数年前から中古スポーツカーの価格が高騰している。理由はさまざまだが、そのひとつがアメリカの「25年ルール」の存在。
アメリカでは製造から25年経過した中古車であれば排ガス検査なしに輸入できる制度があり、これでアメリカへと流出してR32GT-Rの日本での価格が高騰したことなどが話題になった。
では現在も中古スポーツの高値は続いている? 買うなら今? 主な1990年代スポーツの中古価格に迫っていこう!
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※本稿は2019年12月のものです。流通量の★の数は……★:10台以下/★★:30台以下/★★★:50台以下/★★★★:100台以下/★★★★★:101台以上を示します。また本企画内の中古車価格や流通数は2019年12月上旬時点でのデータになります
文:萩原文博/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年1月26日号
■日産 スカイラインGT-R(R33/1995年~1998年)

1989年に登場したR32から始まる第2世代GT-Rのなかでロングホイールベースなどにより不人気だったR33GT-R。
しかし、とうとうR33GT-Rの中古車相場も値上がりを開始している。
1年前の平均価格は約325万円だったが、現在は約434万円と1年間で約100万円以上価格が高騰しているのだ。
中古車の価格帯もつい最近までは100万円台の中古車も出回っていたのだが、現在の最安値は約220万円まで値上がりし、しかも200万円台で購入できる中古車はわずか2台しかないという状況となっている。
●買いのクルマの価格は?
不人気で安いから狙い目といわれていたR33GT-Rだが、現在、買いの価格帯は350万~450万円は考えないと、じっくりと選んで購入することはできない。2020年で25年ルールもクリアするので、さらなる値上がりは必至だ。
■中古車相場:219.9万~1480万円(1995年式~1998年式)
■中古車平均価格:約1年前 約325万円 → 約434万円
■流通量:★★★☆☆(47台)
■日産 スカイラインGT-R(R34/1999年~2002年)

直6ターボエンジンを搭載した最後のGT-Rとして人気の高いR34GT-R。国産スポーツカーのなかでも値上がりが目立つ車種だが、現在も値上がり中だ。
1年前の平均価格は約760万円だったが、現在は約874.6万円まで上昇。10月にはこの1年の最高価格である、約935万円を記録した。
このままいくと平均価格1000万円超えなんてことも起きそうだ。
●買いのクルマの価格は?
R34GT-Rの中古車の価格帯は約600万~約2580万円で、700万~800万円で、修復歴なしが狙える。
■中古車相場:599.8万~2580万円(1999年式~2002年式)
■中古車平均価格:約1年前 約760万円 → 874.6万円
■流通量:★★★★☆(57台)
■トヨタ スープラ(A80/1993年~2002年)

新型が登場したことで、再評価されている先代の80型スープラ。こちらも中古車の平均価格は1年前の約260万円から約312.9万円へと値上がりしている。
特に今年の秋まではそれほど値動きは目立たなかったのだが、9月にドカンと値上がりしたのが特徴となっている。
●買いのクルマの価格は?
流通台数は約56台で、グレードは「SZ」と「RZ」が約18台ずつを占めている。NAの「SZ」は100万円台でも狙えるが、ターボの「RZ」は300万~400万円の予算を考えないと手に入れることができない。
■中古車相場139万~630万円(1993年式~2002年式)
■中古車平均価格:約1年前 約260万円 → 約312.9万円
■流通量:★★★★☆(56台)
■スバル インプレッサWRX STi verIII(1996年~1997年)

1990年代のWRCで輝かしい成績を残したのがGC8型と呼ばれる初代スバルインプレッサWRX STi。
すでに中古車の流通台数は42台と危険水域になっており、なかでも最高出力280psを発生し、初のカタログモデルとなったWRX STi verIIIの中古車はすでに5台しか流通しておらず、絶滅危惧車となっている。
●買いのクルマの価格は?
3カ月前の時点では流通しておらず、現在の平均価格は約109万円。価格帯は約30万~約170万円で、予算150万円以上ならば、修復歴なしのクルマが手に入る。しかしもう迷っている時間はない!
■中古車相場:29.8万~169.8万円(1996年式~1997年式)
■中古車平均価格:約2カ月前 約36万円 → 約109万円
■流通量:★☆☆☆☆(5台)
■日産 シルビア(S15/1999年~2002年)

取り回しのしやすい5ナンバーサイズのスポーツカーとして日本だけでなく世界中で開催されているドリフト競技で現在も大活躍しているのがS15型日産シルビアだ。
中古車の流通台数もまだ249台と豊富で、価格帯は約39万~約438万円と幅広いものの、100万円以下で購入できる割安な中古車も出回っているのは魅力だ。
●買いのクルマの価格は?
S15型シルビアもNA車とターボ車で中古車相場が大きく異なる。中古車の流通台数は圧倒的にターボ車が多く、流通している中古車の約36%を占める「スペックR」で修復歴なしのライトチューン車ならば150万~200万円が買いの価格帯といえる。
いっぽうのNA車で最も多い「スペックS」ならば、100万円以下でも修復歴がなく、年式のわりに良好なコンディションのクルマが見つけやすくなっている。
■中古車相場:39万~438万円(1999年式~2002年式)
■中古車平均価格:約1年前 約132万円 → 約151万円
■流通量:★★★★★(249台)
■ホンダ S2000(1999年~2009年)

1999年にホンダが久しぶりに作ったFR車として話題となったのがホンダS2000。生産終了から約10年が経過したが、中古車価格は上昇している。
1年前の平均価格が約225万円だったのだが、現在は約253.2万円まで値上がりしているのである。しかもこれまで流通していた100万円以下の中古車が市場から姿を消し、現在の価格帯は最低価格が109.8万円、最高価格は753万円と新車時価格を上回っている。
●買いのクルマの価格は?
S2000の中古車は2Lエンジンの前期型と2.2Lエンジンの後期型で相場が大きく変わる。前期型ならば、150万~200万円で修復歴なし、ノーマル車が手に入るが、後期型は250万~300万円が目安となる。
またわずか25台しかない後期型のタイプSになると予算400万円を考えないと手が届かない。
■中古車相場:109.8万~753万円(1999年式~2009年式)
■中古車平均価格:約1年前 約225万円 → 約253.2万円
■流通量 ★★★★★(246台)
■三菱 ランエボIV(1996年~1997年)

1990年代後半、WRCにおいて三菱の黄金期を支えたのが三菱ランサーエボリューション。
歴代最後の5ナンバー車、ランエボIVの中古車だが、現在はこちらも流通台数が9台と絶滅危惧車に。平均価格は3カ月前の約86万円から現在は約80万円へと値落ちしているが、もう良質な中古車が出てこないようだ。
●買いのクルマの価格は?
ランエボIVの価格帯は約69万~約158万円で、コンディションを考えると100万~150万円が目安となる。エボIVからの第2世代は、今が手に入れる最後のチャンスかも。
■中古車相場:69万~158万円(1996年式~1997年式)
■中古車平均価格:約3ヶ月前 約86万円 → 約80万円
■流通量:★☆☆☆☆(9台)
■三菱 FTO(1994年~2000年)

ホンダプレリュードのライバルとして、1994年にデビューした三菱FTO。MT車感覚でシフトチェンジできるATが話題となり、スポーツカーながらMT車よりAT車の比率が多いというのが特徴。
生産終了から約20年経ったFTOの平均中古車価格は1年前の約59万円から最近になって約78.8万円まで上昇している。
●買いのクルマの価格は?
FTOの中古車の価格帯は約29.9万~約140万円で、流通台数はわずか16台。そのうちMT車は7台で、価格は100万円以上が目安だが、AT車ならば100万円以下でもじっくり選べる。
■中古車相場:29.9万~140万円(1994年式~1999年式)
■中古車平均価格:約1年前 約59万円 → 約78.8万円
■流通量:★★☆☆☆(16台)
■マツダ RX-7(FD3S/1991年~2002年)

「FD3S型」と呼ばれたマツダRX-7は1991年にアンフィニRX-7として登場。そして、1997年10月に車名がマツダRX-7へと変更されている。
アンフィニRX-7時代の中古車は約54台で、平均価格は1年前の約165万円から約182万円へと上昇しているが、現在の中古車のメイン層は1997年10月以降のモデル。
流通台数は約140台。平均価格は1年前の約247万円から現在は約292.2万円まで1年で約45万円も値上がりしている。
●買いのクルマの価格は?
現在マツダRX-7の中古車の価格帯は約138万~777.7万円と非常に幅広くなっていて、500万円以上という高価格車も10台以上流通している。
修復歴なしのクルマをじっくりと選べるようになるのは330万円以上は必要となるので、狙い目として予算350万円が目安だ。
■中古車相場:138万~777.7万円(1997年式~2002年式)
■中古車平均価格:約1年前 約247万円 → 約292.2万円
■流通量:★★★★★(140台)
■ホンダ インテグラタイプR(初代/1995年~2001年)

NSXに続く走りを極めた「タイプR」第2弾として、1995年に初代ホンダインテグラタイプRが登場。
現在の流通台数は25台とかなり少なくなっていることもあって、平均価格は1年前の約101万円から最近は約144.6万円まで値上がりしている。
現在の平均価格は2001年に登場した2代目インテグラタイプRの122.9万円を上回る状況になっている。
●買いのクルマの価格は?
初代インテグラタイプRは3ドアハッチバックと4ドアセダンがあるが、3ドアモデルに絞って紹介する。
現在の価格帯は約56.9万~280万円。100万円以下の中古車は走行距離も延びているし、修復歴ありとなる。修復歴なしで、走行距離も10万km程度で絞ると150万~180万円くらいが目安といえる。
ただし流通台数が少なくなっているので、選択肢はかなり少なめだ。
■中古車相場:56.9万~280万円(1995年式~2001年式)
■中古車平均価格:約1年前 約101万円 → 約144.6万円
■流通量:★★☆☆☆(25台)
■まとめ:続く中古価格の高騰! 買うなら今か?
アジア圏でのドリフトブームや北米の「25年ルール」によって、1980年代後半から1990年代の国産スポーツカーの海外での人気が高まり、中古車がどんどん海外に流出している。
中古車は「一物一価」ともいわれていて、同じコンディションのモノはほかに存在しない。したがって、気に入ったモノが見つかった時が買い時なのだ。
ここまで高騰してしまっていても、今が買い時なのかと問われれば、「買い!」と答える。それはこういった中古車相場が下がる時は、もうイイ個体がなくなった時だからだ。まだじっくりと吟味して購入するほうが、後悔することはないはずだ。
気になるのはこの中古車国産スポーツカーブームは終わらないのか? ということ。北米とアジア圏では異なる文化として発展しているので、しばらく沈静化することはない。
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