2021年7月、日本各地で大雨が降り続けた影響により、河川の水位が上がり道路の冠水、土砂崩れなどの被害が起きている。
こうした状況のなかで、道路に立ち往生したクルマが浸水してしまったというケースも少なくない。
クルマに起こりえる水害といえば、道路上での浸水、川への転落、駐車場に停めていたら浸水してしまったなどが挙げられる。避けられるなら避けたいものだが、万が一自分の身にも起きてしまったらどうすればいいか?
今回は、そんなクルマの水害対策について、専門家へのインタビューやQ&Aを通して復習していこう。
■トピック
●日頃から意識しておきたい水没の危険があるケース
●運転中、冠水しそう/冠水している/冠水した時、命を守るためのQ&A
– クルマにおける「冠水」の基準とは?
– 冠水したところに入るとエンジンは止まってしまう?
– 冠水した道は徐行で進めば問題ない?
– 冠水してエンジンが止まった! 再始動しても大丈夫?
– ドア(ヒンジやスライドドア)などは開けられる?
– 窓は開けるべきか閉めるべき? パワーウィンドウは作動できる?
– 閉じ込められたら、どうやって車外に脱出する?
– もし転落した場合、水没するのにどれくらい時間がかかる?
– もしもの時、110番か119番か……どこに連絡すればいい?
●愛車が水害に……水没後に直せるのか?
●【番外コラム】万が一、クルマが水害に遭ったら保険は降りるの?
※本稿は2021年7月のものです
文/ベストカー編集部 写真/JAF(メイン写真含む)、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2021年8月26日号
【画像ギャラリー】愛車のためにも覚えて備えるべし! 水害から愛車を守るAtoZをチェック!
■日頃から意識しておきたい水没の危険があるケース
まず、もし大雨が降った時、クルマで近づいてはいけない場所とはどこか? 水害から避けるためにも、どういう特徴を持つ場所が危険なのか。国土交通省・国土技術政策総合研究所・水害研究室 板垣修室長に話を伺った。
ベストカー:クルマと水害についてですが、なぜ浸水するのか、そのメカニズムと、水没の危険がある場所を教えてください。
板垣:浸水のメカニズムですが、3つの要点がございます。1つ目は上流からの流水量の多さ。雨が山頂から降ってきた時に下流へ流れますが、この水量がどれだけあるか。2つ目は、どれくらい雨が降っているか? 実際に頭上から落ちてくる雨の量がどれくらいか。最後の3つ目は下流側の排水のしやすさ。流れてくる水に対しどのくらい排水できるかということです。
この3つを見ていくと、自ずと危険な場所がわかってきます。例えばアンダーパスは、先ほどの要点のうち2つ目と3つ目が当てはまりますから、そういったところはいざという時、危険だということがわかります。
続いて水害の危険がある場所ですが、当然、川沿いは危険だと言えます。増水により水位が高くなるので大雨の時は川の近くへは行かないほうがいいです。
次に危険なのが、くぼ地と呼ばれる地形。これはわかりにくいのですが、仮に川から離れた場所であったとしても、くぼ地ですと水害のリスクが高まります。
くぼ地かどうかは、Webでも公開されている地域ごとのハザードマップを、普段から確認しておくとよいでしょう。
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