先日の新型フォレスターの登場は、一部のスバリスト(スバルの!熱狂的なファン)の間では落胆の声が広がりました。ターボとMTが廃止されたからです。それだけでなく、「スバルは変わっちまった」、「最近のスバル車はマニアックさが薄れて普通になった」などという声も聞かれます。
思い起こせば、WRCからワークス参戦休止、軽自動車生産終了、レガシィツーリングワゴン廃止、アイサイト大ヒットなどなど、風雲急の如く、劇的なことがいろいろありました……。
いったい生粋のスバリストたちは、スバルに対し、何を望み、どんな夢を見ているのでしょうか? スバルブルーの青い血が流れているという(?)生粋のスバリスト、自動車ライターのマリオ高野さんに、ありったけの思いをぶつけてもらいました。
文/マリオ高野
写真/ベストカーweb編集部
■なぜスバルだけがMTを廃止にしていくのですか?
第一に挙げたいのは、なんといっても「MTを増やしてほしい!」ということに尽きます。マツダがDセグセダンのアテンザやSUVのCX-3にもMTを用意し続けるなど、MTのラインアップ維持に力を入れたり、トヨタがカローラスポーツにiMTを設定したり、ホンダがタイプRではない国内シビックにMTを復活させたなど、スバル以外の国産車メーカーは意外とMTを大事にする姿勢を見せているだけに寂しく、残念に思えてなりません。
スバル車からMTの設定がなくなっていく理由はアイサイトとの協調が限界だからという理由もあるでしょうが、ほんとのところは、設定しても売れなかったからに他ならず、今のユーザーはいうほどMTを買わないとの現実をしっかり見越してのことと推察します。
なんせ、ワタシの所有する先代インプレッサG4のMTは、2014年当時の月販台数は10台ほどで、国内のフェラーリの月間登録台数よりも少ないと知って愕然としました。
たしかに国内市場の新車販売比率を見ると、MT比率は全体の2.6%(2017年)という瀕死の状態です。スバルはそれよりも少し高い4.6%。先代フォレスターは2017年に年間で1万8886台売れましたが、そのうちMTは1グレードで875台で4.5%でした。
とはいえ、先代インプレッサと先代フォレスターのMTが売れなかったのは、装備やスペックが低い廉価グレードにしか設定がなかったことも大きな要因でした。ワタシの場合は、装備がスカスカに少ない低スペックの最廉価グレードにこそメーカーの実力や良心が見られると思っているので、見た目や装備がショボイ最廉価グレードでもむしろ喜んで買いますが、一般的には商品として魅力に乏しい仕様でした。
■レヴォーグにMTを設定してほしい!
もう少し上級、またはスポーティなグレードにMTがあれば、おそらくもう少しは売れたでしょう。それでも絶対的には少なかったかもしれませんが、MTが売れなくなったのは、そういうグレード展開の内容にも大きな問題がありました。
売れなくなった仕様をやめることは、当然至極といえるわけですが、自動車メーカーは夢を売るような部分も求められるので、そこは少し踏ん張ってほしいところです。
例えば、BMWジャパンは長年にわたって3シリーズのセダンにMTを設定し続けています。おそらく効率や採算面からすればやめたくなるほどの台数しか出ていないでしょう。
しかし、それでもなおMTを設定し続けることで「さすがBMW! ベンツやアウディとはココが違う!」などとクルマ好きから褒め称えられ、スポーツイメージやブランド力を維持向上させる要因のひとつになっています。
マツダを見てください。MT比率は全体の7.4%とスバルよりも高いじゃないですか。MT比率の内訳を車種ごとに見るとアテンザは6%、アクセラは6%、CX-3は3% 、デミオ3% 、ロードスター(ソフトトップ)77% 、ロードスターRFは46%となっています。
MTはもはやプレミアムな装備として値段が多少高くなってもかまわないし、受注生産や限定生産でもいいので、昔ながらのクルマ好きに夢を与えるために、MTの設定を増やしてほしいと願ってやみません。
具体的に、今もっともMTが待望されているのはレヴォーグです。出してみたところで結局MTはあまり売れないのかもしれず、メーカーとしては損をしてしまうのかもしれませんが、少なくともイメージアップすることは確実。長い目でみれば将来の拡販につながると思えます。
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