2022年10月1日から道路交通法が改正され、5台以上の自動車を保有する事業者はアルコール検知器による運転者の酒気帯びのチェックが義務化される。あなたの会社の準備は大丈夫だろうか??
※本稿は2022年9月のものです
文/ベストカー編集部、写真/Adobestock、ベストカー編集部 ほか(メイン写真=LIGHTFIELD STUDIOS@Adobestock)
初出:『ベストカー』2022年10月10日号
■全国約34万の事業者、約782万人のドライバーが対象
2022年10月1日から道路交通法が改正され、自動車を一定以上保有する事業者に対して、アルコール検知器を使用して運転者の酒気帯びの有無の確認が義務化される。
すでに同年4月1日から目視による酒気帯びの有無の確認が必要になっていたが、10月からはアルコール検知器によって、数値で酒気帯びの有無を確認することが求められることになる。
事業者というとわかりにくいが、企業や団体ということだ。
最新の届け出によれば全国約34万の事業者と、その管理下にある約782万人のドライバーが対象になるという。
いわゆる「緑ナンバー車両」を持つ大手のバス会社や運送会社では、2011年5月からアルコール検知器による酒気帯びチェックが義務化されていたが、今回の改正は「白ナンバー車両」を持つ中小の事業者にもアルコールチェックの義務化を求めるものだ。
具体的には「安全運転管理者選任事業所」と呼ばれる
・乗車定員が11名以上の自動車(いわゆるバス)を1台以上保有する事業所
・乗車定員に関係なく、5台以上の自動車を保有する事業者(バイクも対象で0.5台で換算される)
のいずれかに当てはまる事業者が対象だ。
5台以上の社有車を持っている事業所なので、読者の皆さんが勤める会社も当てはまるのではないだろうか?
なぜ、今回のアルコール検知器による酒気帯びのチェックが義務化されたのかといえば、2021年6月千葉県八街市で発生した白ナンバーのトラックによる5人の児童死傷事故がある。
トラックの運転手からはアルコールが検知され、大きな社会問題になった。あのような痛ましい事故の根絶を目指しての改正だ。
白ナンバーについて説明しておくと、白ナンバーは自社で取り扱う商品を運ぶことは問題ないが、他社の商品を運ぶことや送迎などで運用し、運送料が発生する行為は違法となる。ちなみに、そのような違反行為をする車両を“白ナンバー”と言ったりもする。
では誰が運転手の酒気帯びのチェックをするのか? といえば「安全運転管理者」だ。先に挙げた
・定員が11名以上の自動車(いわゆるバス)を1台以上保有する事業所
・乗車定員に関係なく、5台以上の自動車を保有する事業者(バイクも対象で0.5台で換算される)
には「安全運転管理者」の設置が義務付けられており、その条件は
・年齢20歳以上
・運転管理実務経験2年以上(公安委員会の行う教習修了者は1年以上)
・公安委員会が認定した者
と決まっている。
安全運転管理者は毎年1回の講習が必要と決められている。
なお、社有車を20台以上所有していると、安全運転管理者のほかに「副安全運転管理者」が必要になり、40台までが1人、60台までが2人というように20台ごとに1人の副安全運転管理者が必要になる。
安全運転管理者、副安全運転管理者ともに過去2年以内にひき逃げや酒気帯び運転などの重大な違反行為を行っていないことも条件となる。
選任は企業ごとではなく、事業所単位(支店や営業所ごと)となり、兼務はできない。事業所ごとに安全運転の厳重な管理が求められているのだ。
さらに安全運転管理者の選任を怠ると5万円以下の罰金の対象となるほか、アルコール検知器によるチェックを怠り、酒気帯び運転を許してしまった場合は運転者だけでなく、安全運転管理者にも3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる場合がある。
また、酒気帯び運転だけでなく、無免許運転や速度違反、過労運転などが命令または、容認されていると判断された時も運転者と同様に処分される。それほど安全運転管理者の責任は大きいのだ。
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