必見!【AE86、三菱GTOを維持するための処方箋】

 昭和から平成、そして新元号に変わろうとしている今、新元号になって乗り継いでほしい名車達がある。そうした名車をピックアップし、オーナーから直接聞いた名車の魅力や楽しさをインタビュー。

 さらに専門店や整備工場から乗り続けていくためのメンテナンスのノウハウを聞くとともに、入手困難なパーツはあるのか? これから購入する人のための対策など、名車を維持するための処方箋を紹介するのが本企画。

 第2回目となる今回は、ハチロクことAE86・カローラレビン&スプリンタートレノと、三菱GTO(Z15A、Z16A)の2車種を取り上げる。

文・写真/松村 透(クルマ業界に精通するディレクター兼ライター)
初出/ベストカー2018年12月26日号


■愛され続けるAE86レビン&トレノ、三菱GTO

AE86・カローラレビン/スプリンタートレノ

1983~1987年。ハチロクと呼ばれ、2ドアノッチバックと3ドアハッチバックの2種類。直4エンジン「4A-GE」は排気量1587㏄、130ps/15.2kgmを発生。全長×全幅×全高:レビン4200/トレノ4205×1625×1335㎜。駆動方式はFR

三菱GTO(Z15A / Z16A)

1990~2001年。1989年東京モーターショーで三菱・HSXとして参考出品され、翌年GTOとして誕生。V6ツインターボ、排気量2972㏄、280ps/42.5㎏mを発生。全長×全幅×全高:4555×1840×1285㎜。駆動方式は4WD

 通称「ハチロク」の名で親しまれているAE86型カローラレビン&スプリンタートレノのデビューは1983年。歴代モデルのなかでは4代目にあたり、2ドアノッチバックと3ドアハッチバックのボディタイプが用意された。

 デビュー当時はレビンのほうが注目されたが、漫画「頭文字D」の主人公・藤原拓海の愛車にトレノが採用されたことで人気は二分。また、レビン&トレノとしては最後のFRであり、生産終了からすでに30年以上が経過しているにもかかわらず、時代や世代を超えて愛される希有な存在だ。

 一方、GTOは、1989年開催の第28回東京モーターショーに「三菱・HSX」として参考出品され、1年後の1990年に「GTO」の名を冠して発売。最高出力280ps+4WDというパッケージ、フェラーリのようなスーパーカーを連想させるスタイリングに魅了されたファンは多い。

 特徴的なリトラクタブルヘッドライトを装備するのは初期モデルのみ。1993年からは固定式のヘッドライトとなり、2001年まで生産された。6速MTや50タイヤ、APロッキード製のブレーキ(オプション)をいち早く採用したのもGTOだったのだ。

 今回、AE86とGTO、成り立ちもファン層もまったく異なる2台のオーナーと、それを支えるプロフェッショナルを取材。名車を乗り継いでいくノウハウと楽しさ、そこで見えたこととは?

■AE86オーナーに聞く、その魅力と苦労とは?

尾形 隼さん(27歳)/「土屋圭市さんのAE86がすべてのはじまりです」所有車:1986年式スプリンタートレノ GT-V、購入時期:2010年、所有年数:9年、走行距離:約29.7万㎞、年間走行距離:5000㎞、2018年の自動車税:4万5400円、購入価格:約120万円

「ベストモータリングで土屋圭市さんのAE86を見て以来、いつか自分でも所有してみたいと思ったのが、すべてのはじまりでした」

 と語る尾形さんは現在27歳。愛車のAE86は手に入れて9年というから、10代で自身の夢を叶えたことになる。

「何年所有していても飽きません。クルマに乗らなくても、何となく眺めたり、エンジンルームを開けています(笑)。現在の満足度は90%。100%でないのは、最近は乗る頻度が減っているからです」

 尾形さんのAE86は一見するとシンプルだが、実は5バルブ&通称「5A-G」エンジン+クロスミッションが搭載されている。街中を走ると、おじさんたちが脊髄反射してしまうほどの快音を奏でる。

「税金やオイル代、ガソリン代などを含めた年間の維持費は15万円くらい。古いクルマなので廃番になった純正部品もありますが、それ以外はどうにかなっている状況です」

 では、尾形さんが知るかぎり純正部品欠品のものとは?

「外装パネル、ウィンドウモール関係、ドアミラー、フロントバンパーなどです。メーカーには、特にクォーターのインナーパネルなどの再生産を強く望みます」

 最後にAE86をこれから手に入れたい方へ、メッセージを聞いてみた。

「きちんとメンテナンスしていれば維持できます。社外パーツもいろいろ販売されていますし、AE86が好きならぜひ乗ってください」

 次世代を担うAE86オーナーのひとりとして、尾形さんから発せられる言葉には深い愛情が込められている。

珠玉の5バルブ&通称「5A-G」エンジン+クロスミッションを搭載。快音を奏でる

中野修秀さん(23歳)/「親子で人生初の愛車がAE86なんです」所有車:1986年式スプリンタートレノ GT-APEX、購入時期:2014年、所有年数:4年、走行距離:約10万㎞、年間走行距離:1.5万㎞、2018年の自動車税:4万5400円、購入価格:50万円

 このAE86が最初の愛車だという中野さん。手に入れるまでの経緯とは?

「人生初の愛車を探している時、知り合いの板金屋さんに入庫したのがこの個体。父親の初の愛車もAE86(前期レビンGT)で、ボディカラーまで同じなんです(笑)」

 中野さんのお父さんも、感慨深いものがあっただろう。維持費については……。

「年間の維持費は約20万円。重整備を行うと費用がかさみます。ディーラーのメカニックという職業柄、供給されている純正部品に関しては入手できますが、廃番だととても大変です」

 欠品している純正部品は?

「フロントバンパー、テールレンズ、リトラモーターなど。純正部品の再販をお願いしたいです。旧車を所有しているみんなの願いです!」

 中野さんにとって、AE86の魅力とは?

「リトラクタブルヘッドライトであること、運転がとても楽しいことです。AE86が好きなあまり、出かける時、乗る時、降りた時の挨拶を欠かしません」

 それは律儀ですね(笑)。最後にAE86を欲しい方へひと言。

「車体や部品の相場がかなり上がっているので維持にも覚悟が必要かもしれません」

 ディーラーのメカニックならではのメッセージだ。将来、中野さんが父親となり、授かった子どもが大人になったら……。最初の愛車はAE86であってほしい。

■PART1/プロが教える、このクルマの実情、AE86編

取材協力/有限会社チューブガレージ http://www.tubegarage.co

 AE86の実情について、その道のプロの見解はどうなのか? 愛知県のAE86専門店「チューブガレージ」の川口氏に取材を行った。生産終了から30年以上が経過したクルマだけに、タマ数や程度のよい個体を手に入れられるかが気になるが……。

「程度のよいAE86は、ほぼなくなりつつあります。国内だけでなく海外からも需要がありますからね。現時点で、アメリカ、ドバイ、中国、イギリス、オーストラリア、アイルランド、インドへ輸出されています」

 R32GT-Rなど、海外へ流出していった個体は少なくない。AE86も例外ではないようだ。そんななか、現オーナーはもちろん未来のオーナーが心がけたいことは?

「屋根の下や屋内保管を推奨します。青空駐車の場合、ボディカバーをかけ、雨や紫外線からボディを保護してあげてください」

 多くの人が気になる純正部品の供給状況については?

「機関系に関しては販売されていますが、外装系の廃番が増えつつあります。AE86は新車当時からレビンが人気だったので、まずレビン系の外装パーツの廃番が多くなりました。

 その後、『頭文字D』の人気に火がついてからはトレノの外装パーツも廃盤が多くなりましたね。メーカー製作の型を修理しても思うような製品ができず、廃番に踏み切るケースもあるようです。

 それでも『生涯、AE86を所有したい』というオーナー様が多数いらっしゃいます。メーカーさんには、特にブレーキマスターシリンダー、ファンカップリング、クォーターガラスモールディング、フューエルセンサーゲージデジタル用などの再生産を希望したいです」

 これから、AE86を購入したいという方へアドバイスを。

「まずはご相談ください。週末になると多数のAE86オーナー様がご来店されます。当店はもちろん、ほかのオーナー様もきっと親身になってくれると思いますよ!」

 AE86というクルマに魅力を感じ、心底惚れ込んでいるからこそ伝えられる言葉がある。お店に行くと何らかのヒントが得られるはずだ。

世代を超えて愛されているAE86。一生モノと言いきるオーナーも多い

状態のいい室内。雨や紫外線から保護することで、内外装のコンディションを維持できる

■まとめ/AE86・レビン/トレノの今後と購入対策は?

 現役当時にAE86を手に入れた世代から、その子どもたちへ。2世代にわたって受け継がれる希有な存在といえる。オーナーとショップが一丸となってAE86を延命させるべく、日々奮闘している現実が浮きぼりとなった。

 レビン&トレノいずれも、外装パーツ全般が欠品状態にあるようだ。海外への流出も進んでおり、この傾向は今後も加速していく可能性が高いこともわかった。

 次の世代へAE86を引き継ぐために、純正部品の再生産などの延命策を強く望みたいところだ。

※スプリンタートレノの中古車はこちら!

※カローラレビンの中古車はこちら!

■三菱GTOオーナーに聞く、その魅力と苦労とは?

安藤一弘さん(55歳)/新車で購入。28年間、48.4万㎞を走破。所有車:1991年式GTOツインターボ、購入時期:1991年、所有年数:約28年、走行距離:約48.4万㎞、年間走行距離:2万~2.4万㎞、2018年の自動車税:5万8600円、購入価格:約400万円

外観をヨーロッパ仕様に仕立てたという安藤さんのGTO。2度のメーター交換を経ており、実は48万㎞をオーバーしているという

 新車購入のGTOを現在も所有する安藤さん。愛車に対する情熱は半端ではない。

「1989年の東京モーターショー会場に三菱・HSX(後のGTO)が展示されていて、『発売されたら絶対に買うぞ』と決意したことを覚えています。その後、1991年に買って28年間乗っています」

 通勤の足がGTOという安藤さん。オドメーターの距離計を見ると……。

「過去に2度メーターを交換しているので実走行とは異なりますが、これまで約48.4万㎞走破しました。いくら乗っても飽きないんです。年に数回、青森県尻屋崎まで片道800㎞の日帰り旅をしていますよ」

 気になるその愛車への維持費についてだが……。

「年間の維持費は約70万~80万円です。予防整備を行うと100万円単位になることも。現在、エンジンは2基目、マフラーとクラッチは4セット目です」

 凄い! さらに純正部品の確保についても気になる。

「主治医はディーラーです。欠品しているのは、ウェザーストリップ、エンジンマウント、トランスミッションほか、多数です。ないものは後期型の部品などで対応しています。三菱さん、1日でも長く乗れるように部品の供給を続けてください! これから手に入れるとしたら覚悟が必要です」

 安藤さんがこれほどの時間と手間をかけるほど溺愛するGTOの魅力とは?

「すべてです。所有できることだけで満たされます」

 まさに一生モノ。安藤さんにとって、GTOは人生をともにできるクルマなのだ。

理事長さん(69歳)/新車で購入。25年、25.8万km走破。所有車:1993年式GTOツインターボ、購入時期:1993年、所有年数:25年、走行距離:約25.8万㎞、年間走行距離:約1万㎞、2018年の自動車税:5万8600円、購入価格:約450万円

 理事長さんも、新車で手に入れたGTOを現在も所有している。手に入れたきっかけは?

「当時40代でしたが、スポーツカーに乗りたいという思いがあり、その理想を叶えた存在がGTOだったんです。手に入れるまでの2年間、カタログを眺める日々でした」

 恋い焦がれたGTOを手に入れたときの記憶は?

「まさに喜びをかみしめました。購入当初は、トイレや食事以外、ほとんど一緒に過ごしました。25年経った今でも目がハートになっている自分がいます(笑)」

 なるほど(笑)。気になるのは維持費、純正部品の確保だ。

「通年でかかるのは約31万円(税金、ガソリン代、高速代、油脂類)です。今年は車検でしたが、こちらは約33万円(燃料ポンプ、タンク、ハブベアリング交換)でした。現在、欠品しているのはエアコンコントローラーや内装関連の部品など。絶版車に対する救済、三菱さんにもお願いしたいです」

 GTOの魅力とは?

「スポーツカーらしいスタイリング、日常からの解放と至福の時を体現させてくれる必須アイテムです」

 これからGTO購入を考えている方にメッセージを。

「経年劣化を考えると、すぐに購入価格を超えるメンテナンス費用がかかると思います。趣味性の強いクルマであることを理解したうえで判断してください」

 安易に購入を薦めない理事長さん。1台でも多くのGTOが延命することを心から望んでの行為なのだ。

■PART1/プロが教える、このクルマの実情、三菱GTO編

取材協力/関東三菱自動車販売株式会社 川越南店

GTOはきちんとメンテナンスすれば丈夫なクルマという。が、経年劣化は避けられない

内装関連の部品は軒並み欠品のようだ。ネットオークションでは争奪戦になることも……

 GTOというクルマの実情について、プロの見解はどうなのか? 右ページで登場の安藤さんが所有するGTOの主治医である、関東三菱自動車販売 川越南店の佐野氏と矢部氏にお話を伺った。

 現在、ディーラーに入庫するGTOの数はどれくらいなのだろうか?

「年々、入庫数が減りつつあります。現在、安藤さんを含め、当店でメンテナンスしているGTOは3台。前期モデルは安藤さんだけです。ご入庫いただいているお客様はGTOのことを本当に大切に想ってくださる方々です」

 生産終了から20年近く経過するモデルだけに、純正部品の欠品が気になるところだ。

「例えばクランクシャフトプーリーなど、後期モデルであれば在庫しているものもあります。前期モデルだと、ヘッドライト、リトラモーター左右、室内トリムなどが欠品です。一部の部品はまだ入手可能ですが、いずれは欠品になる可能性があります。入手するか迷っている部品がありましたら、お問い合わせいただければお調べいたします」

 現GTOオーナーやこれから購入を検討している人が気をつけることは?

「電気系統、足回り、すべての油脂類、オイル漏れ、錆の有無、各部の動作確認、プラグ、タイミングベルトの状態も気にかけてあげてください。GTOは丈夫なクルマですが、通常より早めのサイクルで交換をお願いしたいです」

 最後にこれからGTOを手に入れたいという方へメッセージを。

「GTOのメンテナンスに関しては、これまで蓄積してきたノウハウがありますが、できるだけ誠実に対応するために曖昧な回答はしないように心がけています。自分が気に入った形であり、欲しいとお考えであれば、臆せずにGTOの世界を味わっていただきたいですね」

 オーナーである安藤さんの愛情とそれに応える主治医の存在があってこそ、今日にいたるまで28年、48.4万㎞を走破できたことは間違いない。

■まとめ/三菱GTOの今後と購入対策は?

 あえて看板を出さず、特定のユーザーのGTOのみメンテナンスしているプロショップがあるのかもしれないが、取材したかぎりGTOに特化した専門店は見つけられなかった。そうなると、頼みの綱は三菱ディーラーしかない。

 今回のディーラーのように、GTOに関して豊富なノウハウを持つスタッフが常駐するところに頼るのが安心・確実だろう。また、AE86同様、GTOも部品の欠品が増える傾向なのは間違いない。購入を考えているユーザーは、全国にある三菱の各ディーラーに問い合わせ、部品の欠品状況をきちんと把握したうえで検討したほうがよさそうだ。

 AE86とGTO、いずれも純正部品の確保と、欠品の状況を把握することが最重要であると再認識した。この記事を通じて、日本全国のAE86 &GTOオーナーの切実な思いが、各メーカーへ届くことを節に願うばかりだ。

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