低い位置でフラットに収納が可能で、助手席も前倒させれば後部荷室と繋がるフルフラットのフロアとなる。このあたりは『バン』的な要素も持ち合わせたまさにクロスオーバー。
搭載されるパワーユニットはRAV4などに搭載されるダイナミックフォースシリーズ直列4気筒2Lガソリン(171ps/21.1kgm)とプリウスなどに搭載される1.8Lハイブリッドだ。

■トヨタ Tjクルーザー 予想スペック
・全長×全幅×全高:4300mm×1775mm×1620mm
・ホイールベース:2750mm
・車両重量:1500kg
・エンジン:直列4気筒DOHC 1.8L+モーター
・最高出力:145ps
・最大トルク:20.2kgm
・モーター出力:55ps
・価格:260万~320万円
【5月登場予定!】クーペスタイルSUVへ変身! トヨタ ハリアー

RAV4が新プラットフォームを採用してデビューしたことで、ハリアーは『一世代前』の印象が強くなってしまったものの、それでもRAV4とは対称的な都会的SUVの雰囲気により高い人気を維持している。
ハリアーの強みは、レクサスRXやNXが存在することで、徹底的に日本国内に向けたクルマ作りができる点にある。北米マーケットを最初に見なければならないグローバルモデルのRAV4との大きな違いともいえよう。
2020年8月にフルモデルチェンジが計画されている次期型ハリアーは、2019年4月に国内投入したRAV4が人気モデルへと成長したことで、より明確に棲み分けをすることが可能になった。
従前であればミッドサイズSUVとしてシティ派はもちろんのこと、エクストレイルやフォレスターのライバルとしてオフロード志向のユーザーにもある程度アピールする必要があったが、そちらはRAV4に任せればいい。
ハリアーはよりシティ派のニーズに応えるために世界的にも人気の高まっているクーペSUVスタイルを躊躇なく取り入れることを可能となったのだ。
基本プラットフォームはもちろんRAV4と共通。パワートレーンも共通で2.5Lハイブリッドと2L NA+ダイレクトCVTの2本立て。ハイブリッドには後輪を独立したモーターで駆動するE-Fourが設定されるのは現行型ハリアー同様。
ガソリンNAエンジンにも4WDの設定がありそうだが、RAV4アドベンチャーに採用されるトルクベクタリング4WDは非採用となるだろう。

【6月登場予定!】本格的ホットハッチバック トヨタ カローラスポーツ GRスポーツ

2019年11月に開催されたジュネーブショーでカローラスポーツGRスポーツがワールドプレミアされた。
ここの写真はまさにジュネーブショーのもの。
見てのとおり、GRスポーツの手法に則ったエクステリアデザインで、もともとスポーティテイストの強いカローラスポーツがよりスポーティに仕上がっている。
ボディやフロアの強化、サスペンションのスポーツチューニングなどが施されている。国内向けにはなかった2Lハイブリッドを搭載予定。

【7月登場予定!】 FRスタイリッシュサルーンへ進化 トヨタ MIRAI

まさかのFRで2代目となるMIRAI。東京モーターショーのフューチャーEXPOで展示されていたモデルがほぼそのまま2020年7月、つまり東京オリンピック直前にデビューする。
全長4975mm、全幅1885mm、全高1470mmでホイールベースは2920mm。6ライトのスタイリッシュなボディを見てもわかるように、これはもう、MIRAIの名を借りた「クラウンFCV」と言ってもいいだろう。

現行型では4名とされた乗車定員は新型では5名となる。
FRプラットフォームに搭載される水素タンクはフロアトンネル内に進行方向向きに配置。
容量アップとFCスタックの効率アップなどにより航続距離は現行型MIRAIの約30%アップ、つまり800km程度を実現する。

■トヨタ MIRAI 予想スペック
・全長×全幅×全高:4975×1885×1470mm
・ホイールベース:2920mm
・車両重量:2000kg
・パワーユニット:FCスタック、交流同期型電動機
・最高出力:154ps
・最大トルク:34.2kgm
・駆動方式:後輪駆動
・価格:800万~900万円
【8月登場予定!】RAV4がPHVモデルに!! EV走行62kmシステム出力302hp!!トヨタ RAV4 PHV

LAショーに出展され、国内販売も正式に公表されているRAV4 PHV。
基本となるのは既存の2.5Lハイブリッドで、大容量リチウムイオンバッテリーを搭載するとともにモーターの大容量化によりシステム出力はRAV4ハイブリッドを82hp上回る302hpをマークする。
これにより0-60mph(約96km/h)加速タイムはハイブリッドの7.8秒を2秒上回る5.8秒と俊足を発揮。
EV状態での走行は約62km可能で、アメリカの燃費基準で90MPG(約38.1km/L)を実現する。

■RAV4 PHV 予想スペック
・全長×全幅×全高:4610mm×1865mm×1690mm
・ホイールベース:2690mm
・車両重量:1750kg
・エンジン:直列4気筒DOHC+モーター、2487cc
・最高出力:178ps/5700rpm
・最大トルク:22.5kgm/3600-5200rpm
・システム出力:302hp(北米仕様の値)
・価格:400万~450万円
【8月登場予定!】GR-4に次ぐスポーツグレードも設定! トヨタ ヤリス GRスポーツ

ヴィッツからグローバルモデルの名称であるヤリスに生まれ変わり、何かと注目されるのは直3、1.6L直噴ターボを搭載したWRC直系モデルとなる3ドアハッチバック車のヤリスGR-4だ。
だが、GR-4は限定モデルだけに400万円を超えるという高価格帯になることが予想されているだけに、おいそれとは手が出しにくいのも事実。
そこでもう少し手軽に買うことができるスポーツグレードとしてGRスポーツが登場する。注目したいのは、そのパワートレーンで直3、1.5Lターボを搭載する。
開発を手がけるGRMNの開発上のベンチマークとしては、BMWミニが積む1.5Lターボの150ps/25.0kgmといったあたりをターゲットにしているらしい。
BMWミニよりも100kg近く軽量に仕上げてくるとみられており、GR-4ほどのハイパフォーマンスはないが、国産で1.4Lターボ採用のスイフトスポーツを凌駕する新たなスポーツコンパクトとして注目だ。

【12月登場予定!】超小型車規格導入を見据えた1台 超小型EV

導入に向け準備が進む超小型車規格に適合するモデル。ボディサイズは全長2490×全幅1290mmと、従来のミニカー規格に収まるものと同じとされながら、乗車定員はふたりとされ、日常での使用における利便性が大きく向上している。
最高速度は60km/h。一回の充電(充電時間は200Vで約5時間)で約100kmの走行が可能であり、公共交通機関が充実していないエリアに住む、高齢者にも最適と思われる1台だ。

ご覧のように内装もすでに市販レベルにまで仕上がっており、あとはデビューを待つだけといった感じに見えるが、問題は価格。
150万円程度になるという予測もあるが、それでは軽自動車と差がない。補助金も支払われるだろうが、あまり高価にならないことを期待したい。

■超小型EV予想スペック
・全長×全幅×全高:2490×1290×1550mm
・定員:2名
・最高速度:60km/h
・1充電走行距離:約100km
・充電時間:約5時間(200V)
・価格:150万円
【時期未定】V6、3.5Lターボ+ハイブリッド搭載!! トヨタ ランドクルーザー

現行型ランクル200のデビューが2007年なのですでに12年が経過している。
数度にわたるマイチェンを実施しているものの、歴代ランクルのなかでも長寿モデルとなった現行型も、ついに2020年7月に新型に切り替わるとの情報を当サイトでもお伝えしてきた。
しかし、最新の情報を整理すると、新型ランドクルーザーの登場時期はまだ流動的であり、2020年内に発売されない可能性も出てきた。当然、開発は進められているものの、その状況によって2021年以降の発売となる公算が高い。
基本的なコンセプトに変更はない。ガッチリとした大型ボディで強固なラダーフレームを持つヘビーデューティ4WD。
無骨さを感じさせながらも、エッジ部分のカドにRをつけるなど、スタイリッシュな雰囲気も感じさせているのが新時代のランクルだ。
このデザインは金型の発注資料や樹脂パーツの仕様書などの情報に基づいたもので、細部の変更はあるかもしれないが、ほぼ最終確定仕様だ。

搭載されるパワーユニットに注目だ。海外向けではV8、5.7Lやディーゼルの設定もあるが、国内向けは新開発される3.5L、V6ターボハイブリッドが搭載されることとなる。
これはレクサスLS500に搭載されるV35A-FTSをベースにハイブリッド用にチューニングして4ATを組み合わせたマルチステージハイブリッド。
システム出力400ps級で実用燃費10km/L台となる。

■ランドクルーザー予想スペック
・全長×全幅×全高:4950mm×1990mm×1890mm
・ホイールベース:2850mm
・車両重量:2450kg
・エンジン:V型6気筒DOHCターボ、3444cc
・最高出力:350ps
・最大トルク:50.0kgm
・モーター出力:180ps/30.6kgm
・価格:800万~1000万円
●【画像ギャラリー】新型車、フルモデルチェンジ、GRモデル!!! 充実のトヨタ2020年のラインナップをギャラリーでチェック!!!!