日産は2020年3月期の連結決算で6712億円の最終赤字に陥り、この理由のひとつにも新型車の欠乏による販売低下が挙げられた。
そこで日産は、18カ月間に新型車を12車種発売する方針を発表した。日本国内では、すでに発表されているキックスとアリア、今後はノート、エクストレイル、フェアレディZなどが登場する。
そのいっぽうで、日産には発売から長期間を経過した車種も多い。前述のフルモデルチェンジ予定車種を除くと、マーチ(2010年発売)、エルグランド(2010年)、GT-R(2007年)、フーガ(2010年)、シーマ(2012年)がある。
キューブとティアナは販売を終えた。ここではマーチとエルグランドを取り上げ、今後どうなるのか、日産はどうすべきなのかを考察する。
文:渡辺陽一郎/写真:NISSAN、TOYOTA、HONDA、ベストカー編集部
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新車が少なく必然的に販売台数が大幅減
2018年11月に、カルロスゴーン元日産会長が逮捕される前と後で、日産の国内市場に対する見方は大きく変わった。
カルロスゴーン元会長が在任していた時は、2011年以降、国内で発売される日産の新型車が大幅に減った。リーマンショックの影響で商品開発が滞り、新型車は1~2年に1車種しか発売されなかった(マイナーチェンジやグレード追加を除く)。
特に2018年は、日産から新型車が1車種も発売されていない。
当時この理由を日産の商品企画担当者に尋ねると、以下のような返答であった。
「今の日産は、世界の市場を公平に見る。新型車の投入は、市場の規模や将来性に応じて偏りなく行われ、日本も特別扱いはされない」
要は日本が規模の小さな先細りの市場だから、新型車の投入にも消極的という意味だ。
その結果、国内販売は急落した。過去の売れ行きを振り返ると、日産は2005年に日本国内で86万6157台を販売したが(当時のOEM軽自動車などを含む)、2019年は56万7617台だ。日産の国内販売台数は14年間で66%まで下がった。
これに伴いメーカー別の国内販売ランキング順位も低下している。2007年頃まではトヨタに次ぐ2位だったが、今はホンダ、スズキ、ダイハツに抜かれて5位だ。商品力が低下すると、売れ行きも販売ランキング順位も下がる。
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