2020年8月20日に事前予約が開始され、10月15日発表となる新型レヴォーグ。走行性能や快適性で長足の進化が見られることは確実だが、そのなかでも目玉といえるのが「新世代アイサイト」だ。
かつて国産車のなかで、いや世界を見渡しても世界トップレベルだったスバルの「アイサイト」。
しかしライバルの猛追により、現時点ではトップクラスとは言えなくなってしまった。ではいま「世界」の中でアイサイトの実力はどの程度なのか?
そしてレヴォーグに搭載される「新世代アイサイト」はどれくらい進歩していて、そして世界トップクラスに返り咲くことができているのか?
安全技術に造詣が深く、新世代アイサイトにも試乗済みの国沢光宏氏に分析していただいた。
文:国沢光宏
写真:スバル、日産、動画:トヨタ、撮影:池ノ平昌信
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かつては「代名詞」だったが、日産、トヨタの猛追を受け
日本で初めて先行車や歩行者に対する自動ブレーキシステムを市販したスバルだったが、2014年6月にモノクロからカラーカメラへ変更した『Ver.3』を出して以後、大きく進化していなかった。
その間、日産はモービルアイの技術を導入。トヨタも自社技術により圧倒的に優れた自動ブレーキを開発することで、素晴らしい性能を実現している。加えて自動ブレーキの試験内容も多岐に渡るようになっている。
当初「停車中の車両にノーブレーキで接近。ブレーキ操作をしないで止まる」という追突防止のみ基準としていたものの、今では「停車している車両の陰から歩いて出てくる歩行者」や「ヘッドライトだけの明かりで歩行者を検出する」といった事故例から決められた基準もある。
もう一つは「運転補助」。当初「アクセルやブレーキを踏まなくても先行車を追随する」という機能だけだったが、直近になって「限られた条件ならハンドルから手を離しても車線をキープして走る」になってきた。
この点でもアイサイトVer.3は当時こそライバルに先行したものの、今や完全に先頭争いに加われなくなっている。
日産が広範囲なハンズフリーを可能に
ちなみに現時点での先頭はスカイラインに搭載されている『プロパイロット2』。
モービルアイ開発による世界最先端のトリカム(3つの視野を持つカメラを持つ)と、5個のレーダーを組み合わせており、ドライバー監視カメラで居眠りやよそ見をチェックするバックアップシステムを使うことで広範なハンズフリーを可能にしてます。
こう書くとハンズフリーを売りにしているテスラはどうか、と思うだろう。テスラの場合、フェイルセーフ(誤作動や誤操作の際になるべく安全な状態に移行するような仕組み)の概念がなく、ドライバーの居眠り運転&よそ見運転についちゃスルー。
今までの激突事故は、そういった状況で起きている。また、車両の陰から出てくる子供を検知して止まれる速度は、欧州N-CAPの試験で30km/hまで。話が散らかった。
まとめると、現時点で最も自動ブレーキのセンサーや演算速度が必要な試験モードは、前述の「車両の陰から出てきた子供のダミーに対し何km/hで止まれるか」だと思う(最高性能を出したカローラの動画を御覧下さい)。
日本は40km/hまでしか試験していないが、欧州N-CAPは60km/hまで実施しているので興味深い。
世界トップクラスはトヨタのシステムで、カローラやレクサスUXなど60km/hから停止出来ている。続いてBMWのトリカムを使ったシステムの50km/h。
アイサイトVer.3を使うフォレスターが40km/h。メルセデスの新世代車EQCはフォレスターと同じ。アウディやVW、ホンダなど30km/h以下。同じ自動ブレーキでも大きな性能差がある。
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