■プリウスの自滅が原因かも
プリウスは2015年12月の発売だから設計が新しく、トヨタセーフティセンスPは発売時点から標準装着されて歩行者も検知できた。JC08モード燃費は売れ筋グレードが37.2km/Lに達する。ノートe-POWERは大半が34km/Lだから、プリウスはボディが大きいのに燃費数値で上まわった。
さらにプリウスは現行型でプラットフォームを刷新したから、走行安定性と乗り心地のバランスも良い。ノートe-POWERは1.2Lのノーマルエンジン搭載車に比べてボディが170kgほど重く、走行安定性では無理が生じている印象だが、プリウスなら違和感はない。
このように商品力が高いのに、プリウスの売れゆきが伸び悩んだ理由として内外装のデザインがあった。ヘッドランプの細いフロントマスク、テールランプを縦に配置したリアビュー、白黒のコントラストが強いインパネなどが不評だった。プリウスの客層がノートe-POWERに流れた、という見方もできるだろう。
そしてプリウスの人気低迷が目立ってきた2016年12月に、ハイブリッドシステムやプラットフォームを共通化したC-HRが発売されて好調に売れたから、ますます顧客を一層奪われた。
だが、2018年12月7日にプリウスがマイナーチェンジして巻き返すことが予想されるため、ノートは安穏とはしていられないだろう。
■セレナがミニバン販売ナンバー1になった理由
次はセレナについて見てみたい。発売は2016年8月だから、2014年1月発売のヴォクシー/ノア/エスクァイアに比べると設計が新しい。しかも2018年2月にe-POWERを加えたから、売れゆきに一層の弾みが付いた。
セレナの特徴に優れた居住性も挙げられる。標準ボディが5ナンバーサイズに収まるミドルミニバンでは、セレナは車内が最も広くて快適だ。
特に3列目に余裕があって大人の多人数乗車にも適する。シートアレンジも豊富だ。緊急自動ブレーキもセレナはヴォクシー3姉妹車よりも先進的で、最初から歩行者検知を可能にした。運転支援技術のプロパイロットを「自動運転」と宣伝したことでも注目を浴びた。
ただし、セレナのプラットフォームは従来型と共通で、床はヴォクシー3姉妹車に比べると約70mm高い。セレナは乗降性が劣って高重心だ。そのために操舵感が曖昧で、プロパイロット作動時には、直線路でも制御を受けるハンドルが左右に振られやすい。
■e-POWER効果がいつまで続くのか?
また2018年上半期の車名別登録台数ランキングで、セレナは5万6095台を登録してミニバンの1位になったが、ヴォクシー/ノア/エスクァイアの3車種を合計すると9万8465台だからセレナの登録台数を大幅に上まわる。そればかりか登録車で1位になるノートの7万3380台も超えていた。
あくまでも車名別だからノートやセレナが1位に違いはないが、トヨタ車では基本部分を共通化した姉妹車の台数を合計すると、販売ボリュームが大幅に伸びることがある。
以上のようにノートはe-POWERの効果と、アクアの設計が古くなったり、プリウスのデザインが不振なことを追い風に売れゆきを伸ばした。セレナもヴォクシー3姉妹車に比べて設計が新しく、安全装備も先進的で、e-POWERを加えたことにより人気を得た。
コメント
コメントの使い方