パンク修理キットは万能ではない!! スペアタイヤのメリットとデメリット

ランフラットタイヤが登場するも普及せず

 なお2000年代初めからはパンクしてもタイヤ側面でクルマを支えることで、80kmの距離を80km/hのスピードで走行できるという規格で開発されたランフラットタイヤが登場した。

 ランフラットタイヤは日産GT-Rのような300km/hでの巡航が想定されるクルマでは、パンクの際に加え超高速域での真円性(いかにタイヤが丸く回るか)の確保のため必要なものだ。

 しかしその反面、タイヤ側面の補強や重量増による乗り心地の悪化に代表される性能低下やコスト高というデメリットが、以前に比べればだいぶ克服されているにせよ否めず、今のところランフラットタイヤは普及していない。

パンクしても走れる夢のようなランフラットタイヤは、BMWが積極的に純正装着を推進しているほかは、装着車種は限定され普及が進んでいない
パンクしても走れる夢のようなランフラットタイヤは、BMWが積極的に純正装着を推進しているほかは、装着車種は限定され普及が進んでいない

パンク修理キットのデメリット

 パンク修理キットはスペアタイヤと同様の最高速80km/hで、使用後は早急の本対応が必要となるものだが、実際にパンクした時を想定するとデメリットも少なくない。具体的に3つ挙げておく。

(1)使用できるケースが限定される
 パンク修理キットで対応できないパンクの範囲としてはホイールの損傷、タイヤの側面を破損した場合、トレッド面に4mm以上の穴が空いた場合などがある。

 そのためパンクの種類として意外にある小さな凹凸のある縁石にタイヤの側面を擦ってしまった、岩で側面を損傷したといったケースはパンク修理キットではお手上げで、その場の対応だけでも途方に暮れてしまうだろう。

 それがスペアタイヤなら交換すればとりあえず走行できるので、このメリットは大きい。

これはパンク修理キットが使用できないケース。仮にトレッド面に刺さっていた場合でも、穴の大きさが4mm以下かという判断は難しい
これはパンク修理キットが使用できないケース。仮にトレッド面に刺さっていた場合でも、穴の大きさが4mm以下かという判断は難しい

(2)使用するとそのあと手間とお金がかかる
 スペアタイヤもパンク修理キットと同様にあくまでも応急処置で、早急に本対応が必要なのは同じだ。

 スペアタイヤを使った場合にはパンクによる損傷度合いが小さく、走行するスピード域が比較的低いクルマであれば、タイヤ交換ではなく安価なパンク修理という対応も考えられる。

 しかしパンク修理キットを使った場合は、パンクした際部分に修理剤を流し込んでいるので、本対応としてタイヤ交換するしかない。

 さらにパンク修理キットを使うと、パンク修理剤で汚れたホイールを洗う手間というのもかなりの労力(≒費用)だ。

パンク修理キットは付属の液体をタイヤのバルブから注入。この液体が充填されることで走行できるようになるが、基本タイヤ交換が必須になり、洗浄も面倒
パンク修理キットは付属の液体をタイヤのバルブから注入。この液体が充填されることで走行できるようになるが、基本タイヤ交換が必須になり、洗浄も面倒

(3)定期的な交換が必要
 スペアタイヤもイザというときに空気が抜けていると使えないので定期的な空気圧の確認が必要だが、クルマを一度買えばスペアタイヤを買い換えるということは滅多にないだろう。

 しかしパンク修理キットはクルマや商品によっても異なるが、おおよそ2年から6年という使用期限があり、定期的な交換と費用が必要だ。

パンク修理キットは液体(写真左)と電動のエアコンプレッサー(写真右)がセットになっているが、液体は2~6年で交換が必要になる
パンク修理キットは液体(写真左)と電動のエアコンプレッサー(写真右)がセットになっているが、液体は2~6年で交換が必要になる

 といった具合にパンクの際にパンク修理キットを使用するにあたり、不安や手間は捨てきれない。

 その点、スペアタイヤはこれらの手間がなくある意味手軽に交換することができる。

 スペアタイヤには前述したデメリットがあるが、パンク修理キットのデメリットからもだいぶ解放されることが、スペアタイヤの捨てがたいメリットとなる。

スペアタイヤは収納スペースはとるが、手軽に装着できるのが最大のメリット。路肩で交換する場合は、三角表示板を出すことをお忘れなく
スペアタイヤは収納スペースはとるが、手軽に装着できるのが最大のメリット。路肩で交換する場合は、三角表示板を出すことをお忘れなく

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